真・最重要参考人 〜崩壊〜
「あぅ…く…ッ」
ずッ…ぐちゅ、ずぶッ…
「クク…いいネ…いいヨ」
死神達に代わるがわる突き上げられ、苦痛に歪む雨竜の様を涅は面白そうに眺めていた。
「しかし…見ているだけというのはなんとも退屈なモノですネェ…」
液化した涅は再び瓶から這い出てくると、己をずるずると移動させながら雨竜の身体に這い上がる。
「は…あ…っ」
脇腹から胸の上にぬめる刺激が這い上がる感覚に、雨竜の上擦った声があがった。
「感じているのですカ?ククク…淫乱な滅却師ですネ…」
「ち…がッ…!く、あッ…!」
形の定まらない対象を睨み付け雨竜は反論するも、その態度はすぐに悲鳴にかき消されていく。いや、それは悲鳴とまではいかない声だった。
「でも実際、こいつだいぶ慣れてきたよな」
誰かが言った。
「最初の頃はもっとこう、喚きまくってたのにな」
「そうそう、いい加減此処も緩くなってきたしよ」
「数日後にはきっとガバガバだな」
「っ…!」
屈辱的な言葉を浴びながら、雨竜は悔しさに唇を噛み締める。
回を重ねる度に慣れて来る身体と積み重なっていく屈辱。いい時間稼ぎになっているとはいえ、それはあまりにも堪え難い行為に他ならない。だが次第に慣れつつ有る肉体は、雨竜の意思とは裏腹に少しづつおかしくなり始めていて…
「あ…っ…」
自らの口からでた声色に雨竜は顔を赤くする。
「なんだよ…気持ち良いのか?」
「ち…違う…ッ!」
「なにが違うって?」
必死に否定しようとする雨竜を死神達は笑った。
「違っ…あ、あぁッ…!ん、くぅ…んッ…!」
明らかに痛み以外のものを感じ取れるようになってきた己を否定しながら、雨竜は死神達の肉を次々と受け入れその身を揺さぶられ続ける。
「は…あン、ん…あぁッ!」
悲鳴に混じる苦痛ではない声があがるのを隠せず、雨竜は戸惑う。
「はは、可愛い声出しちゃってよ」
「すっかり女だな」
「この淫乱!」
「よーし、大好きなザーメンたっぷり浴びせてやるぜ」
慣らされた雨竜の其処を激しく擦りながら、死神の抽送が早くなる。
「そらよ…!」
ドプッ…!
「あ…ッ」
ビュッ ビュクッ ベチャッ!
雨竜の内側に放たれると同時に、周りにいた死神は一斉に雨竜の全身に精液を吐きかけた。髪に、顔に、胸に…体中あますところなく。雨竜の全身を生暖かいぬめる液体が包み、内側からも熱い体液が奥に注ぎ込まれ、そして逆流する。ぞくり、と雨竜の身体が総毛立つ。
「あ、あぁ…んああぁッ…!!」
全身の筋肉が痙攣したような、一瞬の意識の空白。そして、気がつくと雨竜は自らもまた己の顔にめがけて性を放っていた。
「…オイオイまじかよ、イッてやがるぜ」
「!?」
その事実に、誰よりも本人が一番愕然とする。こんなことをされて達したというのが自分自身認められない。何かの間違いであってほしいと。
だがそれは、紛れもない事実なのだ。己の眼鏡にかかった性は自分自身のものだということが。
「変態だな」
「マゾなんじゃねぇのこいつ」
「拷問もお仕置きも大好きってか?」
「それなら頑に口を割らないのも納得だな」
「喋ったらもう虐めてもらえないもんなぁ?」
死神達は一斉に雨竜を詰って笑った。
「ーーーーー!」
それまで頑に護って来た何かが、雨竜の中で崩れ落ちる。
「……うぅッ…!」
はじめて、死神達の前で雨竜の瞳から涙が零れ落ちた。自分の思っていた以上に自分の肉体は卑しいのだという事に涙が溢れた。こんなはずではなかったのに。己に、失望する。
「おー!?泣いたぞこいつ」
「ふぅ…やっと泣いたか」
「もう一押しってとこかな…」
雨竜が涙を見せた事に死神達は些かホッとした。この行動が初めて、効果があったと認められたのだから。
「う…うぅ…っ…!」
一度気を許してしまうと、雨竜の涙は止まらなかった。それを見られまいと顔を伏せても、震える肩と不規則にあがる嗚咽がそれを露呈させてしまう。
「クク…不様だネ…」
そんな雨竜の様は涅の心を満たしてくれる。自ら手を下すことが出来なくとも、勝手に壊れて乱れていく雨竜に涅は満足げだった。本当なら自分のこの手でたっぷりと弄くってやりたいところだが…まぁこの際それは我慢する。もう直、この肉体は回復する。それからまたゆっくりと弄んでやればいいのだから。
「待ち遠しいですヨ…滅却師」
いやらしい笑い声を残し、涅は瓶に戻ろうと身体を滑らせた。
「ん?」
その時、ぐらり、とわずかな振動が部屋を揺らす。
「な…なんだ?」
死神達もその振動の原因がわからず一瞬取り乱すが、すぐにその地響きの主の存在に気がついて苦笑した。
「あぁ…あいつか?」
地響きの主はゆっくり部屋に近付いてくると、部屋の入口から巨体の身を屈めて室内を覗き込む。
「ほぅ…皆さんここでしたか」
「おぅ慈楼坊、もう身体はいいのか?」
「そういやお前今日で最後だっけな?」
「…………えぇ」
慈楼坊と呼ばれたその巨漢は、低い入口を強引にくぐり抜けると室内に入って来て雨竜の前で立ち止まる。
「ーーーその男は…!」
雨竜を見た慈楼坊の表情が強張った。
「なんだ?知ってンのか慈楼坊?」
「…知ってる、なんてものじゃありません…!」
慈楼坊はぐったりと項垂れている雨竜の髪を掴むと首を持ち上げた。涙と精液に塗れ、記憶の中の高飛車で生意気な姿は見る影もないが、この顔だけは忘れない。
「忘れもしませんよ…えぇ、忘れませんとも…!」
「う…?」
泣きじゃくっていた雨竜は、瞳を薄らと開き自分をつかみあげる男を見た。
「…き…君は…!?」
雨竜はその顔を見た事があった。見た、なんてものじゃない、この男と戦ったのだ。雨竜がこのソウルソサエティに来て最初に戦った死神が、この慈楼坊だったのだから。
「なんだ?ひょっとしてお前がやられた旅禍って…」
「…そう、この小僧…!!」
憎々しげに吐き捨てると、慈楼坊は雨竜の髪をぐいぐいと引っ張った。
「…ッ…!」
痛みに雨竜の表情が歪む。
「私はね…貴方のおかげで霊力を失った…。死神でいられなくなった…ここを出ていかねばならなくなったのですよ…わかりますか?」
「…………」
この男の卑劣な態度が許せず、雨竜はこの男の鎖結と魄睡を破壊した。霊力の源を破壊された事により、目覚めた慈楼坊は霊力の全てを失っていた。瀞霊廷は死神でなければいる事を許されない選ばれた者の世界。死神ではなくなった慈楼坊は、死神という職は勿論、この瀞霊廷をも出ていかなくてはならないのだ。
「流魂街出身の私が…どれほど苦労して死神になったか!どれだけ努力して今の地位まで辿り着いたか…!」
慈楼坊の大きな腕が怒りにブルブルと震え、雨竜の腕を鷲掴みにする。
「貴方は…それをあの一瞬で…粉々に砕いてくれたのですよ!!この…腕でね!!!」
「…ッーー!?」
掴まれた雨竜の腕がものすごい力で締め上げられる、そして…
バキッ
鈍い破壊音が死神達の耳にもハッキリと聞こえた。
「うああああああぁぁッッ!!」
雨竜が絶叫する。それは折れた、というよりは、砕けた音。慈楼坊の拳が開くと、その下からぐちゃぐちゃに変型した腕がぶらりとぶらさがった。
「ゲ…!」
その光景には、死神達も一瞬言葉を失った。上椀の骨は砕け、骨片は筋肉を貫き皮膚を突き破っている酷い有り様。直視するのも憚れるほどに。
「あがッ…ぐ、あッ…!!」
雨竜は外傷性のショックでビクビクと痙攣をおこしていた。
「治療を……!」
傍にいた四番隊の死神は、見ていられずにその腕にすかさず鬼道を唱える。千切れた腕をも繋ぐ程の術の持ち主だ、雨竜の破壊された腕は直ぐに腕らしい形に修復されていく。
「…なぜこの小僧の傷を治すのです!?」
それを見て慈楼坊が怒鳴った。
「え…?あ…っ…な、なんで…って…?」
咄嗟に理由が見つからずに四番隊の死神は動揺し鬼道をとなえる手が止まる。雨竜の腕は治りきる前に治療を中断された。
「なぜです?なぜ今治したのです!?」
「え、あ、あの…」
せっかく自分のつけた憎しみの跡を消された事に、慈楼坊は四番隊に怒りを投げ付ける。その見幕に圧倒され、四番隊は困り果てて狼狽えた。
「ま、まぁ落着けよ慈楼坊。こいつを殺しちゃまずい理由がイロイロとあんだよ」
それを見兼ねた死神がフォローするように口を挟んだ。
「そそ、ショック死されても困るんでね」
たしかに、重要参考人だからそのとおりだ。嘘ではない。
「……ほぅ、そうでしたか……それならば致し方ありませんね」
他の死神の口添えで、ようやく納得し慈楼坊は落ち着きを取り戻す。四番隊は命拾いしたような気分になりホッと胸を撫で下ろしていた。本当は、咄嗟にそんな事を考えて治したわけではない。本当の理由は…だが、それ故に言えない。
「…やれやれ、騒々しい…でも中々面白い展開ですネ」
事の一部始終を見ていた涅は、愉快そうに笑った。
「……その声は、涅隊長!?」
声のする方を見て変わり果てたその姿を見つけ、 慈楼坊は驚く。
「そうだヨ…お前と同じ、この男に身体を壊されたのサ」
「なっ、なんと、涅隊長殿も!?」
涅も目の前のこの男に倒されたのだと言う事を初めて知り、慈楼坊は純粋に驚愕した。
「こ、この小僧…隊長をも負かす程の…」
慈楼坊の額に一筋の汗が伝い堕ちる。自分の戦った相手が、隊長格をも倒す程の男だったとは思いもしなかったのだろう。まさかそんなに格上だったとは…それではどうやっても適うはずがない。もしかしたら、自分は殺されなかっただけでも幸運だったのかもしれないのだ。
「それで…この男が捕まったと聞いて不様な様を見物に来たのサ。フフ…そう怖がらなくてもいいヨ、今は霊力を封じられた人形も同前だからネ。」
一度は瓶に戻りかけていた涅は再び這い出してくると、傷のショックでぐったりとしている雨竜の太ももをずるりずるりと這い回った。
「……そうダ、お前、この男が憎いのだろウ? 丁度いい…お前もヤるといいヨ」
「…ほ?」
慈楼坊は先程は怒りに我を忘れ、滅却師の顔しか目に入っていなかった。だが冷静になって見回してみると…その滅却師は全裸に剥かれ、その霰もない姿は雄の欲望のはけ口に使われているという、なんとも情けなく惨めな有り様であったことを知る。
「……ほぅ…」
あの澄ました憎らしい滅却師の、なんとも愉快なその姿。慈楼坊の口元に笑みが浮かぶ。
「それでは、…私も宴に混ぜて頂きましょうか」
「!?」
驚いたのは、意識の希薄な雨竜ではなく、死神達だった。皆死神の中でも1、2を争う慈楼坊の巨漢を見回し、そして雨竜の華奢な細腰に目をやった。その余りもの体格差に。
「よろしいでしょう?みなさん」
「い、いや…いいけどよ…」
断る理由は何もない。慈楼坊は不敵に笑うと、ぐったりとした雨竜の身体を片手で持ち上げた。ぬるり、とくわえていた死神のペニスを抜き取られ雨竜のアヌスからどぷどぷと白い液体が溢れ出す。その身体を軽く揺すっても、ぐらぐらと揺れるだけであまり反応はなかった。
「……四番隊さん、もう少し回復させてくれませんかね?」
「え、あ…はい」
無反応の雨竜をつまらなく思ったのか、慈楼坊は今度は先程とは反して雨竜の回復を要求した。台の上に雨竜を降ろすと、四番隊は雨竜の腕と、そして肉体の治療を施した。癒された肉体は、再び鮮明に意識を取り戻す。
「………う…ん…」
「起きたようですね、『鎌鼬雨竜』さん?」
嫌味と皮肉に塗れた口調で意識の戻った雨竜を迎えると、慈楼坊は片手で雨竜の身体を押さえ、投げ出された雨竜の脚の間に手を伸ばした。
「は…ぅ!?」
ずにゅ…
慈楼坊の指が雨竜のアヌスに侵入する。指、といってもなにしろ巨漢慈楼坊の指、普通の人のペニスと同等の太さがあるのだ。
「あ…あっ…!」
ずぶぶ…
慣らされた雨竜の其処が太い指を一気に飲み込んでいく。
「おやおや随分と淫乱だこと…」
指を抜き差ししながら、慈楼坊は雨竜の其処の具合を探る。既に普通のペニスくらいのモノなら簡単に奥まで迎え入れるようになってしまっている雨竜のアヌス。
「それでは…」
ぐちゅ…
慈楼坊は、其処にもう一本の指を添えた。
「!?」
雨竜の身体が強張る。
「もう一本差し上げましょうかね…!」
慈楼坊の指を喰わえている入口に、焼けるような痛みが走る。
「っ…!?あ、ぐ…おっ…ッぐあああああ!!?」
ギュブブブッ…!
雨竜のアヌスを無理矢理に拡げ、ペニス二本分に匹敵する指が雨竜の中に捩じ込まれる。全身を突っ張らせ抵抗する身体を易々と片手であしらうと、慈楼坊はその指をぐるりと回転させた。
「ひぎッ…!」
雨竜の背が激しく撓る。
「さぁ…これならどうです?淫乱滅却師、鎌鼬雨竜さん?」
慈楼坊はその指で激しく雨竜を突いた。
ギヂッ ズリュ グジュ!
根元まで強引に押し込んで、締る肉を力づくで押し分けて、何度も何度も突き上げた。
「ぐぅ、ア!アァ−ーっ!うっ、うっ、うおぁッ!」
苦しそうな雨竜の悲鳴がひっきりなしに口から溢れ出るのを、慈楼坊は愉快そうに眺める。
「苦しいのですか?ですが貴方のそんな痛みなど…全てを壊された私にくらべれば可愛らしいものよ…!」
慈楼坊の指がもう一本、非情にも雨竜のアヌスに添えられる。
「ヒィ!?」
雨竜の顔が恐怖に青ざめた。
「お、おい慈楼坊…いくらなんでもそれは…」
この状況から見て、これ以上は誰の目からも無理だと思えた。
「おや…死ななければ良いのでしょう?」
「…………」
だが周りにいた死神に、それを止める理由などなかった。
「い…や…」
ガクガクと震える雨竜のアヌスに、もう一本の『ペニス』が襲い掛かる。
ギチギチギチ…ミシッ、ミシッ
「ぎっ、ぁおおぉッ…!」
雨竜の額を滝のように汗が流れ、硬く閉じた目尻からもまた涙が次々と溢れ堕ちた。肉体の限界を訴え開口を拒む雨竜のアヌスをすごい力で圧迫する慈楼坊の指。だが身じろぐ身体を押さえ付ける大きな拳は雨竜の肉体に逃げ場などない事を物語る。
「貴方も…壊れるがいい…!」
慈楼坊は吐き捨てた言葉と共に、手に力を込めた。
「ーー!!」
ブチィ!
何かが弾ける感触。
「ぐあああああああああぁッッ!!!」
ずぶぶぶぶぶぅ…!
雨竜の絶叫が慈楼坊の指を三本その身体に受け入れる。
「………いったな…」
「……あぁ」
散々抵抗していた其処に急に抵抗がなくなったということが何を示しているかは、誰が見ても明らかな事だった。切れた雨竜の其処は血を流しながらも太い指を三本、しっかりと根元まで飲み込んでしまっている。
「ふふ…切れましたね?壊れましたね?締りが悪くなりましたよ滅却師!」
「う…うぐああぁッ、ひ、ぎあああああぁッ!」
慈楼坊はすっかり弛んでしまった其処を先程までと同じように指を激しく出し入れして嬲った。締りのなくなったただの穴は、指が三本激しく往復する度にぐちょぐちょと音を立てて血を流す。
「あがっ、ああぁっ!うぐッ!がはっ!」
腹の奥にまで到達する太い指が三本、雨竜の内側を掻き回す。ごろりごろりと雨竜の腹の下で何かが蠢いているのが表面からも見て取れた。そしてそうやって掻き回していたかと思えば、また再び激しく抽送を始めるのだ。
グヂュ!ズボッ!ズブッ!
「アアアァーーッ!うああああぁーーッ!」
雨竜はその指の与える拷問に狂ったように悲鳴をあげ続ける。
「……さて、このくらいでいいでしょう」
どのくらいそうしていただろうか、雨竜の叫び声が掠れ始めた頃、ようやく慈楼坊はそう口にした。
ぬるり…
散々雨竜の中を掻き回した真っ赤な指は抜き取られた。
「はっ、はッ、はぁ、はぁッ…」
雨竜は天上を見上げたままぐったりと台の上で荒く短い呼吸を繰り返す。指の抜き取られた其処は真っ赤になった口をゆっくりと窄め、途中で閉口をやめてしまう。切れてしまった雨竜の其処はもう元のように閉じる事は出来なかった。
「…気がすんだか慈楼坊?」
溜息まじりで死神が声をかけるが、慈楼坊はその声に驚いたような表情で返事を返す。なぜそんな事を聞くのかと言うように。
「おやおや、何を言うのです?これからですよ…」
その声は狂気を含んだように弾んでいた。
「な…?」
「今までのは単なる前戯、でございます」
慈楼坊は自らの袴を乱すと、己を外に掴み出した。その巨漢から存分に想像が出来た丸太のような立派な逸物が現れ、天を仰いで聳え立つ。
「!」
まさかその巨根をこの細い身体に捩じ込もうというのか。死神達ですらそのことに驚愕した。
「おい、いくらなんでもそれは無茶…」
誰ともなくそう口にしたが、慈楼坊はそんなことは聞き入れない。ぐったりとした雨竜の身体を鷲掴みにして持ち上げると両足を摘まみ上げ自らの昂りの上に乗せた。
「ーー!」
雨竜が怯えた瞳でその凶悪な物体を見つめ息を飲む。勿論それは性器の形はしているのだが、その大きさは見た事もない巨大なモノで…雨竜の太股ほどの太さがあるのだ。
くちゅ…
「ひ…ぃ…」
閉じない穴に太すぎるそれの先端が突き付けられる。
「ま…待て、無理だ慈楼坊…」
「もういいだろう?」
「おだまりなさい!」
しきりに静止しようとする仲間の声に、慈楼坊が苛立ったように怒鳴る。
「無理かどうかは…挿れてみればわかる事です!」
今の慈楼坊は雨竜に対する憎しみと復讐で、仲間の目から見ても行き過ぎにしか見えなかった。もともと人前ではどちらかというと温厚に振舞っていたこの人物が、今は恐ろしくさえ見える。それほど怒りの感情というものは人を変えてしまうのだ。
「ク…ククク…お前は面白い男ですネ。いいでしょう、私も手を貸そうじゃありませんカ」
そんな慈楼坊の行動を愉快に思い、涅は喜々としてその身を滑らせた。ずるずる慈楼坊の身体を這い上がると雨竜の股間に絡み付く。
「私も…この男には自ら手を下したいと思っていた所でネ…」
涅は不気味に笑いながら、雨竜の壊れたアヌスににゅるりと身体を滑り込ませた。
「うひぃッ!?」
ぬめる物体が意思を持って体内に潜り込み、雨竜が奇声をあげる。
「さァ、私を潤滑油にするのですヨ!」
「これはこれは…御協力、感謝致します」
慈楼坊の瞳が嬉しそうに細められ、なんとも鬼畜に微笑んだ。
「いきますよ…滅却師」
ググ…
慈楼坊は雨竜の身体をゆっくりと下に降ろす。
「ヒ…ひぃぃッ…!」
ぐぐぐ…
締りのない其処が押し当てられた巨大な先端の大きさにあわせてゆっくりと拡がっていく。
メリメリメリ…
抵抗のない筋肉が涅を潤滑油にして素直に口を開けていく。
ギチ…プチッ…ブチ、ブチッ
「う、ぐおぉッ…ぐぅっ、うあああぅッ!」
切れた筋肉が裂け、傷は更に穴を拡げていく。
メリ…ミシ…
だが、ある一定値から何かに引っかかったようにその穴はそれ以上拡がらなくなってしまうのだ。雨竜の身体は巨大な亀頭を半分も飲み込めずに止まった。
「…おや、これ以上入りませんね?」
骨盤が物理的に侵入不可能な事を訴えていた。肉体の構造的に、この体格差は無理だったのだ。
「はぁッ、はぁ、はッ…はぁ…!」
侵入が止まり雨竜が苦しそうに息継ぎをした。極限に拡げられた雨竜の身体からは頻りに血が流れ落ち、慈楼坊のペニスを伝い堕ちていく。気の狂いそうな苦痛を雨竜は頻りに頭を振って耐える。
「何をしているのでス?こんなものは壊してしまえばいいでしょウ?」
「…そうですね…?」
残虐な涅の助言に慈楼坊が不気味にニィと笑う。
「ふ…ぐッ…!?」
ギシ…ギシッ…ミシミシッ…!
慈楼坊の腕が雨竜の腰を掴み、強引に下に降ろしていく。
メキ、メキ…ピシッ…
雨竜の骨が軋みあがる。
「喰らいなさい、滅却師…!」
慈楼坊の手が強く雨竜の身体を下に押し付けた。
「!!」
ゴキッ!!
骨の割れる音。
「!!!!!」
ブチブチブチッ!!
裂ける音。
「ぎゃあああああああァーーーッ!!」
絶叫と共に雨竜は慈楼坊の亀頭をその細い腰にずぶりと飲み込んでいった。
「ふ…ふふ…どうです?御覧なさい!入りましたよ!?無理なものですか…ホラ、入ったのです!」
喜々として狂気地味た笑い声をあげながら、慈楼坊は己を受け入れた雨竜の其処を皆の前に良く見えるよう晒した。
「…………」
雨竜の其処は大きく裂け、その裂けた肉の隙間に太い棒が捩じ込まれている。こんなのは入った、なんてものではない。死神達はその光景にただ絶句する。
「さぁ…お楽しみはこれからです…」
ズズ…
「あがッ!?」
慈楼坊は雨竜の両足を掴み、身体を更に下に引っ張った。
ズボォッ!!
「ぐぎゃあああああああああああぁーーッ!!」
抵抗の何もなくなった穴を慈楼坊は力任せに貫いた。あまりの太さに耐え切れない腸壁は入口の裂傷に添って奥深くまで一気に裂け、深さの足りない雨竜の腹は肋骨をへし折って雨竜の腹を内側から大きく突き上げる。ボコンと雨竜の腹が慈楼坊の先端の形に突きあがった。
「ふふふ…イイ気味です…良い様です…!」
ずろろろろッ!
「お…がぁッ…ぐぉ!」
奥まで貫いた雨竜の身体を引っ張りあげ絡み付く内臓を引きずり出す。そしてまた、根元まで一気に叩き付けた。びちゃ、と血が床に飛ぶ。
「おあああああああぁーーーッ!!」
また、絶叫。
びちゃ、びちゃ…
大量の血液が慈楼坊の足下にこぼれ落ちた。
「ごふッ…かはっ!」
折れた肋骨がどこかに刺さったのだろう、雨竜は苦しそうに口から血を吐く。
「苦しいのですか?…ふふふ…私を怒らせた事を後悔するのですね!そらッ!そらっ!」
苦しむ雨竜を嬉しそうに眺め、慈楼坊は華奢なその肉体を激しくピストンさせた。
グボッ!ズボッ!ドプッ!グチャッ!
「がッ…ぐがっ!!…あがッ、ぐごッ…!」
激しく上下に身体を揺すられ、ガクガクと身体を震わせ雨竜の身体は不規則に痙攣した。瞳は裏返り白目を剥き、口からは絶叫と共に泡が噴き出し、顔面は血の気が退き蒼白になる。壊れた其処を執拗に攻め立てるその拷問に雨竜の精神は発狂寸前にまで陥っていた。
「…ホラお前達、こいつに言わせたいコトがあるのだろゥ?今なら簡単に言うだろうヨ?」
「え…?」
急に涅に声をかけられ、愕然とその光景を見ていた死神達は我にかえる。
「おアァッ!!ぐが、アアァ−−ーッ!!」
責苦に泣き狂う今の雨竜に正常な判断など微塵もないだろう。今ならば自白を促す事も首を縦に振らせる事も出来るかもしれない。
「…………」
だが、誰も彼に問いを突き付けようとするものはいなかった。目の前で身体を破壊され絶叫しつづける敵対種族を、皆いたたまれない気持ちで見つめている。
「……だらしのないやつらだネ…」
そんな死神達を鼻で笑うと、涅は雨竜の裂けた傷の隙間に身体を入り込ませる。
「ひぐッ…!」
傷口の狭間からねっとりと涅が入り込み、内臓と内臓の隙間を擦りあげる。
「ぐ、げぇッ…ごほッ!」
有り得ない部位を犯され、雨竜がまた血を吐き出す。
「まだまだ…まだまだ私は足りませんよ滅却師…!憎しみがッ!足りません!」
ズップ!グップ!ヌボッ!ズポッ!
「ぎゃああぁッ、うぐッ…がはぁッ!あぁッゥ、ぐがあああああぁあーーッ!!」
慈楼坊は自らも腰を使い雨竜を突き上げる。血液と涅が雨竜の傷から淫猥な音を醸し出すのがやけに不似合いでグロテスク。
「はがッ…ぐ……がっ…」
突然、ガクン、と絶叫していた雨竜の首が項垂れ、そのままぴくりとも動かなくなった。 漸く、意識を手放せた幸福。
「……気絶しましたね」
それに気付き慈楼坊が動きを止める。
「これではつまりません…起こしなさい四番隊」
「え!?」
自分に鉾先が向き四番隊が驚いて怯む。
「気付薬を持っているんだロ?さっさと使うんだヨ!」
せっかく楽しくなって来たのに面白くない、と涅も苛立った口調で命令をした。
「あ…は、はい」
四番隊は怖ず怖ずと薬瓶を取り出すと、ぐったりとした雨竜の口にそっと付けた。意識のない身体はそれを自力で飲む事はない。
「さっさと飲ませるンだヨ!」
「は、はい!すいません…っ」
四番隊はその薬をぐっと口に含むと雨竜の口に唇を当てた。薄らと開いた思いのほか軟らかい唇に薬を流し込むと、首を傾けて気管に入らないように喉を通らせる。
「……ん…」
薬が効いたのか、直ぐに四番隊の目の前で漆黒の綺麗な瞳がゆっくりと開く。
「あ…気がつきまし…」
「う…うわあああああああぁーーッぎゃああああぁーーッ!!」
「!!」
そして、意識を取り戻した瞬間から、絶叫。四番隊はその声に驚いて後ろに倒れこむ。
「ふふ…気がつきましたね…ッ!」
「邪魔だよお前、さっさと退くんだヨ!」
涅と慈楼坊は用済とばかりに四番隊を押し退け、雨竜を嬲り始める。
「ああああああぁあーーーッ!!」
「…………」
再び地獄を味わっている雨竜を、四番隊は沈痛な顔で見つめた。今、この苦痛を彼に再び呼び戻したのは自分なのだと。
「うあああぁーーッ…っ……」
がくん、再び雨竜の首が堕ちる。
「…またですカ」
「なんという根性のないこと…」
「!」
二人の視線が次に自分に向けられることを予測し、四番隊はビクッと身体を震わせた。何を言われるかは聞くまでもないからだ。
「………」
四番隊は咄嗟に手にした瓶を倒し、自分の袴に薬をしみ込ませる。
「もっ…申し訳ありません、さっきので…気付薬は最後です…!」
低姿勢に謝りながら、四番隊は空になった瓶を二人に見せた。
「何と…!?」
「使えない男だネ…!」
「申し訳ありません…!」
四番隊は逃げるように後ずさると、濡れた袴を気付かれないように他の死神の影に隠れた。周りの死神からは彼が何をしたのかは一目瞭然、だが、誰も何も言わなかった。
「仕方がありません、まぁいいでしょう。それでは…これで我慢しますか!」
既にただの筒と化した雨竜の肉体を慈楼坊は何度も己のペニスに激しく乱暴に叩き付けた。動かない身体が揺れ、雨竜の白い太股を、慈楼坊の太いペニスを、真っ赤な血が大量に流れ落ちていく。その様に満足しているのは慈楼坊と、涅の二人だけ。あとの死神達は目の前の狂行に皆言葉を失っている。
「…………」
無言で見つめる死神達の前で、復讐に塗れた狂気の宴は延々と続いていた。
「……大丈夫、生きてるよ」
四番隊は床に投げ出された雨竜の口元と胸に手を当て、静かに言った。
慈楼坊に散々突き上げられた肉体は下半身を真っ赤に染め、既に行為の中盤から意識もなく揺れるだけの人形だった。ひょっとしたら、もう既に死んでいるのかもしれない、誰もがそう思った程だ。だが、雨竜はまだ生きていた。
「そ…そうか…良かった…」
「死なれちゃ困るしな…」
「あぁ…」
慈楼坊は息がきれる程夢中で雨竜を陵辱した後、すっかり崩壊した雨竜をみると満足そうな言葉を吐きかけて部屋を後にした。最後の死神の仕事が満足のいくもので良かった、と不気味に笑いながら。涅も無反応の雨竜に飽き、あれから直ぐにさっさと帰っていってしまった。
漸く凌辱から解放された雨竜の其処はもう、目も当てられない程に悲惨な状態。大きく裂けたかつてアヌスだった其処は内側の裂けた直腸を目視できる程に真っ赤な大きな口を開き、内臓の一部が外に引きずり出され、はみだしている。砕かれた骨盤は形の良かった雨竜の尻を醜く変型させ、折れた肋骨は内臓に突き刺さり口からも、下からも、大量に血を流している。
それでも、雨竜はまだ生きていた。
「……括約筋断絶…直腸裂傷…尾底骨粉砕…内臓損壊…肋骨骨折…一本、二本…」
損傷箇所を確認するようにぽつりぽつりと呟くと、四番隊は溜息をついた。
「……まだ、続けるの?こんなこと…」
「…………」
誰も返事はしない。
「いつまで…するの?」
もう一度、四番隊は誰にでもなく問う。
「そいつが……自白するまでだよ」
誰かがその問いに答える。その為にしている、罪を認めさせる為に、自白させる為だけに。それは全員一致の事だったはず。
「でも…………してないよ」
だが、四番隊は己の中の疑問をもう隠せなくなっていた。
「してないよ…このコしてないよ!犯人じゃないよ!皆だってわかってるんでしょ!?」
「お前ッ…!?」
それは言ってはならない暗黙の了解。
「このコ… 慈楼坊さんだって、涅隊長だって、殺してないんだよ!?どうして藍染隊長だけ殺すのさ?ねぇどうして!?」
「……それはっ…」
「きっと、殺し損ねたんだ…ッ 」
「そ、そうだ!」
苦し紛れに答えた言葉に、四番隊が首をふる。
「慈楼坊さんを治療に行ったの僕だよ…鎖結と魄睡を適確に狙って、それ以上留めは刺していなかった…!」
「い、急いでたから留め刺さなかったんだろ?あいつ追われてたし…!」
「違うよ、あえて外してたんだよ!」
これだけの見事な命中力をもっているなら、一撃で仕留めることだって出来たはずだ。それなのに、滅却師は慈楼坊を殺しはしなかった。
「それに、ネムさんだって言ってたんだ…」
そして四番隊はそれまで誰にも言った事のなかった事を口にする。
「滅却師に…ありがとう、って………!」
「…………!?」
皆の表情が驚きと動揺に乱れる。
慈楼坊に続き、ネムの救出にも向かった四番隊は、迂闊にもまだ滅却師が立ち去る前に到着してしまった。姿を現しては戦闘力の低い自分は殺られると思い震えながら隠れていたが、二人の話している会話の一部がハッキリと聞こえたのだ。
『ありがとうございます』
滅却師にそう言ってネムが僅かに微笑んだのが忘れられなかった。ネムが敵に向かってそんな事を口にした事が涅に知られれば、またネムが涅に酷い目にあわされるのではと思い、今までずっと黙っていたが、なぜネムがそんな事を言ったのかは心に引っかかったままだった。お礼のその意味が謎に包まれていたのだ。だが今日、慈楼坊と涅が戦った相手が同じ『滅却師』だとわかった時にその謎は一気に解けた。
殺せたのに、とどめを刺さなかった。そういう事だったんだろう。滅却師にとって一番憎むべき死神である涅マユリ、だが、滅却師はそんな彼を殺せたのにもかかわらずとどめを刺さなかった…だから、きっと『ありがとう』だったのだ。
「そんなのは…お前の聞き間違いだろう!」
だが周りの死神達はそれを認めるわけにはいかなかった。滅却師は自分達の敵でなくてはならない。死神に殺意を持っていなくてはならない。それでなければ、この計画は成り立たない。
「そうかもしれない…でも…」
たしかに、あの言葉はただの聞き間違いだったと言う事もできる。聞いたのは自分しかいないから、何も証明するものはない。だが、四番隊は何にも代え難い矛盾を口にしてしまう。それを言ってしまったら、もう言い訳など出来ないような矛盾を。
「思いだしてみてよ…藍染隊長、刃傷で殺されてるんだよ?滅却師の武器って…弓じゃない?このまま犯人にしたってさ…どう考えたって、辻褄合わないよ…」
「…………ッ」
誰も、何も言う事が出来なくなってしまう。そのことに気付いていなかったわけじゃない。気付く事を避けていた。決定的な矛盾が生じてしまうから、滅却師を犯人にする事ができなくなってしまうから…だから、その事には誰も触れてはならなかったのだ。
「…んな……ッ」
一人の死神がぐっと拳を握りしめ、四番隊に歩み寄るとその襟元を掴みあげた。
「んなこと…んなこたぁ最初からわかってんだよ…ッ!わかってただろッ!?それでも…あいつにしようって、皆で決めたんじゃねぇかよ!!何を今更…ッ!!」
「…………」
藍染殺害の犯人候補に真っ先にあがったのは滅却師。だが、誰もが彼の武器が弓であることも知っていた。それでも、犯人が必要だった。だから…犯人にするしかなかった。矛盾を隠すしかなかった。矛盾には気付かない振りをして、都合良く敵対種族を悪に仕立て上げる事でこの事件を解決したかったのだ。
「てめぇ…自分の隊長が疑われても何とも思わないのかよ…平気なのかよ!?」
己の隊長に疑いがかかる前に、真犯人を召し上げなくてはならなかった。それが、死神にとって一番平和で秩序の乱れない選択肢だったから。
「……卯ノ花隊長は犯人じゃ無い」
四番隊は襟をつかまれながらも、相手をキッと見据える。
「隊長を信じてる…だから真犯人をでっち上げる必要なんて無い…!そうだ…隊長を信じているなら、最初から、こんなことする必要なんてなかったんだ…!」
隊長に疑いがかかるかもしれない、そう言われ、その言葉に焦りを感じ皆と同様にこの計画を暗黙に受諾してしまった。隊長を信じていればそんな不安など感じなかったはずなのに、気の弱い自分は皆に言われるままに流されてしまっていたのだ。
だけどもうこんなことは続けたく無い。隊長を信じている、だから、もう流されない。
「そんなこと…今更だろぉがッ…てめぇだって黙認してただろッ!?」
「たとえ今更だって、間違ってる事は間違ってるよ!もう嫌だよ、こんなことやめよう!?」
「今更なんだよッ!!」
「…おい、やめろって…!」
「離して!」
小競り合いを止めようと仲裁に入る仲間の手を解き、いつも消極的な彼は周りが驚く程に退かなかった。誰よりも積極的にこの滅却師犯人説を説き、誰よりも強く滅却師を犯人にすることを望むこの男に、彼はどうしても言いたかった。
「それとも君は…そんなに自分の隊長を信じられないのかい!?…三番隊!!」
「ーーー!」
四番隊の襟を掴み上げていた死神の顔が強張る。そしてまた、周りにいた死神達も。
「…疑ってるのかい?自分の隊長を!!」
「…………!」
三番隊の死神の額にどっと汗が噴き出す。これもまた、暗黙の禁句だった。
「なにをッ……い、市丸隊長は…ッ…!」
三番隊は速答で否定する事が出来ない。出来ないから…犯人がほしい。犯人が他にいれば、隊長を前のように信じる事ができるから。だから、どうしても滅却師が犯人になってほしかったのだ。
「…もうやめろ!いいかげんにしろ二人とも!」
見兼ねた仲間が二人の間に割って入った。どちらの言いたい事もわかる。だが、何が一番良い方法なのかは…わからない。本当にこの事件が解決しない限り、この答えなんて出ないのだ。
衝突していた三番隊と四番隊は、お互い無言になり漸く争いをやめる。そして四番隊は襟を正しながら、溜息混じりに言った。
「僕…この仕事他の人に替わってもらうよ……」
「……勝手にしろ」
非難するものもなく、とめるものもいない。四番隊はスッと仲間の輪から離れると、床に倒れている雨竜の傍に屈みこんだ。
「僕……このコ治すよ……?」
「……………」
誰も何も言わない。
「一晩でどこまで治せるかわからないけど…やってみる…」
四番隊の唱える鬼道が雨竜を包み込む。
「……勝手にしろ…」
死神達はそう言い残すと、一人、また一人と部屋を出て行った。
四番隊の行動を非難する者は無く、また、とめる者も誰一人としていなかった。
崩壊 〜終〜
2005.05.28