†最後の滅却師†
「あんたが最後の滅却師だってことはわかってんだよ」
「ちょっと俺等と一緒にきてもらおうか」
「…あいにくこの世に滅却師など、もういない」
「…なに?」
「私は滅却師を継ぐ気もないし、今後力を使う気もないんでね。
先日死んだあの男が、最後の滅却師というわけだ」
「なんだぁ?逆らう気か?」
「…貴様ら死神と関りたくもない、といっているんだよ」
「この…!」
「まぁまて…いいぜ、あんたがそこまで言うならそういう事にしてやる」
「おい、いいのかよ?」
「ただでってわけじゃねぇさ、条件が有る。
あんたが滅却師じゃねぇってこと証明してみせな」
「…証明だと?」
「そうだ…追い詰められた時でも、決して力を使わないって事をな」
「…いいだろう」
「…ったく、エッロい身体しやがって」
拘束着に包まれた竜弦の身体を引き起こすと、
床にたてた玩具の上に運ぶ。
「オラ、とっとと座るンだよ!」
ずぶり、と竜弦の身体に玩具がめり込む。
竜弦は顔色一つ変えず、それを飲み込んでいく。
「なんだぁ?無反応かよ?」
「やせ我慢にきまってるぜ」
竜弦の頭を掴んだ死神は、その身体を力任せに沈ませた。
床に突き立てられた玩具が、根元まで一気に突き刺さる。
「…………」
ぴくりと眉が僅かに動いたが、竜弦はあいかわらずの無表情。
「これならどうだ!」
死神は竜弦の腰を掴むと上に持ち上げ、
再び尻を床に打ち付ける。
「…………」
一瞬、口が開いた。
だが其所からは言葉も悲鳴も発せられる事はなく、
溜息が一つ、漏れる。
「すましてんじゃねぇよ…!」
死神は掴んだ腰を、激しく揺さぶった。
淫猥な音を立てながら、玩具は竜弦の身体を激しく出入りする。
それでも、竜弦は悲鳴一つあげる事はない。
「…お父さん?」
その時、部屋の外から声がした。
「中に…誰かいるの?」
ドア越しに聞こえる不安そうな子供の声。
厳しく言われているのだろう、許可なく自分から開けようとはしない。
「は…おもしれぇ状況じゃねぇか」
死神は声をあげさせようと竜弦の身体を乱暴に玩具で擦りあげた。
「…………」
無言だった竜弦の口が、開く。
「まだ起きていたのか…今は客人が来ている。お前には関係ない、さっさと寝なさい」
発せられたのは死神達の期待していたようなものではなく、
今もなお凌辱を受け続けているとは思えないような、凛とした口調。
「でも…なんだか変な感じが…」
その子のもって生まれた素質が感じ取っているのだろう。
いま父の部屋で何か異変が起きている、と。
「黙りなさい。寝るんだ」
竜弦は、そんな息子の心配を一蹴する。
冷たくもきつい口調。
「……はい…ごめんなさい」
怯えたような寂し気な声は、そのまま部屋の前から遠ざかっていった。
「………あれがてめぇの子供か」
「………」
滅却師の血を引く最後の末端。
死神達の言わんとしていることは、嫌でもわかる。
「…あれには滅却師の素質はない」
聞かれる前に、竜弦の方から口を開いた。
僅かな焦りにも受け取れる。
「ほ〜ぉ?どうかな?」
「修行すれば伸びるんじゃねぇのかよ?」
死神達とて、今の子供が通常より霊力が高いことなど瞬時にわかった。
たしかに、一人前の滅却師には遠く及ばない程の微量な霊力ではあるが、
ちゃんとした師の下で学べば滅却師に成る可能性は0ではない。
「…ふん…誰があの子に修行をつけるというのだ?」
「なに?」
竜弦はそんな死神達の思考を鼻で笑う。
「あの子には素質がない。私には興味がない」
「…滅却師として育てる気はねぇってか」
「見逃せって言ってるのか?あぁん?」
「………」
無言で返事のない竜弦の髪を掴んで上向かせると、吐きかけるように言う。
「そいつは…てめぇの態度次第だな!」
言葉と同時に死神は竜弦の身体を持ち上げ、床に叩き付ける。
ビクン、と竜弦の脚の指先が揺れた。
「てめぇがこのまま滅却師の力を本当に使わなかったら…認めてやるぜ!」
床に立てられた玩具がみえなくなるまで埋め込まれれば、
すぐさまそれを一気に引き抜く。それの繰り返し。
「どうせいざとなったら使うんだろ?力を!」
次第に速く、何度も何度も。
ガクン、ガクンと竜弦の身体が上下に揺れる。
「………」
それでも、表情は崩れない。
「この野郎…これでもかよ!」
死神達はムキになって竜弦を凌辱しつづけた。
乱暴なピストンに赤く捲れあがった其所から腸液を垂れ流し、
それでもなお、その表情を崩さない。
「おいおいまじかよ?マグロかこいつ!?」
普通なら泣叫ばんばかりの刺激をあたえているというのにこの態度。
不感症にしては程が有る。
「いや…そうでもないみたいだぜ?」
だが、表には出さずともその身体は刺激を確実に受け止めていたのだ。
「みろよ」
表情はかえないままに艶ついていく肌と、薄らと浮き上がる汗。
「こんなになってるぜ」
そして、パンパンに硬くなった貞操帯。
「我慢の限界なんだろうが」
更に激しく上下に身体を揺らし、死神は竜弦を追い詰める。
だがその口を開かせることは出来ず、表情は変わらない。
もちろん、霊圧があがる事もない。
「さっさと力、使ってみせろっての!」
髪を鷲掴みにすると、死神はその顔に左右からザーメンを浴びせかけた。
プライドの高い者にとって堪え難い屈辱。
「…………」
だが竜弦の表情は、やはり変わらない。
まるで、目に見えないものが自分のまわりで何かしていようと
自分には全く関係がないとでもいうように。
「こいつ…!」
これだけ追い詰めても、滅却師の力を使おうとはしない。
いくら詰っても、滅却師の力を使おうとはしない。
「…いったろう」
竜弦の口が静かに開く。
「滅却師などもういない、とな」
冷めた口調で言い放つ竜弦の態度に、
死神達は互いに顔を見合わせると髪を掴んでいた手を放した。
ずずっ…と竜弦の身体が玩具を根元まで飲み込み、止まる。
「…おい、もう行こうぜ」
誰かが言った。
「こいつ、連れてかなくていいのかよ?」
「ガキだっているぜ?」
誰かがいった。
「俺等の任務は滅却師の連行だろ…」
「だから…!」
「…だからこいつは、今証明してみせたろ?」
自分が、滅却師ではない事を。
滅却師が、もういない事を。
「それは…」
誰かが不満そうに何か言いかけたが、そのまま口を閉じる
「それに…まだあのガキは滅却師じゃねぇからな」
滅却師として目覚めていない子供は、まだ通常の人間となにもかわらない。
滅却師ではない普通の人間に手を下すことは、禁じられている。
死神達は押し黙った。
そして一人、また一人と竜弦の傍を離れていく。
「そういうことだ、最後の滅却師…いや、石田竜弦。だがな…」
リーダー格の死神はそういうと、再び竜弦の髪をつかんで自分の方を向かせる。
「あのガキがもし滅却師として俺等の前に現れ抵抗してきたら…」
ピク、と竜弦の眉が動く。
「遠慮なく、殺るからな」
それは最後の警告だった。
「その時は…」
それに竜弦が答える。
「あいつはもう、私の息子でもなんでもない。好きにしろ」
冷たく、ハッキリとそう答える竜弦を見て死神は苦笑した。
そして、掴んでいた髪をそっと放す。
「…いくぞ」
「はい!」
リーダーの号令と共に、死神達は次々と窓から外へと出ていった。
それから数秒後、竜弦の身体を戒めていた拘束が解け、
ふっ…と四肢が軽くなる。
死神達がソウルソサエティに帰還し、術の効果がきれたのだろう。
「……ーーーーッ!!」
と同時に、竜弦は床に崩れ落ちた。
「…っ、…はぁ…はァ…ッ…!」
それまでの無表情が嘘のように息を荒げ、全身に今まで以上の汗が浮かびあがった。
上下する胸が苦痛の重さを訴え、凌辱され過ぎた下半身がびくびくと震える。
まるでなにか薬の効果でもきれたように、竜弦は突っ伏し咽び喘ぐ。
死神達が帰還したのを確認してからの、痴態。
死神達の前では、決して見せる事のなかったその姿。
「…クッ……死神め…!」
噛み締めた口元からいまだ荒い呼吸を漏らしながら、床を拳で殴りつける。
憎悪と嫌悪を露にした顔で、竜弦はふらふらと立ち上がると
死神達の去っていた方角に向かい霊子兵装を構え矢を放った。
現世にいない死神達がその矢を察知する事はない。
対象物のない矢は空に吸い込まれ、やがて消えていく。
「二度と…私の前にあらわれるな…!!」
消える事のない怒りと屈辱を空に吐き捨て、竜弦は窓を閉める。
それが、滅却師として竜弦の放った最後の一矢となった。
end
ハイ、じつはあの絵の元絵はこんなんで、こんなSSがついておりましたv
結局このあと滅却師として復活しちゃったパパンですが、
それもこれも、ひとえに愛する息子のためなのですヨv
滅却師には死神の監視がついていたって言ってましたが、
どうも師匠で最後っぽいですよね? 監視ついてたの。
勿論雨竜にはついていなかったし、どうも竜弦にもついてなさげです。
滅却師の血統を調べるなんて簡単な事だろうに、
なんで竜弦や雨竜が滅却師としてマークされてなかったのか?
…っていうそこんとこが気になってこんなもの書いて見ました。
…いや、じつは竜弦にはちゃんと監視ついてるのかな?
だからあんまり自由に動けないとか…?
でもそれなら、優れた滅却師をマユリ様がほっとくわけないしね?
うーん…そのへんがちょっと疑問なんですよね。
きっとそのうち原作で解明してくれる事でしょう。
…はッ!?
もしかして、竜弦の監視は…一心さん!?(爆)
…いや、違うか…(笑)
でもそうだったらイイナァ…なんてそんな腐女子妄想炸裂。
そしてこの後なんだかんだで時は流れ…
現在のソウルソサエティに至っては
『滅却師に監視なんてつけなくても別にいんじゃねーの?』
的流れになっちゃっているわけですね(笑)
2006.06.25