「は…離さぬかッ!わっ、我…の、ず、頭上に、手っ…なっ…こ、この…無礼…っ!」
いつもの若様節。
だが、その歯切れは悪く呂律もまわっていなかった。
「なんですか?よくきこえませんねぇ?」
その『無礼』をはたらいているシンゲンの右手は
セイロンの右の角を握ったまま、離さない。
「ココ、が…どうかしたんですか?若様?」
シンゲンは掴んだそれを緩く撫でた。
「ひッ!?」
上擦ったセイロンの声にシンゲンの瞳が嬉しそうに細められた。
「おや…如何なされました?」
反応を確認するように、根元から先へとその指を滑らせ
先端を指の腹でゆっくりと撫でる。
「あ…ぁッ…」
目の前の貴人から、身体の力が抜けていくのが目に見えて解った。
シンゲンは心踊る気持ちを押さえ切れない。
いつも強烈な蹴り覚悟で挑んでいた事さえ、馬鹿馬鹿しく思える程に。
(よもやここまでとはねぇ…)
自分などいつも余裕であしらうお方にこんな弱点があったとは。
なんとも不用心な事だ。
最大の弱点を頭上に晒したまま、日々過ごしているのだから。
しかしそれは、なんと好都合な事だろうか。
「やめ……っ」
ガクガクと震え出した細い身体は、膝が折れ傾く。
「お…っと、危のうござんすよ?」
その身体を支えるが如く、
シンゲンは 傾いた身体の帯の上方をわざとらしく掴み、素早く引き寄せる。
シュル…
弾みでほどけた帯が、整然としたセイロンの衣服を乱す。
緩んだ帯から前衣が外れ、白い胸元がシンゲンの眼前に拡がった。
「おやおや…誘ってるンですか?」
「な…にを、戯けた事を…っ…!」
きつく睨み返すその顔は
頬を赤らめ瞳を潤ませ、まったく畏怖を感じさせない。
むしろ、鬼畜侍の悪戯心を煽る。
「据え膳食わぬは…男の恥ですよね、若様?」
耳元で吐息まじりに囁いた唇をゆっくりと上方に移動させ、
目の前に現れたその枝を、口に含む。
「ひぃアッ!?!」
一際高くあがった嬌声を聞きながら、
シンゲンは唇を窄めゆっくりと奥まで含んだ。
「や…ぅ、あッ…やめ…よ!」
叉のあたりまでくると、今度は吸い上げながら抜いてゆく。
「ひっ…い!」
その間も当然、右手が休むこともない。
緩やかに上下に動かし、滑らかな硬質の感触を楽しみ続けている。
先端を親指の腹で慈しみ、叉を二本の指でこするように弧をなぞり。
大事に、優しく。
まるで愛撫をするかのように。
「う、や…やぅ、や……んぅ」
もはやセイロンは口元も震え、否定の言葉を紡ぐ事すらままならなくなっていた。
抵抗を試みてか、伸ばされた左手がシンゲンの胸を数度叩く。
が、それには普段のいかほどの力もはいっておらず、
終いにはシンゲンの衣を硬く握りしめ、縋り付くように動きを止める。
「ふっ…う、ッ…く」
口元に手を当て、涙さえ浮かべて漏れる嬌声を必死に押さえようとしている姿が
普段はお目にかかれない程の幼さと色気を覗かせる。
「本当に、そそりますね」
身体を走る武者震い。
開いた胸元に手を差し入れれば、セイロンの身体がビクンと跳ねた。
「なんっ…!?」
「そうそう、私は左手の方が本業でしてね」
「う、や…あっ!」
右手の比では無い程に巧みなその動き。
探り当てた赤い華を指で撫でれば、すぐに硬く立ち上がり。
三味線を奏でるがごとく、軽やかに甘美に
セイロンを奏で始める。
「はッ、あ、あっ、し…んげ…っ」
息を荒げたセイロンが、名を呼んだ。
ゾクリと背筋を昇る高揚感。
「若……セイロン…」
敬称では無くその名を呼び、
自分より背の低いその顔に両手を添え、こちらに向けさせる。
火照った顔に潤んだ瞳が真直ぐにこちらを見上げ、見つめ返して来る。
その唇が何かを言いたげに僅かに開かれるが、
シンゲンは己の唇を重ね合わせそれを奪い、
数刻の静止の後、名残り惜しむ様にその唇を離した。
「シンゲン…」
また、名を呼ばれる。
だが、先程のような艶がいささか感じられない。
そして…空気の流れが、変わる。
「………迂闊よの…」
「え…?」
恍惚に染まっていたその表情が、不敵に歪む。
「遊びは…終いだ…」
「は…ッ!?」
聞き覚えのあるその旋律。
サァ、と全身の血の気が音を立てて退ていくのがわかる。
不覚とばかリに慌てて手を伸ばすが、時すでに遅し。
「奥義…吼龍連舞撃!!」
「ほげらッ!?」
さしものシンゲンもこれだけの密着した状態から
俊敏にて交わす術も無く。
目にも止まらぬ拳の連撃をまともにすべて食らってしまう。
「あ…相変わらず手厳し…ごふッ」
とどめの蹴りも綺麗に受け止め、シンゲンはセイロンの足下に崩れ落ちた。
「……残念であったな、角を離したのがそなたの運の尽きよ」
セイロンは大きく息を吐くと、
愛用の扇子を広げて熱くなった身体を数度仰いだ。
「百年早いわ、子童が」
そう捨て台詞を吐き、意識の無いシンゲンに背を向けつつも、
一寸危なかった…と、人知れず焦りを感じる若様であった。
2007.02.05
はい、お約束ですね。
角いじり、そして制裁、お約束ですね?
でもとりあえずこれは描いとかんと(笑)
魅夜はセイロンの角責め、大好きですv
角ネタは今後も何回も出てくると思います。角責萌vv
だって、セイロンの角がエロく見えてしかたないんだもの(笑)