そんなに僕が…憎いのか。







 

人形の嘆き




 


全てが僕のせいなのか


世界は救われたではないか
僕がいなければ救われなかったではないか
彼を護る為に
人間を護る為に
世界を護る為に
他にどんな方法があったのか言ってみるがいい
口先だけで正義を論じ
実行する勇気も無くただ非難する
あの時他に何ができたというのだ
他に方法があったならそうしている
あのまま悪魔に侵略されていた方がいいというのか?
それも嫌なんだろう?
大体お前達は勝手すぎる
自分達にその技術があったなら
迷わずそうしていたくせに

人間よ
お前達は何様だ
多くの同朋の命を弄んでおきながら
僕を裁く権利がどこにある
我侭で勝手で非道な生き物
全ての罪を負う存在が他に無くては自分の身を守れない哀れな偽善者
僕は人間にとっての必要悪
平和を手に入れれば人形に用などない
そんな生物を護る為に必死だった自分が
馬鹿みたいだ

たった一人の天使を失った事が
僕の一族全ての命より重いというのか

ふざけるなよ

僕を縛るがいい
弄ぶがいい
殺すがいい

醜い生き物め

人間よ
僕はお前達を



許さない






僕は憎い
お前が憎い
唯一の光を僕から剥ぎ取っていったお前が憎い
なにが慈愛に満ちた天使だ
僕の心が読めていたなら
僕の気持ちも知っていたはずだ
僕の唯一の支えが何なのかも
わかっていたはずだ
それでいて僕から全てを奪い取った
僕はお前を許さない

アルミネよ
誰からも愛される存在よ
死してなお慕われる命よ
お前が崇拝されるが程に
僕は忌み嫌われていく
犠牲になった者は美化され
残されたものは全てを背負う

自分には何一つ非は無いような素振りで
お前は偽善を振りまいている
お前だって結果的に同じ罪を推賞した同罪だ
僕が傀儡になるよりも君の方が適していた
それが事実だ
自ら望んだはずだ
理解しあったはずだ
納得したはずだ
彼の為になんだってできる
その言葉に偽りなどないのなら
それが本望だったはずだろう
それなのに何故

僕に罪を植え付ける

アルミネよ
僕を憎む事で存在をつなぎ止める偽善者の魂よ
そんなに僕が憎いか
こうして僕は元の地獄だ
今まで以上の地獄だ
満足かアルミネ

これで…お前は満足か?




僕のまだ見ぬ子孫達
ごめんよ
君達には幸せは来ない

だけどこれは忘れないで
いつか…彼が助けに来てくれるから
この地獄から救ってくれるから
約束…したから
だから

だから…




いつかは…その手に幸せを。



end

 

弱者の呟き

2004.10.20

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