こんな夜は、いつもそう。

「どうした?ジェイド」
「えぇ…貴方に抱いて頂こうかと思いまして」

疼く夜は、欲しくなる。

 

咎人

 

「は…ぁ…、陛下…ッ…」
痛みを下さい。
「んっ、く…痛っ」
酷く抱いて下さい。
激しく突いて下さい。
もっと。
「きついか…?」
そんな風に見ないで下さい。
そんな風に優しくしないで下さい。
麻痺してしまう。
錯覚してしまう。
「平気です」
「嘘つけ」
だから与えて下さい。
私に罰を。
「いいからとっとと動いて下さい」
「馬鹿野郎…」
それでも貴方は優しいから
私を
私の望むよう
激しく抱いてくれる。
「んっ…っあ、アァッ!」
貴方がこうして痛みをくれるから
私は保っていられる。
「陛…下…っ」
誰も私を咎めないから。
誰も私を責めないから。
感覚が、おかしくなってしまう。
「痛くないか?」
「ッ…もっと…」
「…ったく…ドMが」
何故、私は此所にいる?
何故、私は生かされている?
何故私は
大佐などと
懐刀などと
人の上に立つ事を許されている?
大罪人のこの私が。
「はっ…ア、あっ…」
こうして与えられる痛みが唯一
自己満足の罰になる。
もっと強く
もっと酷く
詰って
嬲って
私を、追い詰めて下さい。
「ジェイド」
貴方が私に与えてくれた
後悔と希望。
私には、どちらも重すぎる。
誤魔化しながら生きていくために
仮面を固め言葉を操り。
それでも
神の領域を犯した業は
一介の人間には罪深すぎて。
「ジェイド!!」
「!」
「また…変な事考えてるな?」
「いえ…」
「嘘つけ」
無駄に時を過ごし
逃げるように己の罪を隠し
忘れたがっている己を嫌悪する。
「それより続き…お願いします」
だから刻みつけて下さい。
「もうよせ…血、でてる」
「いいんです」
忘れないように。
消えないように。
「…ったく…お前は…」
「んっ、あっ…はァ!」
思いださせて下さい。
誰が禁術を生み出したのか?
誰が幾多の命を弄んだのか?
誰があの島を落としたのか?

誰が、あの人を殺したのか?

「あ…っああァ!」
永遠に許される事のない罪に
どうか罰を与えて下さい。

 



月夜が明るく眠れない。
燃え易く乾燥した空気が喉にひりつき
どうしようもない倦怠感に襲われる。
私は深夜のベットを抜け出し
ひとり廊下を歩く。
「どうした旦那、なんかあったのか?」
こんな夜は…いつもそう。
「ねぇ、ガイ…」
疼く夜は、欲しくなる。
誰かの優しさを利用して。
「私を…抱いてくれませんか?」


どうか、私に罰を下さい…。

 

end



2008.04.07

 

ダメなジェイドを書いてみる。

 

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