†滅却師姫 4†
「意外と壊れ難い物なのだな…人間というのも」
感心したように、男は言った。
「この子ったら、もう全部余裕で入っちゃうわよv」
滅却師に鉄の腕を突っ込んでいた女は、愉快そうに腕を出し入れする。
連なった一番根元の球が、滅却師の体を音をたてて出たり入ったり。
滅却師は小さな嗚咽を押し殺しながら体を震わせていた。
「ふむ、思ったよりも苦痛になっていないようだな?…古賀!」
名前を呼ばれ頷くと、男は下僕に指示を下す。
「ダルク…もういい」
「あぁんもう終り?つまんない」
遊び足りなそうにそう言いながら、女は腕を一気に引き抜いた。
「はぅ!ううッ…!」
殺していた声が滅却師の口からもれる。
「また遊んであげるわよボウヤ…じゃあね〜」
鉄の女は主人の指示に従い、素直に身を引くと
異界に消えるように姿を消していった。
「どうしますか?狩矢様」
「そうだな…」
狩矢と呼ばれた男は少し考えると、
「古賀」
「はい」
「ド−ルではなく…お前の『腕』が見たいな」
そういって意味深に微笑した。
バウント達が一斉に笑う。
「いいんじゃない、面白いじゃ無いのさ」
「やっちまえよ!このガキ生意気なんだよ!」
滅却師を掴むと、周りのバウントは更に強固に手足を固定した。
滅却師はそれに多少の抵抗を試みたようだが、抵抗と呼べる程のものではなく
僅かに手足を動かした程度にみえた。
「…わかりました」
準備が整えられると、古賀と呼ばれていた男は
拘束されている滅却師の後ろに身を据える。
目の前に有るのは拘束され身動きの取れない少年の、
痛々しく腫れて捲れあがったヒクつく孔。
「…すまんな」
小声でそう呟くと、その孔に無造作に指先を捩じ込んだ。
四本の太い指が滅却師を押し拡げる。
「!!」
ぐったりとしていた滅却師の体が、ビクリと強張る。
「ぁ……ぅ…ぉああぁ…ッ!!」
そして5本目の指先をも捩じ込まれ、滅却師が悲鳴を零しながら呻く。
指先を喰わえることは出来ても、拳を飲み込む事など出来そうにもない滅却師。
それもそのはず、男の腕は滅却師の太もも程もある太さ。
「さすがに入らないようですな…」
傍観していた老人が呟く。
「古賀」
「…はい」
狩矢という男が一声、名前を呼んだ。
かと思うと、急に男の腕はそれまでとは別人のように力が込められる。
「う…!?」
拒むように締め付けていた滅却師の筋を無視し、拳が其処を押し拡げる。
「あ…ぐ…ううぅ!」
ブチン、と何かが弾けるような鈍い感覚が滅却師の脳の奥に響く。
「ぐ…があぁああぁぁッッ!!」
悲痛な絶叫。
滅却師の細い体は男の太い拳をすっぽりとその中に飲み込んでいた。
「どうかね滅却師。壊される感覚は」
かけられた声に睨み返そうとした滅却師の瞳は
見開いたままボロボロと涙を零すだけで、
何かを言い返そうとしている口は痙攣したようにカチカチと歯を鳴らす。
「ギリギリってかんじだねぇ?泣いちゃってまぁカワイイこと」
その様を見て笑うと、サディストな女は指で滅却師の顔を撫で回した。
その手を拒むこともできず、滅却師はただ唇を震わせている、
「へっへ…もっとずっぽりいっちまえよ」
面白がってはやし立てる若い男。
騒ぎはしないものの、他の者も皆愉快そうにこの様を眺めている。
続きを期待していた。
「…古賀」
男が名前を呼んだ。
「はい」
呼ばれ、腕を進める。
「ヒ…いぃィッ!ぐ、がぁあああッ!!」
大きな塊が滅却師の腹の中に押し込まれてくる。
目一杯に拡げられた滅却師のアヌスが太い腕を少しずつ飲み込み
滅却師の腹部が歪に盛上がり、内側で何かがゴリゴリと波打つ。
メリメリと肉が悲鳴をあげ、骨がギシギシと軋む。
「あが…ッ…」
痙攣したように体を震わせた滅却師の首が項垂れると、
その背にすかさず鞭が入った。
「おねんねしてる場合じゃ無いよボウヤ」
強制的に覚醒させられる滅却師。
だがずぐに、下半身を責める苦痛に意識を失いそうになる。
「甘い甘い!寝させるかよ!」
歪に盛上がった腹部に蹴りが一発。
「うぎぃ…あがあぁッ!」
背に、腹に、暴力を受け、そして後ろからは
弾力を失った孔を、太い腕が体を内側から破壊していく。
ぶちぶち。めりめり。
太い腕を肘の近くまでねじ込まれた細い体が悲鳴があげる。
「…………」
ふと男は腕を止め、彼の主である男に視線を飛ばす。
「………」
視線の先の主は、無言で口の端をつりあげる。
それを合図のように、奥深く捩じ込まれた腕が
粘膜を巻き込みながら引き抜かれてゆく。
「んぉあああああぁッ!?」
滅却師の其処は男の腕に絡み付きながら
ずるずると裏返されていく。
ピンク色の綺麗な色が、双丘の隙間から顔を覗かせた。
「あっはは、はみ出ちゃってるじゃないのさ」
「かっこわりィ!」
好奇心の旺盛な者達が、その粘膜を指で摘んで弄んだ。
「ヒィぃ…!!」
ひっぱったり、つめを立てたり。
普段人に触れられることすら無い部位に執拗な悪戯。
挙げ句のはてには…
「だらしのないボウヤだねぇ」
パシィィ!!
「うわああああああぁあーーッ!!」
捲れた内臓にスパンキング。
頑強な男は鞭など微動だにせず受け止める。
対称的に、その腕に巻き付いた粘膜は所詮鍛える事すら出来ない部位。
その弱さを露呈し、みるみる真っ赤に充血していく。
「さすがにこたえているようだね?滅却師」
滅却師に男が問いかけた。
「はぁッ、はっ…はぁっ!はっ、はっ…」
苦しげな呼吸の返事をする滅却師に男は満足げに含笑いする。
今ならこの滅却師を従わせる事など容易い、と
そういう意味なのだろうか。
ここでまた、仲間になれだの、協力しろだの…
そんな言葉が聞こえてくるのだと滅却師の朦朧とした意識は予想していた。
だが、それは違った。
「古賀」
男は一言、言った。
「続けろ」
「…はい」
促しは皆無。
目的はもう、返答ではなかった。
目的はすでに、絶対的な暴力の誇示。
この行為から逃れる逃げ道など元から皆無。
腕が再び、滅却師の腹に沈む。
「お…ああああぁぁぁーーーッ!!」
肘の近くまで押し込んでは引き抜き、
また力づくで捩じ込む。
プチプチと鳴っていた壊れる音は次第になくなり、
滅却師の孔が肉質な音のみをたて、太い腕の往来を受けいれる。
「ひ…ひぃ、ひ…ィ、ぃ…」
喉の裂けんばかりに張り上げていた悲鳴は
いつしか弱々しい嗚咽のみに変わっていた。
腹の奥底に激しい鉄拳を受け止めながら、
失いそうな意識を鞭でつなぎ止められる。
「少しは後悔出来たかな?滅却師のボウヤ。我等に逆らった事を…」
そんな滅却師をぐるりと取り囲み見おろすバウント達。
彼らが満足するまで、腕は何度も滅却師の体を往復し続けた。
「ガバガバになっちまったなコイツ」
腕を突っ込みながら、男が言う。
巨体の太い腕で散々責められた後の滅却師の其処は、
すでに正常な機能を失い緩みきったただの肉孔になっていた。
滅却師は意識が有るのか無いのか、
瞳を開いたまま体を痙攣させ、まるで反応が無い。
「…つまんねーの」
面白くなさそうに腕を乱暴に引き抜く。
ずるりと腕を吐き出した滅却師の其処は
粘膜をはみだしたまま締まりきらない悲惨な有様。
完全に壊れていた。
「…どうしますか」
「そうだな…」
反応もなくなり、会話も不可能。
もうこの個体に、とくにすることもなくなってしまった。
ここは一時滅却師の回復を待つのが得策かと、バウント達は指示を待つ。
「そろそろ小僧の仲間が来る頃だろう」
「…そうですね」
死神装束の男が、冷静に相槌を打つ。
偶然見つけた滅却師は、どういうわけか死神達と共に居た。
滅却師のくせに死神と仲が良いらしい。
そんな滅却師を無理矢理強奪してきたのだから、
死神達も黙ってはいないだろう。
特に、死神としては未熟だが随分と元気のいい少年が一人居た。
彼は今すぐにでもこの滅却師を助けに飛び込んで来そうな勢いだ。
そろそろこのアジトの場所も彼らに知れている事だ、
仲間を集って乗り込んでくるだろう。
それなら……。
「こいつを持って帰させろ」
「え…?」
バウント達は皆驚く。
「帰すのかい?」
「せっかくつかまえたんじゃねぇかよ!」
非難の声に動じず、バウントのリーダーは言う。
「なぁに、再び捕らえる事は雑作ない。それに…滅却師の力のない小僧に、今はもう用も無い」
たしかに、その通りだった。
捕えてみたものの、どうやらこの最後の滅却師は不都合にも力を失ってしまっていた。
滅却師の能力が必要な彼らバウントにとって、能力のない滅却師はただの小僧でしかないのだ。
どうやったら力が蘇るのかはわからないが、失った力を取り戻すまでの間、
捕獲したこの小僧はただの玩具でしかない。
「だったら彼らに一旦返そうではないか?」
邪魔な荷物なら、手放せば良い。
「ふむ…今回の捕獲は無意味だった、という事ですかな」
「それは違うな…今回はとても意味のある事だったと言って良いだろう」
皮肉を込めて言った老人の言葉を、即座に訂正して言う。
「今回の功績は2つ…滅却師に我等に従わないとどうなるか恐怖心を叩き込んだ事、
そして、死神にいつでも滅却師を奪い取れる事を知らしめた事、だ」
転んでもただでは起きないタイプのこの男、
決して今回の事を無駄だとは思わない。
またそれは、もっとらしい理論でもあった。
「なるほど…!」
「そういうことなら…まぁな」
「どうせまた、捕まえるの楽勝だしね」
流石に仕切る立場にある者だけあって、無駄のない様を見せつけ、
バウント達も少なからず皆彼を見直し、納得せざるをえなかった。
だからこそ、彼らはこの男を中心に集まり、
この男の意見に従うほかないのだ。
「それに、どうやら彼らの仲間には回復術を使うものがいるようだ」
そして更に、この男はただでは起きない。
「次にこの小僧を捕えた時…また最良の状態に戻っているのも悪く無いとは思わないかね?」
すっかり壊しておいて、彼らに元に戻させる。
そしてまた、捕らえる…。
なんという無駄のないローテーション。
「やはりあなたは…恐ろしいお方だ」
大柄の男は小声でそう言い苦笑しながらも、
尊敬の念を込めた視線を主に送っていた。
終。
あの館ではこんなことが行われていたとかいなかったとか。
それにしてもバウントの仕打ち酷いよね(いやお前がだろ!)
でも皆も捕まってからこのくらいの妄想はしたよね?
魅夜はそんな妄想を形にできて、とりあえず一満足なのです。
まだもうちょっと描きたりないものもあるのですが…
まぁそれはまた後程、と言うことで。
オマケ
2006.10.28