「大佐、昨日は部屋にいなかったですよね?どこか行ってたんですか?」
アニスに問われ、ジェイドが微笑む。
「…いいところですよ」
「あ〜っ!!さては一人で遊びにいきましたねッ!?一体どこいってたんですか!」
「ふふ…ナ・イ・ショ・ですv」
「ずるいずるい!大佐だけずるーい!!あたしもいきたかったー!」
「いけません。アニスにはまだ早すぎますよ」
「ぶーぶー!」
意味津な言葉でアニスをからかい、
いつもと何ら変わる素振りなくジェイドは皆と合流した。
「…………」
そんなジェイドに不審な視線を送る瞳が一つ。
「…なぁジェイド」
「はい?」
声をかけてきたのはガイだ。
「何があった?」
「何がです?」
キムラスカの裏を知っている男故の勘繰り。
この国が、汚い事や卑怯な事をしていることも、
それを身を持って知っているから。
昨夜ジェイドの姿が見当たらない事が、気にかかっていたのだ。
「隠すなよ」
キムラスカ領地にマルクト軍人が一人。
しかもそれは、この国の誰もが怨み事を持っていてもおかしくない
難攻不落のネクロマンサー。
何もないほうが、おかしく思えるくらいだ。
「何かされたん…」
「ガーイ?」
ガイの言葉を遮るように、ジェイドはふざけた口調でガイの名を呼んだ。
「そんな事をいちいち気にしているようじゃ…すぐにハゲますよ?」
「なッ…!?」
心配そうな表情を浮かべていたガイの表情が、瞬時に崩れる。
「さぁキムラスカの許可もおりた事ですし、とっとと出発しますよ!」
「…ったく…」
結局いつもの調子ではぐらかされ、空白の夜は謎の侭。
ガイは呆れたように溜息を漏らしながらも、
急かされるがまま歩き出した。

end

2008.04.27

敵国で過ごした一夜。
あの夜に何もないわけないじゃん。
そう思いませんか?
魅夜はゲームやりながら悶々としてましたよ(笑)
どっちのほうがジェイドらしいかなぁと悩んだ挙げ句、
結局どちらも捨てきれずに二つの話をのせてしまいました。
どちらのお話の方がお気に召したか聞かせていただけると嬉しいですねv

 

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