大眼睛'03   −VER.H−   

    著:如果 様 

 嫌がる頭を軽々と押さえつけ、指を捻じ込んで開けた口に隆々と血管が浮き出るほど張り詰めた肉棒を突っ込む。喉を突く苦しさにぽろぽろと零れた涙が根元に生えた硬い癖のある毛を濡らしていく。次々に落ちてくる液体は冷たいどころか熱くて、細い身体に強いた行為の妨げにはならない―――それどころか、凶暴な興奮さえ呼び起こされて。
「っ、ふ、あ―――っ!?」
 濃い緑の衣装を纏ったその背に別の手が伸びる。脱がすのももどかしく力任せに引き裂いたら、今まで衣服に隠れていた熟れた大きな果実のような弾力のある乳房がぷるんと現れた。また何処からか伸びた別の手が、それを千切れるんじゃないかと思えるほどの乱暴さで鷲掴んでミルクでも搾り出すかのようにめちゃくちゃに揉み、色づいてぴんと立った乳首や豊かな乳房に食いついて歯型を残す。その度に口に入りきらないほどにデカイ男のモノを咥えこんでいる女の喉の奥から悲鳴のような声が上がった。
 また別の手が、小さく震える身体に伸びる。下衣を剥ぎ取って、四つん這いの格好で白い尻を露にした。両手を使って張りのある尻の肉を思い切り掴んで分けたら、尻の穴とすっかり糸をひく液体でぐっしょりと濡れた割れ目が現れて。
「もうこんなにしやがって。この淫乱が」
 ひくひくと震える襞を中まで見えるように左右に広げながら偉い坊主の衣装を纏った男が嗤い、押さえつけた女のソコヘ猛り狂った巨大な男根を突っ込む。男が動くたびにそこからはじゅぷじゅぷと派手な音が立った。
「しょーがねぇよ、ドーブツだかんな。なあ、メス豚?」
 貫いた高僧が動くたびにぷるんぷるんと効果音までつけて揺れる豊満な乳房をいたぶりながら笑うのは髪の長い男。複数の男に玩具にされている女は、その罵りの言葉にまた長い睫を濡らしながらもその口にも男を咥えているせいで反論もできずにただ黙って泣いている。
「おーおーすげぇ美味そうに喰っちゃってまあ。……おい。悟空、まだかよ。早くしろよな。後、つかえてんだからよ」
「わかってるよ! もう、折角キモチイイんだから、邪魔すんなよなー」
 いたぶられる女の口を塞いでいるのは、小柄な少年。体格に似合わない巨大なモノでずっと女の口を独占している。横から声をかけられて、しぶしぶといった具合に自分の股間に顔を埋めている女の髪を掴んだ。その手を自分のリズムで上下させ、女の頭はそれに従う。
「あふっ、ふぅっ、んん―――っっ」
 しばらくの後、女の顔へ勢いよく白い塊のような液が飛んだ。正確には、その目に掛けられた眼鏡の薄いガラスに。


「あ? なんだよ、戻ンのか?」
 コトが終わって。重い身体に鞭打ってベッドをすり抜けたら、気のなさそうな声でベッドに残した男が言った。
「当たり前でしょう。いくらなんだって一晩部屋を空けたら悟空が変に思うでしょうし。―――それに、このままここにいたら朝まで眠らせてもらえそうにないですしね」
「いーじゃん。朝までたっぷり、気持ち良くさせてやるぜ?」
「結構です!! ……だいたい、せっかく町についたんですからナンパでもなんでもしてこればいいじゃないですか」
 床に散らばった衣服を拾い集めて身につけながら、八戒はベッドの上でのんびりと煙草を燻らせている悟浄に素っ気無く言い捨てる。その八戒の言葉に、悟浄はあからさまに顔を顰めてふいとそっぽを向いた。
「……俺様の趣味に合う女がいなかったんだよ」
 不機嫌そうに早口で。それなりに付き合いの長い八戒にはそれでピーンときた。要は、失敗したのだ、お得意のナンパに。
「なぁ、朝までここに居ろよ。俺もまだ満足してねーしさ?」
「ご冗談を。貴方に付き合ってたら僕の身が持ちません」
 上も下もこの部屋を訪れた時と寸分違わぬようきっちり着込んできっぱり言い切る。悟浄が、煙草を銜えた唇の隙間からちぇっと不満の声を漏らした。
「だいたい、あれだけヤっておいてまだ物足りないって言うんですか、貴方は! 僕なんかもう、足も上がらないって言うのに―――」
「……んだよ。お前だってノリノリだったくせに―――」
「何か言いました!?」
 身嗜みを整えて部屋のドアへと向かいかけた八戒が、ひきずるようだった足を止めて振り返りギッと睨みつける。その冗談を含んでいない目にさすがに悟浄も首を竦めた。
「いーえ……。…………なあ、本当に戻ンのかよ?」
 ドアのノブに手をかけた八戒の背に、再び悟浄が声をかける。……しかしその声は今までのノリではなく、なにか忘れていたことを思い出してそれを伝えるために呼び止めたような、そんな声音だった。そして八戒は―――それには気付かなかった。
「いいかげんしつこいですよ、悟浄!」
「まあいいけどさ……一応、止めたからな?」
「はあ……?」
 パタンとドアを閉じる寸前、なんとなく見えた悟浄の顔はなんとも言えない複雑なものだったような気がした。
 だからと言って戻るようなことはせず。八戒はだるい身体をごまかして今夜の宿の薄暗い廊下に鉛のような足で踏み出した。
 ―――悟浄との付き合いは結構長い。
 しかしその関係は、男同士でありながら互いを想い合うなどという甘いものではなく、単なる処理をし合うだけの関係。それなりに処理が済めば、朝まで隣で眠るなんてこともなくさっさと在るべきところへ戻っていく。今夜も、悟浄はまだ不満そうだったが元々性欲魔人の悟浄を完全に満足などさせられるわけがないのだから、ちょっと一服と悟浄が煙草に手を伸ばしたところでそそくさと逃げ出してきた。―――性欲も体力も並以上の悟浄と体力は多少あっても性欲は人並で、しかも負担の大きい受け入れ役の八戒じゃあ、それも仕方ないと言えるだろう。
 とにかく、多少不本意とはいえスッキリもしたんだし、あとはとっとと部屋へ戻って、悟浄が遠慮なくぶちまけてくれたものをシャワーで綺麗に流して、そうしたら朝までベッドで眠るだけだ。ここで倒れたら朝までそのまま眠ってしまえそうな倦怠感に包まれた重い身体で、八戒は割り当てられた今夜の部屋へと足を進める。
 悟浄に割り当てられた部屋と、八戒と悟空の二人部屋はそう離れていない。ランプの灯る廊下を曲がったら、すぐに目的のドアが見えた。
 ―――あれ? まだ明かりが……?
 ドアの隙間から漏れる光を不思議に思いながら、八戒は自分に割り当てられた部屋のドアを開けた。
 深夜。とにかく、食う寝る遊ぶの典型的な健康優良児の悟空だったら夕食後、満腹になったところで朝まで熟睡しているだろうと安心して戻ってきたのだが―――どうやら今日に限って緊急事態が起こったらしい。
 ドアを開けたら、悟空がこちらに背を向けた状態で、ベッドの上に背中を丸めて座り込んでいた。どうやら何かに夢中になっているらしく、ドアを開けた八戒に気づきもしていない。
「悟空……? 何してるんですか??」
 随分不用心だと思いながら、八戒はそっと声をかけてみた。静かにドアを閉めてすっと悟空の背後に近づくと、ようやく悟空がわあっっ!と驚きの声を張り上げておたおたと振り向く。
「あっっ……八戒。お、お帰り。は、早かったじゃん」
「早い……? そんなことはないと思うんですけど…………いったい何にそんなに集中してたんです?」
 明かりに照らされた悟空の顔はなんだか微妙に赤みがさして、熱でもあるのかと思ったが具合が悪いようには見えない。悟空の様子を訝しみながら八戒は、悟空が無防備に手にしたものに視線を落とした。
「―――本?」
 それはなにやら分厚い本で、八戒は自分の目を疑ってぱたぱたと瞬きを繰り返したが、残念ながらそれは幻覚ではないらしい。一向に悟空の手に持たれた本は視界から消えてはくれなかった。そんな八戒の様子など露ともしらず、悟空は更に顔を紅潮させて、その本を必死に背後に隠そうとする。
「なんですか、それ?」
「え、あ……あはははっ。別になんでもないってっ!」
 元々ポーカーには向いていない悟空だ。そのあからさまにおかしな態度に八戒がごまかされるわけもない。それどころか過剰とも言える悟空の慌て方によからぬものの気配を察知して、めったに出さない強めの口調でじりと悟空ににじり寄った。
「何でもないことないでしょう? ほら、見せてください」
「わ、だ、ダメだって! 何でもないんだってー!」
 喚いて逃げようとする悟空を掴まえて、その手が握るように強く持っていた本を奪い取る。本が手から離れる瞬間、悟空の口からあちゃ〜といかにも失敗したと言わんばかりの声が聞こえた。
 分厚い本。それが活字のびっしり並んだ文学本だとは冗談にも思わなかったが。
「――――――」
 絶句。それを見た瞬間には、言葉どころか思考も完全に止まってしまった。
 装丁にやたらとピンク色が使われた漫画本。くるりと返して表紙を見てみれば、端の方には黄色い長円に黒い文字で『成年コミック』と書かれている。―――それだけなら、まだ可愛かったかもしれない。
 ピンクの表紙に描かれているのは、眼鏡をかけた緑の瞳の華奢で清楚な雰囲気の娘。その娘の周囲には、無邪気そうな顔で棒を振りかざした金眼の少年、法衣を着込んだ金髪紫眼の青年、三日月刃の錫杖を片手に煙草をふかす長い赤髪の青年……。タイトルスペースには『須らく看よ〜正しい家畜のしつけ方』と飾り文字が踊っている。
 牛魔王サイドの新手の精神攻撃か? そんな馬鹿馬鹿しいことをがっくり脱力しながらちょっとだけ思った。
「悟空……これ、どうしたんです?」
「え。悟浄にもらったんだけど……?」
「やっぱり悟浄ですか……」
「うん。晩メシの後だったかな、悟浄んトコに遊びに行ったんだけどさ、アイツ、ちょっと早えーけどこれから大人の時間だから、ガキはこれでも読んで寝てろ……って。悟浄のヤツ、すぐ俺のことガキ扱いしてさ―――!!」
 その時の様子を思い出したのか悟空が憤慨して状況を八戒に説明する。
 ―――まったく、あの人は!!
 八戒は今すぐにでも怒鳴りこんでいきたい気持ちを極力抑えて、肺の空気を全部吐き出すような深い深い溜息を漏らした。
「はぁぁぁ。解りました、悟浄には明日きつく言っておきますから、悟空はもうこんなものは忘れて寝てくださいね。明日も早いですから、寝坊なんかすると三蔵に殺されますよ?」
「え、う、うん……」
「どうしました?」
「えっと、その―――」
 不自然に口ごもる悟空を、八戒が不思議そうな顔で見つめる。
「熱くって眠れそうにないんだけど……八戒、寝るの、手伝って?」
「はい……??」
「だって……この本の八戒、すっげぇエッチィんだもん〜〜〜。……大丈夫、本にも書いてあったけど、お尻でもできるみたいだからさ♪」
「え、ちょっ、悟空―――っ!?」
 圧し掛かってくる悟空を思わず呆然と見ながら。
『……一応、止めたからな?』
 八戒の脳裏を悟浄の声が掠めていった。


「んっ、ふ……ぅっ」
 両手を後ろ手に縛り上げられた八戒が跪いた姿勢でベッドに足を広げて座った悟空の股間に顔を埋め、屹立した悟空を口に含んでいる。頭を悟空に両手で押さえられているために吐き出すことも逃げ出すことも、もちろん拒むこともできなくて、八戒は悟空が望むままに熱い塊を喉まで飲み込んで柔らかな舌と唇を最大限に使って悟空に奉仕する。お互い着衣はそのままで、悟空のみが分身を取り出すために多少乱しているだけで、それがいかにも主人に奉仕する下僕のようで、八戒を尚更惨めな気分にさせた。
「ん、八戒の舌、柔らかくてキモチイイ♪ なんか八戒、すげー巧いんだけど、もしかして慣れてるの?」
「んん―――っ」
 悟空で口をいっぱいにしながら八戒がふるふると小さく頭を振ると、奥まで含んだ悟空が喉をかき回して、苦しさと痛さで思わず瞳に涙が溜まった。しかし悟空はそんなことはまったくのお構いなしで、
「あ、それ気持ちイイ。もっとやって♪」
  そう言うと八戒の頭に添えた両手を動かして、八戒の頭を強引に操る。
「ん、んぐっ……っ!」
 苦しくて舌先で悟空を押し返そうとするが、それも悟空を喜ばす結果になって、八戒は悟空に自在に頭を振られながら、一刻も早く解放されたくて口に咥えた悟空に懸命に舌を這わせて愛撫した。普段悟浄にするよりも手が使えない分余計にキツく、なんとか口内全体を使って悟空の先端から根元までをくまなく濡らせば、口の中で悟空がだんだん大きくなった。
 口の中で悟空が弾けそうなまでに大きくなったところでかり、と先端に歯を引っかけてそれから搾り取るような勢いで先を吸い上げる。
「あっ、ん―――んっっ!!」
 たまらず悟空は感極まった声をあげてびくびくと腰のあたりを震わせながら、八戒の口の中へと白濁の粘った液を放出した。八戒は口の中に悟空の精液を溜めたまま、飲み込みたくなくて必死で悟空の支配から逃れようとするがかなわず、両目に溢れんばかりの涙を溜めて口内の苦い液を喉の奥へと押し込む。それからようやく、気づいたように悟空が手を離して、八戒は悟空から口を離すことを許された。
「悟空……もう、いいでしょう? これ、外して下さい……」
 涙目になりながら八戒が後ろ手に縛られた、すでに感覚がなくなりつつある両腕を悟空に示したが、悟空は思いっきり不満だと言わんばかりの表情で返した。
「えー、まだやってないじゃんー」
「これ以上何を……っ」
「コ・コ♪」
 ズボンの上から尻を撫でられてぞくりと恐怖が八戒の背筋を駆け抜けた。
「悟空……冗談はそれくらいにして……」
「冗談じゃないって。第一、俺ばっかりしてもらうのも悪いじゃん?」
「い、いいですっ! だからこの縄―――」
「遠慮しなくっていいって♪」
「―――っっ!!」
 するりと伸びた悟空の手がベルトを外して下半身を覆ったズボンと下着を取り払う。悟浄とするときでさえやらない、下半身だけを明かりに晒した情けない格好。真剣に泣きたくなっている八戒の心中も知らずその間にも悟空の手は双つの丘を割り、隠れた蕾を暴き出している。
「あれぇ……八戒?」
 つん、と後ろの穴を指先でつつかれてびくんと八戒が背筋を震わせて伸ばした。その拍子にぱた、と溜まった涙が転がり落ちる。
「なんか濡れてるー」
 濡れているのをいいことに、『濡れているのは感じている証拠』だと間違った知識を刷り込まれた悟空が調子に乗って、すでに解れて柔らかなその場所へと指を差し込んで中をかき回した。悟空の指の動きに合わせて八戒の中からはくちゅくちゅという濡れたいやらしい音がする。
「嘗めてるうちに感じちゃったの?」
「んんっ、あ、はあっ……ん!! や・あ……っ」
「俺、こーゆうのなんて言うか知ってるー。『インラン』ってゆーんだろ?」
 何のことはない、先ほど読んだばかりの本から得た知識(?)を得意げに披露する悟空だったが、言われた八戒の方はたまったものではない。屈辱的な言葉にぶんぶんと力いっぱい頭を振って、
「ちが……っ、それは悟―――」
 悟浄が出したものだと言いかけてはっと理性を取り戻し、八戒は言いかけた言葉をぐっと飲み込んだ。
 ―――きちんと処理して戻ってこれば良かったと、今夜ほど後悔したことはなかった。
「八戒のここ、すっげーやらしーの♪ 柔らかいのに痛いくらい締め付けてくる♪」
 指を出し入れする度に立つ水音を楽しむ悟空。その間にも悟空自身は失った力を取り戻して大きくなっていく。そして完全に勃ち上がると我慢しきれないといった風に遊んでいた手を急に離し、徐に悟空は八戒の蕾へと自らを押し当てた。
「んっ……や、悟空―――赦して……!」
「大丈夫だって。八戒のココ、柔らかいから簡単に入るって」
 そういう問題ではないのだが、悟空はそう言うと切羽詰まったような勢いで八戒を貫いていった。
「や、悟空、やめてっ!」
 太いもので強引にこじ開けられて侵される痛みに八戒は再び透明な雫を白いシーツに滴らせた。
 しかし散々悟浄に教えられたそこは男を受け入れれば無条件に喜んで咥え込み、更に奥へと引き込もうとする。
「うわー、やっぱ柔らかくてキツくて気持ちいいー♪」
 そんなことを言われて力任せに奥を突かれれば、慣れた身体は簡単に快感だけを拾って八戒を喘がせた。
「んんっ・あ・はぁん……っ……。ぅ、悟空、嫌ぁ……」
「八戒、カワイー♪ ね、もっとないて?」
 勝手なことを言う悟空の声が聞こえているのかいないのか、しかし悟空が激しく弱く、浅く強く八戒を貪る度に八戒は切なげな声で鳴く。八戒の中だけでも十分なのにそんな八戒の声まで聞かされた悟空がいつまでも保つはずもなく、やがて遠慮もなにもなく八戒の中へと白い液を注ぎ込んだ。
「ん、ふぅ……っ」
 繋がった部分を外された八戒が力無くベッドに沈み込む様を、悟空はある種の好奇心で見る。八戒の秘所からはとろとろと悟空が今出したものがあふれ出してきており、まだ達していない八戒のそこは物欲しそうにひくついていた。
 漫画の中では、挿れられている八戒のソコは男のモノを全部飲み込んではいなかった。
『もう許して……これ以上入らない……っ』
 そう言って泣いていたけれど―――
 そんなことを思いながら、悟空は再び八戒の蕾へと指を差し入れてみる。
「あ、んっ……」
 八戒の嬌声をよそに、悟空は指を奥へ奥へと進ませる。当然だが、『奥』には届かなかった。自分自身でさえ届かなかったのは検証済みだし、だったら―――
 わずかな静寂。その間に聞こえた空気が固まるような音を、八戒はベッドに沈んだまま何の音かも判らずに聞き流した。そしてその直後に下肢にあてがわれた冷たいものの感触にぞく、と身を竦ませる。なんだろう、と恐る恐る振り返ると、悟空の手には見慣れたものが握られていて、その先端が己の秘所に触れていた。あまりの恐怖で八戒の表情が凍りつく。
「い、嫌です、悟空……そんなもの挿れないで……ッ!!」
 がたがたと身体を震わせて懇願の言葉を紡ぐが、声が震えて上手く伝わったかどうかも判らない言葉になった。しかし悟空は容赦なく手にした如意棒の先端、大きく球体になった部分を八戒の蕾に押し当て、そのまま挿入するために力を込めた。
「ぎっ……痛っ、痛い、悟空ッッ!! 裂ける―――ッッ!!」
「大、丈……夫っ、八戒、力抜いて……っ」
 徐々に力を込めながら悟空は如意棒を挿入しようとするが、さすがにそんな太さのものを挿れられたことのない八戒の秘所は固く、簡単にはいかない。
「うっ、く……、ごく……そ……なの、無理……っっ……!!」
 無理を強いられた八戒の身体はびくびくと痙攣を繰り返し、八戒はまた純粋な痛みだけが原因の涙を溢れさせた。呼吸が困難になり金魚のように口をぱくぱくさせて空気を吸おうとするが、全然上手くいかない。縛られたままの手に思わず力がこもり、手のひらに食い込んだ爪が皮膚を破る。
 しばらくの後、八戒はぷつん……っと、何かが切れたような音を遠くの方で聞いた気がした。
「あ、ごめん、切れちゃった。……あ、でもこれだったら入りそう」
 どれくらい入っているのか定かではないが限界を越えて広げられた其処を、悟空の指が円を描いてなぞる。吹き出した血をそこに塗り込めて潤滑油のかわりにしようとしていることは八戒にもすぐにわかった。そして何重にも塗って滑りを良くさせると、悟空は如意棒を持つ手に一気に力を込めた。ずるり、と八戒の秘所が悟空の如意棒を迎え入れる。
「ひ……っ!」
 問題のそこさえ入ってしまえば後は痛まない。ホッと一息をついたところで、悟空がさらに如意棒を奥へと突き進ませて八戒がまた息を詰める。
「あ、すげー、八戒。どこまで入るの?」
 太くて固いものが普段届かないようなところまでも内壁を押し分けて入りこみ、身体の中を犯す。まだ放出していない為に身体は、それの感覚さえも快感に変換して八戒の分身をはちきれそうなまでに膨張させた。
「ん・っ・あ、くふぅんっっ……。あ・ああ―――ッッ!」
 ずんっと悟空の如意棒が身体の奥にぶち当たったその瞬間、八戒は大きく身体をしならせて溜まった白い液を吐き出した。
 しかし、悟空の手がそこで止まることはなかった。最奥に到達した如意棒を、さらに奥へ押し込もうと力を入れる。
「あ、悟空……もうダメ……っ、苦し……」
 肩で息を整えながら八戒が力無く頭を振るが、悟空の手は止まらない。
「えー? そう? まだ行きそうだけどー?」
 悟空が言葉と同時に手にした如意棒を乱暴に操って八戒の奥を突いた。
「ぐっ、かはっ……ごっ、悟空……っ!!」
 内蔵を突き上げられる痛みだか苦しさだかに吐き気さえ感じながら、八戒は必死でそれを堪える。そして、執拗なまでに繰り返される、まるで身体を如意棒で串刺しにでもされそうなほどの悟空の行動に極度の苦痛と恐怖を感じた八戒は、悲痛な声で赦しを乞い続けた。
「ひっ……ご、くぅ、助・け、て……ッ!」




「う―――ん…………」
 さすがに調子に乗りすぎたかなー? 悟空は自分の脇でベッドに沈む八戒を眺めながら呑気にそんなことを思った。
 見下ろす八戒の痩躯は力なく、先程気を失ってからぴくりとも動かない。白い双丘の谷間からは未だに硬く太い如意棒を生やし、その悟空の武器を、八戒に埋まった側の先端から止まることなく赤い血が伝って下りてきて白いシーツの染みを時間毎に広げている。
 八戒の孔からの血で染まった如意棒に手をかける。ぬるっとした感触に手を滑らしながら、ぐっと力を入れて、八戒からそれを抜こうとした―――力任せに、腸の内壁まで引き摺り出すような勢いで引っ張ったら、かなりの抵抗を受けながらも徐々に八戒の身体の中から出てくる。事実、肛門に近い直腸の内壁は悟空の力に体内から引き摺り出されて綺麗な紅色を空気に晒していた。
「んん―――っっ!」
 やっぱり先端は肛門でひっかかる。構わず悟空が更に力を入れたら、それを咥え込んだ八戒のソコに新しい裂傷を作りながらようやく抜くことができた。
 如意棒から開放された八戒の後孔はすっかり緩んで開きっぱなしになっている。そこから、また流れの酷くなった紅い筋が八戒の白い足に紅い筋をいくつもつけて流れてシーツに吸い込まれていく。紅と白の色彩が、あまりにも綺麗で、悟空でさえもその光景にしばし見入ってしまった。
 ちょっと悪かったかな……と思いながらも、またこんなふうに二人きりになることがあったら同じことをしちゃうだろうなと、悟空は八戒を見下ろしながらこそっと苦笑いを零した。

−終−    

2003.01.29UP

 如果さんから頂いてしまいましたッvvv「大眼睛」の新バージョンですよ!
この小説は如果さんのサイトに魅夜がリクエストして書いて頂いた物だったのですが、こちらに頂けるという事を期に、わざわざ書き直して下さいました!! もとのバージョンでは本の内容とかオチとか全然違ったんですよv魅夜が前にサイトで拝見した時より随分加筆されていて、悟空の鬼畜度と八戒の悲惨度倍増で小躍りしてしまいます!そんなわけで魅夜も新たに挿し絵を描いてみました!
  ありがとうございます如果様ッ!vv
 


 

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