君と保健室で



「んっ……」
 歩く度に、中に押し込まれた物体が外に出ようと雨竜を内側から刺激してくる。痛みではないが、なんとも言えない違和感だ。それでも雨竜は、授業に遅れないように少し歩みを急がせる。
 ガラ…
 教室にはまだ教員は来ていなかった。なんとか授業には間に合ったらしい。雨竜は少し安堵して戸にもたれ掛かる。
「石田」
「!」
 後ろから急に声をかけられ、雨竜は体をびくつかせた。
「何やってんだおめぇ?」
「黒崎…」
 教室の戸にもたれ掛かってぼんやり中を見つめていた雨竜に声をかけたのは一護だった。
「っつうかお前、昼休みどこ行ってたんだよ?」
「…それは…!」
 視線を感じて横目で教室を見やると、突き刺さるような笑顔で水色がこちらをみている。
「…ちょっと……銀行に…」
 雨竜にしては、上手い嘘だった。
「ふぅん?」
 その時、教室のドアの前に教員が現れた。
「コラ!黒崎!さっさと席につけ!」
「ちっ、なんで俺だけ…ったく、石田も同じだろうが!」
 一護は教員に自分だけ注意され、文句を言いながら席に戻っていった。雨竜もゆっくりと、だが足早に席に着く。できるだけ自然に見えるように。
「……あ…っ…」
 席に着いた瞬間に、入口を押さえていたテープがパリッと剥がれる感触がした。そしてその拍子に内側の異物が雨竜の入口を内からグッと押し上げる。
「……っ!」
 生理現象に従い、体外に排泄しようとするその動きを、雨竜は下半身に力を入れて堪える。気を抜けば顔を覗かせてしまいそうな異物を、其処にきゅっと力を込めて押しとどめる。授業中にトイレを我慢しているのに似ているだろうか。雨竜の膝が細かくカタカタと震え出す。
(早く授業が終われば良いのに…!)
 普段なら考えた事も無い気持ちが雨竜を焦らせる。
「石田」
「!!」
 急に自分の名前を呼ばれ、ビクン、と雨竜の体が跳ねた。
「これ、解いてみろ」
 教員が指した黒板には、ごちゃごちゃと数式が書かれている。他の生徒はともかく、雨竜にとってはたいして難解な問題ではない。…だが。
「……ぅ…」
 立ち上がれなかった。仮に立ち上がれたとしても、クラス全員が注目する中、黒板まで自然に歩いて行って皆に背を向けて立つなど…この状態では恐くて出来ない。
「どうした石田?お前には簡単だろ?」
「………」
 決して難しい問題じゃ無い。でも…。
「…わ………わかりません…」
 教室がざわめいた。
「わからない?お前がか石田!?」
 一番驚いていたのは教員だった。雨竜に模範解答をさせようとした所、予想外の答えが返って来たのだから、そりゃ驚いただろう。
「…わ…わからないんです…」
 また教室がざわついた。
「おいおい、冗談だろ?」
「ありえなくね?石田がわかんないとかって」
  カァ…と雨竜の顔が赤くなる。ただでさえ何事もなくさっさと終わって欲しいと願っていたところに、この必要以上の刺さるような視線。額と掌にじわりと汗が浮かび膝がカクカクと震える。
(嫌だ…ーーっ、僕を見るな…ッ!)
「せんせー!」
 ガタン。と一人の生徒が立ち上がった。
「石田君、昼休みから具合悪がってたんです。僕保健室に連れていきま〜す!」
「小島…君…?」
 救いのような、悪魔の笑顔。
「なんだ体調が悪かったのか石田?それでか…わかった。小島、連れて行ってやれ」
「はーい!」
 水色は雨竜の隣に駆け寄って来ると、耳元でこそっと囁いた。
「…そんなに感じちゃってると、一護にバレちゃうよ?」
「っ…!!」
 ふと、斜後ろから心配そうな無言の視線を感じ、雨竜の顔が、また一段と赤くなる。
「ホラ、石田君立てる?大丈夫? 」
「………ありがとう小島君…」
 笑顔で手を差し伸べる水色に腹の中で無言の反抗をしながらも、表向き感謝の意を見せながら雨竜は水色に引かれ教室を出た。


「知ってた?この時間、保健の先生いっつもいないんだよねぇ」
「…いつまで居るんだ君は…ッ!?」
 保健室のベットに座った雨竜は、水色の手を振り解いた。
「別にいつまでいようと僕の勝手でしょ?」
「…早く出てってくれないか…!」
 早く、コレを抜きたいのに。
「せっかく助けてあげたのにそんな事言うんだ?悲しいな〜」
「ッ…もともと君のせいだろうッ…!」
 調子のいい水色に、雨竜が涙目になって怒鳴り返す。だがもちろん、そんなの水色にはなんの効果も無い。効果がないどころか、逆にそれを面白がっているようにも見える。
「ていうかさ、いいかげんソレ早く抜いたら?」
 そんな時に、水色が雨竜の一番気にかかっている事を口にする。
「君が出て行ってくれないからだよッ…!」
「あ、そうなの?そんなの気にしなくてもいいのに」
 水色はあははと笑うと、雨竜のベットにのし上がって来た。
「手伝ってあげるよ石田君♪」
「なッ…い、いいよッ!!ちょ、やめッ!」
 お構い無しに雨竜の上に覆い被さった水色は、雨竜の脚を開かせ服を脱がし始める。
 服の上からグッと雨竜の蕾を押すと、雨竜がビクンと大きく仰け反った。その隙に水色は雨竜のズボンをズリ降ろす。
「や…っ!」
  顔を現した雨竜の其処は、まだ行為の後遺症で濡れたまま、内側にオレンジ色の物体をちらちらと覗かせていた。
「ねぇ石田君、手使わないで出してみなよ」
 水色は雨竜の両腕を押さえ付けた。
「やだッ…!!」
「そう?何もしなくても出ちゃいそうだけど」
「やぁッ…嫌…っ!」
 両腕を押さえ付けられもがきながらも、水色の前に晒された其処からはじわじわと異物が顔を覗かせ始めている。どうやら雨竜は必死に其れを食い止めようと其処に力をいれているようで、其れは完全に顔を出す事無く少し顔をみせては中へと飲み込まれて行く。その繰り返し。
「あ…や…だ……っ」
 そうやって必死に堪えていた雨竜だが極度の我慢に、次第に体に力が入らなくなってくる。生理現象は、体内の異物を吐き出したくてしかたがない。
「嫌だ…もうやめて…」
「だから、出しちゃいなってば」
 恥ずかしさと苦しさで、雨竜がボロボロと涙を零す。
「ん……っ」
 だがもう我慢も限界だった。
「…くす、見えてきたよ石田君」
「や…嫌……や…ああぁッ…!」
 びくんと雨竜の両脚が痙攣したかと思うと、突然雨竜の其処がぐにゅっと大きく拡がり、内側からソーセージが顔を出す。
「いやぁぁぁッ!」
  ぐ…ぬりゅりゅ…ぬるっ…
 必死の抵抗も虚しく、雨竜は水色の目の前でその異物を一気に吐き出した。
「ふあ…あぁ…」
 頭が真っ白だった。圧迫感から解放された開放感と、何物にも変え難い羞恥。雨竜はまた、瞳を涙で濡らす。
「…くすくす、こんな大きいの、ずっと今までナカに入れてたなんて信じられないよね」
 水色は雨竜から吐き出されたソーセージを摘むと、雨竜にみせた。
「う…うう…」
 雨竜は泣きながら、ただ首を振る。
(…ッ滅却してやりたい……!)
 当然それはしてはいけない事だ。だが雨竜はもし彼が不慮の事故で死亡し、何か未練をのこして虚になったとしたなら、ここぞとばかりに躊躇わず自分がまっ先に滅却してやろうと、心密かに思う。
 こんな事を考えるなんて自分はどうかしていると雨竜は思う。だがそれ以上に、水色の行動はどうかしていると雨竜は思うのだ。ひとつひとつの言動が、行動が、尋常じゃない。
「ねぇ石田君、君の此処…随分名残惜しそうにしてるね」
  くちゅ…
「やッ!?」
 異物を吐き出し、濡れた口をぱくぱくさせている雨竜に、水色は指を差し入れた。びくんと雨竜の脚がひくつく。
「…僕の…食べさせてあげようか?」
「な…!」
 水色の下品な大人のギャグに雨竜は一瞬面喰らうも、すぐにキッと睨み返す。
「ーーッ断る!」
 大体、昼休みに…ついさっきヤられたばかりだ。
「断る?」
  ぐちゅ…
 暴れ出した雨竜に、水色はもう一本指を差し入れる。
「…ッ!」
「君は断れないんだよ」
  ぐ…
 更に、もう一本。
「やぁっ!やめッ…!」
 3本に増えた指が与える痛みに、雨竜は声を荒げた。
「本当に…嫌、かなぁ?」
 くすくすと雨竜の反応をみながら水色はじらすように雨竜の敏感な所を刺激する。
  くちゅ…くちゅ…
 既に昼休みで水色は雨竜の弱い所など習得済みであった。
「い…やぁ…あっ…ッ」
 口では嫌だといいながらも、弱いトコロを頻りに弄られて雨竜は抗議の声に甘い響きを加えてしまう。
「嫌じゃないハズだよ?こんなに感じて…」
 その声を更にあげさせようと、水色の指が巧みに雨竜の中を動き回る。こういう時の水色は、やたらと大人びた表情をして見える。
「ん…ッ!」
  雨竜は襲い来る体の疼きを振払おうと必死に首を振った。
「 …嫌…っいいかげんに止め…ーーー!?」
 水色を払い除けようと暴れた雨竜は、急に口を閉ざし真顔になって廊下を見た。常人離れした雨竜の感覚が何かの気配を察知する。
 赤い霊絡。それがこちらに近付いてくる。
(…く……黒崎…!?)
 間違えるハズも無い、死神の…黒崎一護の気配。
「…石田君?どうしたのさ、観念した?」
 そんなことなど知りもしない水色は、雨竜がおとなしくなったのをいい事に雨竜の上に乗り上がった。
「…さき……黒崎が…来るッ!」
「え?」
 慌てた様に小声で叫んだ雨竜に、水色も少し驚いていた。
「来るって…なんでそんなのわかるの?」
「…ッ…いいから、はやくよけ…」
「まさか、これが『愛の力』とか言っちゃう?」
「いいから早く隠れてッ!!」
 バサッ!!
 ガラッ!!
 その二つの動きは同時だった。開けられた保健室のドアの向こうには、一人の学生が立っていた。もちろん、それはいうまでもなく黒崎一護。
「…何か一人で騒いでなかったか?」
「な…何?…い、いや、なんでもないよ!?」
 雨竜は下半身にかけた蒲団をバサバサと直しながら、保健室に入って来た一護に答えた。
(……ホントに一護が来たよ…びっくりだね〜『愛の力』!)
 雨竜の立てた膝の下に身を丸めて潜り込みながら、水色はお門違いな感心をする。実際、人が来る気がするだけではなくその人物まで当ててしまった雨竜には驚きなのだが。
「水色はいねぇのか?」
 教室に戻っていなかった水色の姿がない事を疑問に思ったのか、一護はあたりを見回し言った。
「あ、えっと…ついさっき出て行ったけど?」
 雨竜が上擦ったようなトーンの高い声ですかさず言った。あいかわらず嘘は上手く無い。
 だが一護はそれにはたいして気をとめていなかった。雨竜のテンションが時折必要以上におかしくなる事は、あまり珍しい事でもないからだ。一護にとっては雨竜のテンションの波には慣れっこだ。それが幸いし、疑っている様子は無い。
「あっそ?どっかでサボってんなあいつ」
(ここにいるんだよ〜♪)
 二人の会話を聞きながら、水色は笑いたくなるのを堪える。
「…君は?…君だって今授業中だろ?どうして?」
「便所行くって抜け出して来た」
 一護は傍にあった丸椅子に腰掛けると雨竜のべットの脇に寄せた。
「なんでまた抜け出して…」
「……その…大丈夫か?」
「え!?」
 一護が心配そうに覗き込んで来た。一護は雨竜の事が心配で見に来てくれたのだ。雨竜の顔が赤くなる。
「あ……」
 一護の手が少し汗ばんだ雨竜の髪をかきあげ、細い首を包む。
「少し熱あんのか?」
「あ…あの…」
 火照っている体は熱のせいじゃないのだが。でも本当の事は言えない。
「この間といい、あんま無理すんなよ馬鹿」
「ム…馬鹿とはなんだ!馬鹿とは!僕だって…ん…っ…黒…崎……」
 そのまま一護の腕が雨竜の顔を引き寄せ、反論を始めた雨竜の口を塞ぎ
、ゆっくりと輪郭を一つにする。
「ん…」
 雨竜の事を心配するあまり授業をサボってまで会いに来てくれた一護。その想いが触れた唇からしっとりと伝わり、雨竜はその背に腕をからめる。
(あ〜あラブラブだねぇ〜もぉ…おもしろくないなぁっ)
 自分がいるにもかかわらず、堂々といちゃつく二人に水色は苦笑する。ここまで蚊屋の外だと面白くない。
(…!)
 ふと目の前に雨竜の露出した下半身があるのを思い出し、水色は悪戯っぽくほくそ笑む。

「ん…ふ…黒…」
  くちゅっ
「…崎ぃあぁィッ!?」
「な…なんだよっ!?」
 まったりと口付けていた雨竜が、急に奇声を発したのに、一護は驚いて雨竜から離れた。
「どうした?」
 本気で心配そうに覗き込む一護の前で、雨竜の顔がみるみるうちに赤くなっていく。
(な…ななな何してるんだよーーーッ!!)
 その蒲団の中では、水色が雨竜の其処に指を差し込んで内側をくりくりと抉っていたのだった。もし今一護に蒲団を捲られ、中に水色がいるのを知られたら…何をしているのか見られたら、一護に何と思われるだろう。
「石田!」
「!」
 名前を呼ばれ、びくッと雨竜が我にかえる。とにかくこの場を、一護をなんとか誤魔化しきらなくてはと思った。
「え…あ…っ…。えっと…イタッ!そ…そう、お…お腹が…痛い…ッ!」
「はぁ?」
 咄嗟に思い付いた出任せだ。雨竜は慌てふためいた様に腹を押さえると、蒲団をしっかりと握りしめて蹲った。
(…ったく、いつも芝居がかってるくせに演技は下手だよねぇ)
 水色は苦笑しながら差し込んでいた指を一度抜き、増やしてもう一度差し入れる。
  ぐちゅ…
「ヒ…!」
 指が増やされ、雨竜は言葉を詰める。
「い…石田?」
「なんでもな…っ…この…ッ!」
 ブルブルと震える手で蒲団を握り、ベットを…正確には蒲団の下の水色をドン、と叩いた。
(小島…君…っ!!!)
「…なにやってんだお前?」
「い…いや…その…腹痛を、紛らわそう…かと…ベットに…や…やつあたりでも…と」
「はぁ?わけわかんないなお前って…」
「いや…そのっ…」
 雨竜だって、何を言っているのかわけがわからない。
「仮病か?ふざけてんのか!?」
「あ…あの…っ」
(…ホント面白いよね石田君は)
 笑いたくなるのを堪えながら、水色はさらに指を増やし雨竜の奥を掻き回した。
「うっ!?あ…っ…ッ…!」
 雨竜はあがりそうになった声を必死に飲み込む。
「…オイ、そんな痛いのか?」
 雨竜の奇妙な行動を訝し気に見ていた一護だったが、その本気で辛そうな様子に次第に心配そうな顔になる。
「大丈夫…っ」
 もし甘い声の一つでも漏らしてしまったなら、雨竜の『その声』を知っている一護にはたちまちバレてしまう。なんとかこの場を誤魔化そうと、雨竜は半笑いになりながらもなんとか平常心を保とうとつとめる。
(これでも大丈夫?)
 だが雨竜が必死に我慢すればする程、水色はそれを壊してやりたくなってしまう。水色は傍に転がっていたソーセージを手にとると、それを再び雨竜の中に捩じ込んだ。
「ね…寝たら治るから…ッんぅ…ひぃッ!?」
  ぬりゅッ
 突如体内に質量のある物が入って来る感覚に、雨竜はおもわず大きな声をあげてしまいそうになり、慌てて悲鳴を飲み込む。
(どこまで我慢出来るかなぁ?石田君ッ♪)
「や…ーーっ」
  ずぷ…ぐちゅ、くちゅっ…
 水色は今度は一気に全部は入れずに、ゆっくりと引き出したり、押し込んだりしてじわじわと雨竜を嬲り始めた。もっと薄い蒲団であったならば、一護に音まで聞こえてしまいそうな程に。
「…うーーーッ!」
 下唇を噛み締めて、雨竜がさらに蹲る。顔をあげれば声が漏れてしまう。
「…おい、大丈夫か!?」
 急に激しく苦しみ出した様子の雨竜に、一護も困惑してわけもわからず背中をさすったりしていた。
「…ッ、ほっ、ほっ…ホント、大丈夫だからッ!!」
 額にじっとりと汗をかき顔を赤らめて涙目で言う雨竜は、本当に具合が悪いのではないかという様子に見えなくもない。
「大丈夫ってお前、そんなに…」
「ほ、ホント平気…」
 だから早くこの場から立ち去ってくれと、祈るように雨竜は思う。
(くす…これでも平気かな?)
 そして雨竜が堪える程に、この男は調子に乗ってしまうのだ。
  ズッ!
 水色は、 ソーセージを一気に奥に押し込んだ。
「痛ぁッ!?」
 ビク、と雨竜の体が跳ねる。
「うわッ!おい石田!?

「ん…んん…ッ」
「い…痛いのか!?ヤバいのか!?お…オイ!?」
 顔を真っ赤にして涙を零し始めた雨竜を見て、一護も尋常では無いと察して慌てる。おろおろと周りを見回して見るものの、保険医は留守。苦しむ雨竜を目の前に成す術もないのである。
「お…俺、保健医探して来るッ、待ってろ石田!」
 一護は勢い良く立ちあがる。
「あっ…黒崎…そんな…あッ!」
 呼び止めようとしたが、黒崎はバタバタと医務室を飛び出していってしまった。
「………ふぅ」
 とりあえずは…この場はバレずに済んだようだが、またすぐに一護は保険医を連れて戻って来るだろう。しかし今はその事よりも…
「〜〜〜〜小島くんッッ!!」
 バッ、と雨竜は蒲団を捲った。
「アハ、そんなに感じた?」
 雨竜の股の間から水色がひょこっと顔を出し、悪びれもせず言う。
「くっ…くッ、黒崎にバレるじゃないかッ!?」
 顔を真っ赤にして涙目で雨竜が訴える。
「バレるかどうかは君の演技しだいでしょ?」
「そッ…そういう事を言ってるんじゃないよッ!」
 水色にとって、一護にバレないようになんてことはあまり関係ない。別にどっちでもいいのだ。だが雨竜が一護に必死に隠そうとするから、かえってそれが水色の興味を引き、邪魔したくなってしまう。そういう悪循環なのだ。
「あぁそうか…」
 くす…、水色が笑う。
「僕との関係は一護に隠したまま続けたいんだね?」
「な!?」
「一護に見つかったらもう僕と出来なくなっちゃうもんね?」
 雨竜は困惑する。
「そ…そういうんじゃ…」
「そういう事でショ?」
「違…」
「じゃあさ、一護に僕とsexしたヨって言っちゃえば?僕、別に構わないよ?」
「いッ!?言えないだろそんな事!!」
「ほら」
 くすくす、水色は雨竜を見て笑う。
「やっぱり、僕とこっそり『不倫関係』続けたいから言わないんでしょう?」
「ち…違う…っ」
 雨竜は何と言い返してよいかわからなくなる。こんな関係は二度とゴメンだが、
一護には知られたく無い。でも…もうどうしたらいいのかが解らないのだ。最初に拒めなかった事で、全ては敷かれたレールの上を進むしかなくなってしまっている。
「それよりさ…僕もう我慢出来ないんだよね」
「な…ッ!?」
 水色は蒲団から這い出ると、いきなり雨竜の上に覆い被さって来た。
「挿れるからね」
 雨竜の脚を拡げさせその真ん中に体を割り入れると、水色は制服の下から己のみを露出させ雨竜の体に押し付けてくる。熱い昂りが、散々弄られた雨竜の其処に突き付けられた。
「ちょ…なッ!?…あーーッ!」 
 突然の事で、雨竜はその脚を閉じる事も水色を押し退ける事も出来なかった。水色が、雨竜をこじ開ける。
  ぬぷ…ズッ!
「!?」
 雨竜の瞳が見開かれる。その『異物感』に。
「あ…うあぁッ!?」
 雨竜がバタバタと暴れ出した。
「ほら、おとなしくしなって」
 水色は暴れる雨竜の腕を押さえ付け、腰を進める。
  グッ…
「ひィッ!?」
「ん?」
 水色の先端に何かが当たった。
「ひぁ…やめッ、…ダメ…だッ…んっ…中、入ったまま…なの…にッ!!」
「え?」
 そう、まだ雨竜の中には先程の大きなソーセージが入ったままだったのだ。水色は気が昂ってその事を忘れていた。まだソーセージが入ったままの雨竜の中に、水色は自分のモノを更に突き入れようとしていたのだ。既にソーセージでいっぱいになっているというのに。
「……ま、いっか?」
 だが、にこっと笑うと水色はそのまま腰を突き入れた。
「何…がッ、良くな…」
  ずぶぶっ!
「ひ…ひあぁーーッ!」
  ぐぐぐ…
 水色に押され、雨竜の奥へ奥へとソーセージが押しやられていく。
「や、ああぁッ!ダメ…!」
 ソーセージの長さに水色がプラスされ、普段感じた事のないくらい深くに異物がり入り込んでいく。まるで水色のモノが異常な程長大になって雨竜を突き上げているようだった。
「ん〜ん、あいかわらず狭いなぁ石田君ッ…!」
  ずず…ずぶぶ…
「や…あぁッ!奥入っちゃ…うっ…ヒ!…ひ…あぁッ!」
 体を強張らせて抵抗する雨竜に、水色は無慈悲にも力一杯腰を打ち付けた。
  ド…ッ!
「あぐゥッ…!?」
 体の奥に異物が当たり、雨竜が体を引き攣らせる。そして突き当たりまで届いてしまったそれは、そこで必然的に侵入を止めた。
「あれ?入んなくなっちゃった」
「はぁ…はッ…、小島…君っ…、…苦…しい…ッ!」
 体の中をいっぱいに満たされ、雨竜は苦しそうに呻く。こんなに奥まで入れられたのは初めてだった。あまりの圧迫感に吐き気までしそうだ。
「……石田君、僕のまだ全部入ってないよ?」
 それなのに水色は奥にぶつかっているソーセージをもっと奥まで押し込もうと、自分のモノで強引に押した。
「ひぃ!も…もッ…ダメ…いッ!?だ…ダメだ、って…言って…ひッ!やぁッ!」
 だが雨竜の体はそれ
以上奥への侵入を頑なに拒む。ぐいぐいと押される度に、進めないソーセージは雨竜の奥壁を突き上げる。
  グッ!ぐいッ、グリッ…!
  行き止まりの其処を、更に行こうと無茶な突進をしてくる。
「うぁ!?うッ…ぐぅ!も…入らない…よぉッ!」
 苦しさと痛さに雨竜が泣き出すのも構わず、水色は頻りに雨竜を突き上げる。
「んっ…だって、全部入れたいもん!」
「やめっ…小…島くんッ!ひっ…や…めてぇッ…!」
 いくら試みたところでもう奥へ行けない道は、そのまま進む事も無く水色自身を吐き出そうと跳ね返して来るだけだ。
  ぐっ!ぐいッ!ググッ!!
「あっ…く!痛ッ!…やめ…ッ!」
 それでも水色は一向に諦める様子も無く、力任せに強引に、雨竜の中に突き入れた。
「えいッ!」
 そして何度かの試みの後、その瞬間は訪れた。
  ぐぬりゅっっ!!
「!?」
 ビクン、と雨竜の体が大きく跳ね上がり、突然に水色が雨竜の中に全て飲み込まれた。それ以上奥に行けなくなったハズのそれが、全て。
「ひ…」
 これ以上奥への侵入が不可能な為、水色は既に挿入されている異物の側面へと進路を変えたのだ。既に動かなくなっているソーセージの横に水色の先端が滑るように捩じ込まれ、雨竜の中が一部分のみ、二本分の太さに拡げられる。
「わぉ!入った。」
「うわあああああああぁ……んぐッーーー!」
 悲鳴をあげた雨竜の口を咄嗟に水色が押さえ塞ぐ。
「だから声大っきいんだってばぁ!」
 相変わらずの雨竜の嬌声の大きさに苦笑すると、水色は腰を退いた。
  ぬる…っ
「ふぐうぅ…!」
 無理矢理横に拡げられていた部分が元に戻り、すっ、と雨竜の体が一瞬楽になる。だが、すぐに煥発入れずに水色は再び腰を突き入れた。
  ぐりゅ!!
 一度拡げられる事を覚えてしまった内壁は再び水色を受け入れる。今度はさっきとは逆サイドへと。
「んあああぁッ…ふぐッ!!」
「だ〜か〜ら、声大っきいてばもぅ〜!」
「あぐ…んッ!」
 水色は雨竜の口にハンカチを詰め込むと、雨竜の脚を抱えた。
「そんじゃいっくよぉ!」
「んン…!!」
  ず…ぬりゅ!ぐりゅッ…!ぬるるッ!
 雨竜の腰を抱かえるように持ち上げると、水色は腰を激しくピストンさせた。
「ン!!」
 雨竜の瞳が見開かれる。
「ンッ、んッ!んんんーーーッ!!」
 最奥を常に押し上げられながら、内壁は部分的に二輪挿し。狭い雨竜の内側を破らんばかりに縦横無尽に突き進む。そのあまりの衝撃にビクビクと雨竜の体が痙攣に似た震えを起こす。
「あ…コレ結構気持ちイイかも…。」
 それ以上奥にいけないソーセージの先が、水色の先端を右に左にと擦りあげる。それは雨竜の腹の下で何かが蠢いているのが外見から見てもわかる程だった。水色はその感触が気持ちよくて何度もそのまま雨竜の中を擦りあげた。 締め付ける雨竜の入口と、水色の先端を擦りあげる刺激。犯す者にとってはこのうえない快感の極地。
「んぐ…んがッ!んんッ…!」
 だがこの行為は雨竜にとって苦痛でしかない。 水色が雨竜の中に飲み込まれ見えなくなる度に、内臓の裂けそうな激痛が襲って来る。揺すられ、ガクガク揺れる雨竜の細い体は壊れそうなほど力無く水色に翻弄されていた。
「あッ…いい…!いくよ…っ、中に出すよッ…!」
「んぐ…!」
 雨竜の中で水色の体積がぐんと増した。内臓を圧迫する痛みもまた、ぐんと増す。
 終わりが近い。
「んン…んッ…んッーーーっ!!」
 こんな所で出されても、困るのだ。雨竜が必死に首を振ってイヤイヤをするがもちろん、そんな事は水色にはお構い無しだ。
「あ…イク…っ!!」
「んんンッ!?」
  どくん、どくんッ!
「ーーーーーっっ!!」
 生暖かい体液がソーセージの側面を伝って奥まで流れ込んでいった。雨竜の中が水色でたっぷりと満たされる。
「……ん…」
(く…ろ……さ…き……ぃ…)
 ピク…と指先が動いたのを最後に、雨竜は深い逃避の世界へと旅立っていく。



  ガラッ!
 保健室の戸が開く。
「連れてきたぞ石田!」
 一護
保健医を半ば引き摺る様にして部屋に戻ってきた。だが、返事は無い。先程あれだけ苦しがっていたのが嘘のように、シンと静まり返って答えの無い室内。一護は雨竜の居たベッドにかかっているカーテンを開けた。
「…石田?」
 まだ少し赤い顔をしてはいるが、肩までしっかりと蒲団をかけ、雨竜は眠っていた。 無言でベッドに横たわる雨竜を、一護はそっと覗き込む。
「なんだよ…人が必死に学校中走り回って探してきてやったのに…」
 そう悪態をつきながらも、一護は少し安堵したように苦笑した。容体が落ち着いたのなら、それはそれでいい。
「…どうやら落ち着いて眠りについたようだな。もう大丈夫だろう」
 一護の背後で保健医が息を切らしながら言った。
一護に腕を掴まれたまま校内を引き回されたのだ。40代後半の男にはたいした疲労だった。
「さぁ君ももう授業に戻りなさい、どうせサボる口実だったんだろうが?」
「…へいへい」
 いつものように自分に向けられる差別的物言いにうんざりしながらも、ひとまず雨竜が落ち着いた事で安心した一護は無愛想に返事をした。
「…ったく、あんま心配かけんなよ馬鹿!」
 雨竜の耳元にそっと口を寄せ憎々しく悪態をついて帰ろうとした一護だったが、ふ…と鼻をついたその香りに疑問を感じる。
「…?」
「何やってるんだ、早く戻りなさい!」
「……わーったよ!」
 急かされて不機嫌そうに答えながら、一護は追いやられるように保健室を出た。だが、何かが引っかかる。あの香りが、だ。
「…アイツ、あんなの付けてたっけか…?」
 一護は先程雨竜に顔を寄せた時に嗅いだ、嗅ぎ慣れない香りを何所かで嗅いだ事があるような気がして首を捻る。どこかで嗅いだ事があるような、誰かの匂いに似ているような、凄く良く知っている香りのような…。だが周りに感心の薄い一護には、それが何所で嗅いだ誰の匂いなのかが思い出せない。
「……思い出せねぇって事は…たいした事じゃねぇって事か………ま、いっか。元気になったみてぇだしよ」
 そして一護は、疑問をそこで終らせてしまうのだった。


 一足早く教室に向かって居た水色は、トイレに立ち寄り顔を洗っていた。
「……ぷぅ…」
  かいた汗の痕跡を洗い流し、ハンカチで雫の一滴も残さず拭うと、水色はポケットから携帯スプレーを取り出し自分に向けて数度噴射する。途端に清涼感溢れる霧が水色を包む。さっきまで淫らな行為をしていた面影などまるで無いような強力な消臭力。
「僕って…やっぱり優しいよねぇ」
 水色は行為の直後失神した雨竜の全身にもコレをたっぷりと浴びせてあげた。散々突きまわした其処にも、特に念入りにたっぷりと。すっかり奥まで入ってしまったソーセージはもう指でも取れそうになく、しょうがないからそのまま放っておいたが、消臭剤をしみ込ませたハンカチで雨竜に栓をし、匂いと流出をシャットアウト、目に見える部分は抜かり無くフォローしてきた。そしてまるで何もなかったかのように徐に寝かし付けてきたのだから、まさに、飛ぶ鳥後を濁さず、という諺そのものだ。
 そして水色は身だしなみの仕上げとばかりに、いつもつけている香水を取り出し、いつもより多めに首筋に吹き掛けた。これ見よがしに雨竜の首筋につけてきたのと同じ、その香りを。
「…でも一護は周りに感心が薄いから、きっと『コレ』にも気付かないんだろうな。一体いつ気付くんだろうね…?気付いたら…どうするんだろうねぇ……くすっ楽しみだなぁ。」
 水色は近い未来を想像し、一人で笑みを零した。


end

 

 

 見ていただけばおわかりのように、「僕達〜」の続編です。もともとここまでを一つの話としてかこうとしてたんだけど、根性なくって前後編みたいに区切られちゃっただけなのですよ。でも結果的に後半はソフトスカ&部分的二輪挿しな為、地下一階には置けなくなりました。前後に分けて正解?(笑)
 
柔軟性のない雨竜に二輪はちょっと無理そうかなと思ってたんですが、これなら入口一本だからOKかな?みたいな感じでかいちゃいました(笑)でも魅夜、これでも雨竜にちょっと甘いよね?もうちょっと虐めてもアリかな?(笑)

2003.05.15

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