「あっ…はぁ…っ」
男の上に跨がり、自ら腰を使い貪る。
「見た目に違わず、淫乱なお方だ」
「う…ふふ…っv」
毎夜のように遊び歩き男をあさり
欲求を満たす。
「次はいつ会える?」
「そうですね…いつか気が向いた時にでも」
「罪なお方だ」
「ふふ…」
毎日相手を変え、その日の気分で。
領地の男全てに手を出すように。
貪る。
「また夜遊びか」
「おや…これは勇者殿」
まるで行動を見張るようにあらわれる男。
勇者ロンデミオン。
「ふふ…隠れてファルサスを喰らっているとでも思いました?」
「ふん…」
人の振りをしてから今日、
この男が人を喰らっているのは見た事は無い。
だが、油断も信用もできない。
だから目が離せないのだ。
この世界で目的を失ったこの男が、
いつまた凶行に走るかもしれないという危険性。
「それとも…」
そうして見張られている事を承知の上で、
彼は淫行を止めない。
「嫉妬ですか?」
「誰が」
まるで見せつけるように。
「つれないですねぇ…」
そして指先でロンデミオンの厚い胸板を愛しそうになぞり、
売女のような表情で。
「貴方が遊んで下さらないからでしょう?」
誘惑する。
「…………」
噛み付くような口付けに抵抗もせず、
彼の好きなように戯れさせると
ロンデミオンが溜息を漏らす。
「…散々してきたんだろうが?」
「足りません」
「お前は…」
あまりの貪欲さに苦笑すると、
ロンデミオンは観念したように
ベッドに倒される。
「ん…っは…」
先程まで戯れていた其所は、
簡単にロンデミオンを飲み込んでいく。
熱い肉の壁が蠢き、奥へ奥へと誘い込む。
「あ、あん…v」
普通の人より数段立派なロンデミオンを
然も旨そうに簡単に根元まで。
「よくも身体がイカれないものだな」
毎日、何度も、誰とでも。
「えぇ…人より丈夫ですから」
「まったく…」
世の中の人間は正体を知らないとはいえ、
人として、少々異常とも思える行動。
「なぜ…こんな行為を繰り返すんだお前は」
「好き…だからですよ」
「…SEXがか?」
「えぇv」
できれば目立った行動はして欲しくは無い。
おとなしくしていてくれれば、それに越したことはない。
人に危害を加える事に興味を持ったのでは無い事は良いが、
人としての行動にも限度と言うものが有る。
本人は世間体などまったく気にしてはいないようだが、
淫らな侯爵の噂は国内では有名な話になっていた。
「似て…います」
「…何?」
ロンデミオンの上で身体を揺らしながら、
彼は妖しげな微笑を受かべ舌舐めずりをする。
「SEXは…肉を喰らう感覚に、似ています」
「何だと?」
この男が、夢中になる行為の理由。
尋常じゃ無い理由。
「私の中に、ファルサスの肉を取り込んで…思う存分…貪る…
最高に…美味、です… あ…はッv」
恍惚の表情でうっとりと溜息をつきながら
彼は快楽を噛み締める。
25年も彼が人を喰らわずに来られたその理由が、
ここにあった。
人間の肉を喰らう変わりに、肉を体内に入れ精を喰らい。
肉を食む感触を満喫する。
「…淫魔め」
「ふふ…止めろと仰るなら肉を喰らいますよ?それで良いなら…」
「お前は少し口を閉じろ」
「んあっ…!」
乱暴に突き上げ、ロンデミオンはお喋りな口を自らの口で黙らせる。
「はっ…はぁ、あっ…!」
言葉を紡がせない程に激しく突き、
刺激に乱れる姿をロンデミオンは見上げる。
こうしていれば、本当に人と見間違う。
見愡れてしまう程に、錯覚する。
「私の肉の中、は…いかがです?」
ロンデミオンの胸に手を這わせ甘えた口調で囁き、
支配するように組み強いた男を見おろして彼は妖しく微笑する。
「…さぁな」
ロンデミオンはその問いには答えない。
人にしか見えないその身体を、
美しく妖艶なその姿を、
男として何も感じないわけはなかった。
だがそれは、教えてやらない。
「意地悪ですねぇ、それなら…」
猾い態度に、猾い報復。
「ここで…幻影を解いてやろうか」
「!」
悪趣味な仕返し。
それは美しい人の器が一瞬にしてアレに変わるということ。
「そんな事をしてみろ…斬り捨てるぞ」
「ふふ…っあッv」
黙らせるように更に乱暴に突き上げるロンデミオンに
彼は嬉しそうに喘ぐ。
「貴方が、こちらの姿がお気に召すなら…まぁ、それもいいでしょう」
このまま、偽りの姿のままで。
こうしてこの姿を利用して男を貪り続けるのも悪く無い。
この『デュファストン』でいるかぎり、
それが容易にできるのだ。
「ですから私を…」
美しい侯爵、デュファストンは
ロンデミオンに腕を絡め、
その唇に吸い付き軽く歯を立てる。
「ッ…!」
つぅと流れる一筋の血。
血に濡れた赤い唇を淫らになめる淫猥な舌は
艶めいた吐息と共に言った。
「これからも満足させて下さいね?」
退屈な魔王の、道楽は続く。
2008.06.18
「昔の私ならその肉を欲した事でしょう」
というあの台詞。
つまり、今は欲しないってことで。
なんで欲しないかっていうと…
肉の変わりに男を喰らうほうが気に入っちゃった
…って事だとおもいませんか?
SEXしてれば肉食わなくても平気な身体になっちゃたんだよきっと。
このエロ侯爵め!(いやお前がな)
それにしてもロンデミオンこれじゃ早死にしそうだねぇ(笑)