「お断りします」
はっきりきっぱりとそう言い切るジェイドの腕を
ピオニ−が強引に引いていく。
「しょうがないだろ?お前じゃないと嫌だって言ってるんだから」
「放っておけばよろしいでしょう」
「そうもいかない、あいつは重要参考人なんだ」
あいつというのは、二人の幼馴染みにして現在は敵、ディストの事。
ジェイドに捕らえられマルクトの牢に投獄されてから、
ディストはジェイド以外の人間とは口をきかないと頑に口を閉ざし、
手に負えない駄々っ子状態。
今回の事件の核心にせまる情報を持っていると思われる人物なだけに、
そのまま放置というわけにもいかないのだ。
「私はアレに尋問なんてしませんよ」
「いいって、俺がするから。お前は黙って居るだけでいいんだよ」
しぶるジェイドを強引に連れ、ピオニ−はディストの牢に向かう。
「どこの世界に皇帝自ら捕虜の尋問なんてする人がいるんですか」
「俺。ピオニ−・ウパラ・マルクト九世様が♪」
その瞳は捕虜の尋問をするいう目的よりも、
悪戯をしたくてたまらないという悪ガキの瞳。
なにしろピオニ−にとってはジェイドもディストも
幼馴染みの遊び相手のお気に入りのからかい相手。
それが久々に二人も揃ってしまったのだ、
瞳が輝かないわけがなかった。
「………まったく…」
絶対何か企んでいる。
そうわかってしまうだけに、ジェイドは行きたく無いのだ。
「いよ〜うサフィール!」
牢の前にくると、ピオニ−は獄中の人物に声をかけた。
「…またあなたですか」
しつこくも何度もやってくるその顔に、ディストがうんざりとした表情を浮かべる。
どうやらピオニ−は単身、何度も顔をみに立ち寄っているらしい。
「あなたと話す事など何もありません!」
ディストはこの男が昔から苦手だった。
突然現れ自分とジェイドの仲に割って入ったあげく
ジェイドを奪い去った、憎き対象。
自分と正反対の性格の、そのなにもかもが、苦手だった。
「まぁそういうなサフィール」
「今はディストです!薔・薇・の・デ・ィ・ス・ト!」
「薔薇でも鼻垂れでも何だっていいよ」
「よくありません!」
いつまでも昔の名前で呼ぶ、そういうところも嫌いだった。
その名前は、ジェイドだけに呼んで欲しいのに。
「まったく、私は何も喋りません!いい加減に諦めてくださ…」
だがそんなディストのふて腐れたような態度は、
次のピオニ−の一言に一変する。
「ほら、ジェイドを連れてきてやったぜ」
ピオニ−の後ろから、明らかに嫌そうな顔をしたジェイドが姿を現した。
「なななッ!?」
その姿に、ディストがそれまでとはうって変わったテンションになり
牢の奥から格子際につめよってくる。
「じぇ…ジェイド!来てくれたのですね!あぁジェイドぉっ…!!」
「まったく…鬱陶しい反応ですねぇ」
がちゃがちゃと格子を鳴らしながら興奮気味で自分の名を呼ぶ男に、
今度はジェイドがうんざりとした表情を浮かべた。
「さ、連れて来てやったんだから喋ってもらうぞ?」
約束だ、とばかりにそう言うピオニ−に、
ディストがしらばっくれたように 言った。
「べ…べつに、ジェイドを連れてくれば口を割ると言った覚えはありませんよ?」
その態度に、ジェイドが溜息をつく。
「ほら御覧なさい。だからこんなものは放っておけばよろしいんです」
「そんなぁぁ!じぇいどぉっ」
「あぁもう鬱陶しい!」
「まーそう喧嘩すんなって、どうせこうなるだろうとは思ってたさ」
そんな態度も想定内だったのか、
ピオニーは喧嘩する二人をにこやかに仲裁しつつ
これから起こる事が楽しみで仕方がないという様子。
「お前が口を割らないっていうんなら、それでも構わないさ」
ピオニ−は格子越しに伸ばされたディストの手をつねっているジェイドに近付くと、
突然背後からその首に腕をまわした。
「…陛下?」
不信そうなジェイドの声。
「それじゃお前が口を割るまで…」
ピオニ−の顔が悪戯に輝く。
「ここでジェイドにエロい事し続けるからな」
「「なッ!?」」
驚愕の声が二つ同調する。
「何を考え…んんッ!?」
抗議しようと振り向いたジェイドの口を、ピオニーの口が強引に塞ぐ。
「きゃああああああああッ!?何をしているのですピオニ−ィィッ!?」
思った通り過剰に反応するディストに、ピオニ−の顔がニヤリとする。
「喋る気になったか?」
「なっ…」
これはこの男に何よりも効果のある脅し。
「陛下!ふざけ…んんっ!!」
煩い口は塞いで喋らせない。
「お前は黙っているだけでいいって言ったろ?ジェイド」
「冗談じゃありません!」
ピオニ−は暴れる身体を抱き竦め、手を服の中に差し入れる。
「あ…!」
ビク、とジェイドの抵抗が緩んだ。
「ほら…最近忙しくてしてないし?」
「な…にを…っ」
ピオニ−の指が服の下で蠢きジェイドの弱い所を探り当て
赤い突起をくりくりと弄ぶ。
「ん…っ」
もう一方の手は下に。
スリットの隙間から忍ばせた手をタイツの中に潜り込ませ
敏感な器官を握りしめ、指の腹で擦りあげる。
「ひ…ぁ…!」
びく、と身体を震わせ、ジェイドの身体から力が抜ける。
ディストがその光景に格子を激しく揺すりながら叫んだ。
「やっ…やめなさいピオニ−ぃぃ!!ジェイドが嫌がってるじゃ無いですかッ!?」
「…嫌がってる?」
ディストの言葉に、ピオニ−が笑う。
「嫌なのか?ジェイド」
「あっ…」
耳元に息をかけながら囁かれ、ジェイドの背筋がゾクリとする。
たしかに先程ピオニ−に言われたように、
ここ最近は国に留まる事が少なく、しばらくご無沙汰。
欲求不満気味の身体はちょっとした刺激でも過敏に感じてしまう。
「…っ、アレの前では、嫌…です…!」
だが、ディストの前ではジェイドは不本意だった。
「それって行為自体は嫌じゃないってことだよな」
「っアッ!」
握る手に力を込められ、ジェイドの声が高まった。
「こ、こらーーーピオニーーッ!やめなさいというのにっッ!!」
ついでにディストの声も高まった。
「へ、いかっ…いい加減にしてくだ…」
「皇帝勅命」
拒もうと発した言葉に重ねるように、いつもの卑怯なあの言葉。
「命令だ、抵抗を禁ずる」
「な…っ…」
こんな時まで、こんな下らない事まで、この男は職権乱用。
逆らえない無敵の言葉に、ジェイドが大きく溜息をつく。
「貴方という人は…」
「いいじゃないかジェイド、お前も楽しめよ?」
耳朶を甘噛しながら囁くと、ピオニ−の手が更に執拗にジェイドを求めはじめる。
「んっ…全く…仕方のない…人ですね…っ」
呆れたように苦笑しながらそういうと、
勅命により抵抗を禁じられたジェイドは、諦めたように身体をピオニ−に預けた。
そしてチラリと視線を正面に向ける。
そこにはワナワナと震えながら狼狽える男の姿。
ジェイドのサディスティック魂が、揺さぶられる。
「…まぁ、せっかくですから」
意地悪な笑みを浮かべると、ジェイドはピオニーに腕をまわした。
「ジェイド?…うぉ!?」
驚いているピオニ−の頭を捕まえると、ジェイドは自ら強引に口付ける。
強請るように甘えるように、いやらしく激しく。
「いやああああああああああッ!?」
途端に沸き上がる悲鳴に、ジェイドの口元が愉快そうに笑む。
「ここはひとつ…アレの反応でも楽しみますかv」
こうなった以上、ジェイドはディストを虐めで楽しむ事に決めたようだ。
ピオニ−が一方的にジェイドに悪戯するよりも、
ジェイド自ら進んで戯れるほうが、あの男は取り乱す。
その事をジェイドはよくわかっているようだった。
「おま…ホント鬼畜な?」
「何をおっしゃいます、ふっかけたのはあなたでしょうに」
そういってにっこり微笑むジェイドに、ピオニ−が苦笑を浮かべた。
ピオニ−もディストをからかって遊ぶのは好きだが、
ジェイドはピオニ−よりもっと以前から
ディストをいじめてきたのだったという事を思いだす。
ディストいじめに関しては、この男のほうがピオニ−より上手なのだ。
どちらにしろ、二人の利害は一致した。
久々に、この男を虐めて遊ぶという目的の為に。
「それじゃ…やるぞジェイドv」
「えぇ、陛下v」
「え…ちょ、ちょちょちょっと貴方達!?」
二人のいじめっこは意地悪な微笑みでディストに微笑みかけると、
わざとらしく牢の前で熱い抱擁を繰り広げ始めた。
「いやあああああああぁあああああッ!!」
35男のヒステリックな悲鳴が牢に響き渡る。
「ちょっと…やめ…!あァッ!なんてことを、嫌ーーッ!!」
取り乱す捕虜を面白そうに見つめる二人の苛めっ子は、
これ見よがしにディストの前で絡み合う。
「ん…っ、陛下…ぁv」
ピオニ−の手がジェイドの弱い所を探り蠢き、
ジェイドはそれに応えるように甘い声を漏らす。
演技まじりに、大袈裟に。
捕虜の反応を楽しみながら。
「イイかジェイド」
「は…んっ」
だがそれも次第に、本気に。
「あ…あ…っ」
欲求不満がちだった身体が本能的な快楽を求め、
与えられる刺激に素直な反応を示しはじめてしまう。
「何だ…今日はいつもより感じやすいな」
「ま…さか、演技です、よっ…」
「きょ、今日はって何ですか!?まさか貴方達…いつもそんな事を…!!」
割って入る煩い言葉は、無視。
「キー−ーッ!ジェイドを離しなさいピオニ−!!」
「見られてる方が感じるのか?」
「違…いますよ…!」
否定しながらも、ジェイドの赤らんだ顔は己の興奮を隠し切れていない。
「そろそろ…欲しいだろ?」
ピオニ−が甘く囁く。
「なっ、なっ、何をいってるんですかピオニ−!?」
「否定しないって事は、肯定ということだな」
「ぁ……ッ!?」
ピオニ−の手がジェイドのタイツを引き裂いた。
破れた黒い生地の下から、白い肌が露になる。
「まったく…あなたは本当に…」
破るなといつもいっているのに、これだ。
「この方が、興奮するじゃないか」
「やれやれ…貴方という人は」
「えぇーい!貴方達私の話を聞いているのですかッ!?」
呆れた様に溜息をついたジェイドの声をかき消すように、
部外者の悲鳴めいた叫びが会話を割る。
「まったくあいかわらず煩い奴だなぁお前は…」
自らそうさせた張本人でありながら、
あまりにもきーきーとやかましい男に、ピオニ−が面倒くさそうな声をあげる。
「お…そうだ」
だがすぐに、なにかを思い付いて口元に意地の悪い笑みを浮かべた。
「………なぁ、サフィール」
「なっ…何ですか急にッ!」
それまで丸無視だったのにいきなり自分に声をかけられ、
少し驚いた声でディストが答える。
「見た事あるか?」
そう言うと、ピオニ−はディストに向けてジェイドの脚を拡げさせた。
「ちょッ、陛下!?」
「!!!!!!!!!!!」
真正面にジェイドの露な箇所を晒され、
それまでひっきりなしに何やらぐちゃぐちゃと喋っていた男の声が止まる。
「なっ…なっ、なっ…!?」
口をぱくぱくさせ、ディストの青白い顔が見る間に真っ赤になった。
ピオニ−はそれを見て楽しそうに微笑む。
「ほら、よく見ろよ」
そして、開かせたその脚のその中心に聳える塔を握りしめる。
「これが…ジェイドのだぜ」
「!!!」
陸にあげられた魚の様にぱくぱくしていた口はとまり、
今度はあんぐりと開きっぱなしに。
その視線は、ピオニ−が握りしめたそこを凝視している。
「ちょ…っと、陛下…っ!何もそこまでサービスは…っ!」
ジェイドはもともと虐めて反応を見て楽しむだけが目的で、
何もアレに自分のそんな姿を見せてやる気は更々無い。
ジェイドが怒ったような口調でピオニ−の手から逃れようと身を捩った。
「皇・帝・勅・命」
「〜〜〜ッ!」
だが抵抗は、最高位の命令によって禁止されている。
ジェイドはその言葉を耳にすると、ビク、と抵抗を止めた。
「それでよろしい」
軍人にとって、これ以上ない程の絶対命令。
「…あとで覚えていて下さいよ…」
「お?今の発言は不敬罪に値するぞ?」
「…………」
何を言っても、この国最高権力者の言葉には適わない。
ピオニ−にとって本気でジェイドを黙らせようと思えば、力などいらないのだ。
権力は、力にも勝る暴力。
「ほら、サフィ−ル」
卑怯な手でジェイドを黙らせると、
ピオニ−は指でジェイドのつなぎ目をなぞり下降させていく。
「あ…っ」
「そしてここが…」
その指先が更にジェイドの奥まった箇所を示し、ぴたりと止まった。
「ジェイドの…いやらしいアヌスだ」
指は、示した其処にヌプりと潜り込む。
「ひッ…!?」
指を飲み込んだジェイドの身体が跳ね、悲鳴に似た声があがる。
「な?いやらしいだろ…ジェイドのココ」
ピオニ−はその指を、ぬぷぬぷと出し入れさせた。
ディストに良く見えるように。
「ん…っ、あ…っやめ、なさ…ッ! 」
中に潜り込んだ指は、くいと角度を変えて
探り当てた其処を指先で刺激する。
「ふぁッ…!?」
ピオニ−の指はジェイドの弱い所を本当に良く熟知している。
「やめ…ぁ…、んぁ…」
指一本だけで、ジェイドは声を高められてしまうのだ。
「う…わ…ジェイド…」
その様を凝視し続けるディストは、
いつのまにか姿勢は前屈みに、股間を抑えたまま床に座り込んでいた。
己の欲情がおさえ切れなくなっている。
「みてろよサフィール」
ピオニ−は勝ち誇ったような笑みを浮かべると指を抜き、
指で弄んでいたその孔に逞しい己を押し当てた。
「な…陛下!?まだ…っ」
慌てたようなジェイドの声より先に、ジェイドの身体はその上に乗せられる。
「ダメです陛下、まだダメ…っ」
「…もういけるだろ?」
ピオニーは、持ち上げた手の力を緩めた。
「やめ…!」
押し付けられた其処は重みに負け、
ピオニ−の先端をぐにゅりと強引に飲み込む。
「いやあああああああぁッ!?」
あがった大きな悲鳴は、ディストのものだった。
「ん、ぐ…んんッ…っ!」
取り乱すディストの眼前で、ジェイドの其処はピオニ−を根元まで飲み込んでいく。
「ぴ、ぴぴピオニ−がっ、わ、私のジェイドの中にぃ…!!」
おろおろと狼狽える様にディストの視線が
ジェイドの顔と、そして接合部を交互に往復する。
その事実を認めたくは無いのに、この光景からは目が離せないと言うように。
「だ…れが、あなたのですか…っ!」
苦痛の表情を浮かべながらも、聞き捨てならない言葉をジェイドは即座に否定した。
「そうだぞサフィール。ジェイドは俺の」
「あなたのでも…っくあッ!?」
そしてさらに聞き捨てならない言葉を訂正しようとした時、
強引に根元まで押し込まれたソレが、今度は勢い良く抜取られた。
「久々だから少し狭いな、ジェイド」
先端ギリギリまで退いたそれを、再び根元まで押し込める。
「うぐッ…!」
乱暴なその動きにジェイドの表情が歪んだ。
「ジェイド…!大丈夫ですかジェイドッ!」
その様に、本気で心配そうな声が叫ぶ。
その声はジェイドを苛つかせた。
「煩…っ、な…にを、みているんですか…!?」
苦痛に表情を歪めながらも、ジェイドがディストを睨み付ける。
「だ、だ、だってぇ…じぇいどぉっ!」
狼狽えるこの男の姿を眺めて楽しむつもりだったはずが、
逆にこんな自分の姿をこの男に晒す事になってしまっている。
それが不本意で不愉快。
「そう怖い顔するなよジェイド。今日はサフィールに見せつけてやるんだろ?」
ピオニーは背後から不機嫌なジェイドの首筋に音を立ててキスをすると、
ジェイドの身体を持ち上げ、上下に揺らす。
「あぅっ…あッ…!」
動きを速め、まだ少しきついジェイドの其処を
ピオニーが遠慮なく往復する。
「ひっ…、ア!ちょっ…速っ…うッ!」
最初は痛みの表情を浮かべていたジェイドだったが。
「…っ…ん…、ぅ…んぁ…っ」
次第にその声も表情も艶めいてくる。
「ようやく調子出て来たな?ジェイド」
「ん…はっ…黙りなさい…んぁっ」
反抗的な言葉とは裏腹に、熱を帯びた赤い瞳は潤みがちに艶めいて。
「んっ…んっ…ぁ…はぁっ…」
びくん、びくんと時折身体を引き攣らせながら、
突かれる刺激にジェイドは明らかに快感を感じていた。
これも演技なのか、それとも余裕がないのか判別出来ないほどに。
「イイか…?」
「んぁ…あぅ…っ…」
吐息と喘ぎ声に混じって聞こえる、湿った肉の擦れる音。
肉の孔に激しく出入りする肉の棒。
「うわ…うわわ…うわわわ…」
目の前で繰り広げられる光景に、
もうどうしていいかわからないと言う程に狼狽える牢の中の男。
焦がれ続けたその人の霰も無い姿。
何度も夢に見、妄想したその姿。
その姿が今目の前にあるというのに、その相手は自分ではなくて、
触れる事も出来ぬ鉄格子の向こう側。
「じぇいど…私のじぇいど…」
求めるように格子の隙間から手を伸ばすが、届かない。
「じぇいどぉ…っ」
もどかしさと張り詰めた熱で、ディストは半泣きになっていた。
ピオニーはそれを見て、口元に笑みを浮かべる。
良い頃合とばかリに。
「したいか…?」
「えっ…!?」
「したいだろ?サフィール」
ディストの首が、素直に縦に動く。
「それじゃあ言うか?」
「え…っ」
捕虜の取り調べ、それがこの目的。
今になってようやくその本題が引っ張り出されて来る。
「だ、誰が言う…」
「そうか、したくないか」
ピオニーはジェイドを激しく突き上げる。
「あッ…はぁ!」
ビク、とジェイドが身体を震わせ、
与えられる刺激に反応する。
「やめてよピオニー!もうやめてよぉ…!」
ディストは泣きながら叫んだ。
「ジェイドは気持ち良がってるんだぞ?なんでやめなきゃならないんだ?」
「だってぇ…!」
必死に伸ばされたディストの手が哀しげに空を泳ぐ。
触れたくても、触れられない。
決して届かない想いをあらわしているように。
「わかったよ、しょうがないな…それじゃあ…」
ピオニーは繋がったまま、ジェイドの身体を四つん這いにさせ、
後ろから激しくその尻を突き上げた。
「あ…ぅ!?」
ズッ、とジェイドの身体が前にずれる。
「ちょっと、いきなり何…うぁッ!」
そしてまた乱暴に後ろから突かれ、ジェイドの身体が前に動く。
そうして、少しづつ前に。
「んッ…!?」
前に伸ばした手が何か冷たい感触に触れた時、
ジェイドは何かがふわりと自分の髪に触れるのを感じた。
「じぇいど…!」
それがディストの手なのだと理解し、
ジェイドはその手の持ち主を怖い顔で睨み付ける。
「誰が…触って良いと言いましたか…!」
「ひっ…!」
その怖い顔に、びくりとおびえるように手が戻される。
「だ〜か〜ら〜」
「!」
ジェイドの身体は浮遊感と共に起こされ、先程と同じ体勢をとらされた。
接合部に体重が乗り、ぬぶりと深くジェイドを穿つ。
「ぅあッ…」
「意地悪するなってジェイド」
ピオニーはジェイドの脚を掴んで再びディストに向けて開く。
「ほらサフィール…今度は届くぞ?」
「あ…ぁ…で、でもっ…」
すぐ目の前に迫った、こちらに向けて脚を拡げているジェイド。
だが、サフィールの脳裏には先程のジェイドの怖い顔が過った。
「触って良いぞ。俺が許可する」
「…ッ陛下!誰がそんな…」
「これも勅命な」
「ッ…!」
ぐっ、とジェイドが唇を噛んで怒りを堪えるのが、
ぎゅうと締め付けて来る淫らな口から伝わって来た。
だが、ピオニーはジェイドの不機嫌など気にせず、
ディストに話し掛ける。
「ほら、サフィール。触ってみな」
「あ…あぁっ…ああぁ…ジェイド…」
欲望と動揺と葛藤の渦巻く中、
おどおどとした青白い手は、鉄格子から伸ばされる。
そして、目の前にある赤い突起に触れた。
「あっ…」
びくん、とジェイドの身体が揺れ、小さな声がもれる。
「!」
それに驚いたように、その手は一瞬格子の向こうへ引っ込むが、
またすぐに恐る恐る格子から伸びて来た。
そしてもう一度、確かめるように先程と同じ所に触れる。
「んぁっ…!」
びくん、と明らかな反応が返り、
ジェイドの表情が満更でも無さげに緩む。
「ジェイド…!」
格子からもう一方の手が伸び、開いている方の突起を摘んだ。
「んあぁっ!」
背をそらせ、ジェイドの身体はその刺激に応えた。
「ジェイド…はぁ…はぁっ…ジェイド…!」
「はっ…あぁっ、やっ…」
指先で摘んで転がしたり、人さし指の腹で丁寧に撫で上げたり、
神経質な程に繊細な刺激が、ジェイドの身体にびりびりと電気の様に走る。
「どうだサフィール、ジェイドの身体は」
「あぁ…素敵…です、ジェイド…!」
「あっ…はぁっ…死になさい…っ」
ディストは興奮状態になりながら、夢中でジェイドの乳首を弄る。
ジェイドの威圧が耳にはいらない程に、夢中に。
「なんだよ、そこで満足なのか?」
「え…?」
ピオニーは口元に笑みを浮かべると、
ジェイドの膝の裏を掴んだ。
「ほら、こっち」
「あ!?」
ぐい、とジェイドの身体が持ち上がる。
根元まで飲み込まれていたピオニーが、
ぬる、と半分程吐き出された。
「!」
それまで胸を執拗に弄っていた手はぴたりととまり、
静かに格子の向こうに戻っていく。
「ジェイド…ジェイドの…」
ぶつぶつとつぶやきながら、ディストは姿勢を落とし、
俯せに近いくらい屈みこむ。
目の前には、格子のすぐ向こう側でピオニーをくわえこんだ
ジェイドの其処が間近に迫っている。
「見てな」
ピオニーはそういうと、腕を少しづつ下げていく。
「あ…あっ…あっ…陛…っ」
ずずず…とジェイドの身体が沈み、
ディストの目の前でピオニーのモノがゆっくりとジェイドの中に消えていく。
「あっ…あっ…ジェイドが…ジェイドがピオニーを…の、飲み込んで…っ」
ジェイドの其処は、とても旨そうに其れを飲み込んだ。
根元までしっかりと。
そしてその刺激が不快では無いのか、
ジェイドの雄部分は今にも弾けそうに充血し、
己の腹に着きそうなくらいにその身を逸らせ、先走る雫を滴らせている。
どちらも、とてもいやらしかった。
「わ…私の…金の貴公子…」
躊躇う事も忘れて伸ばされた手は、ジェイドのそそり立つ器官を指先で突ついた。
「はぁっ…ん」
焦れたような、甘い吐息。
その声がもっと聞きたくて、ディストは指先でくびれた所をきゅっと摘んだ。
「んあッ!」
びくん、と摘んだ器官が震える。
興奮しきっているのが直に伝わり、ディストは呼吸が更に荒くなってくる。
「ジェイド…が、私の手で…私の指で、興奮して…!!」
ディストは先程胸を夢中でまさぐったように、
今度はジェイドの其処に夢中で手を伸ばした。
「あっ、あぅ、あっ、だめ…いっ…ぅあっ!」
焦れったいくらいに緩く優しく、しつこくねちっこく、
茎を擦り頂点を撫で、柔らかい所を揉みしだく。
普段ピオニーのワイルドな愛撫に慣れている身体は、
慣れない焦れったさに自分の意思以上に反応を見せてしまう。
「…自分の手でジェイドがよがってるのを見るのは最高だろ?」
「……う、うん…!」
ディストは、行為に夢中になりながら、まるで子供のような素直な返事をした。
「ん、んっ…あ、いい、かげん…にっ」
びく、びくとジェイドの脚が不規則に痙攣を始める。
「おっとサフィール、ストップ!」
「え?」
それをみて、ピオニーがディストを静止させた。
「其れ以上弄るとジェイドがイっちまうからな。まだダメだぞ」
楽しみは後にとっておく、とばかりにそう言うと、
ピオニーはもう一度ジェイドの身体を軽く持ち上げた。
「あ」
深く穿たれた其れが、ずる、と排出される。
「まだこっちが残ってるんだからな」
ピオニーはディストに良く見えるよう、ジェイドの身体を後ろに逸らせ
繋がった其処をぐいと鉄格子に近付ける。
「ここが…ジェイドの」
ディストは素直に差し出された其処に指を伸ばすと、
ピオニーをくわえこんでいるその円周に触れた。
「んっ!」
ひくん、と触れた筋が収縮する。
「ジェイドの…アヌス…」
指はピオニーに吸いついている其処をゆっくりとなぞる。
「ん、あっ…っ」
微妙な刺激にジェイドの其処が収縮を繰り返して応えた。
感じているのを隠せていない。
「もっと触りたいだろ?」
「でも…!」
確かに、もっと触れたい。
だが、そこにはすでにピオニーが…。
ディストはどうして良いか解らずに淵をなぞり続ける。
「大丈夫」
ピオニーがそんなディストに諭すように、自らもジェイドの其処に手を伸ばすと
自分の入っている其処に指を当てる。
「こうすればいいだろ」
そして、その指を己のペニスに沿って上に滑らせた。
ピオニーの指は、己と共にジェイドの中に飲み込まれていく。
「ぅあっ!?」
ジェイドがそれまでとは少し声色の違う声を発する。
驚きと、痛みと、そして不機嫌。
「うわわわっ…指が…!」
「ほら、な?」
「なに、が…ほら、ですか…っ!」
怒りを含めたジェイドの言葉を無視するように、
ピオニーの指はそのままジェイドの中を蠢きだす。
「あ、あっ、やめ、陛下…あっ!」
ピンポイントで前立腺を指先で刺激され、
ジェイドの抗議は半ばで終了させられた。
拡げられた痛みよりも、指先で弱点を引っ掻かれる刺激の方が勝ってしまい
ジェイドの表には恍惚に似た表情が強く現れてしまう。
「やってみな」
「う…ん!」
グッ、と其処が更に拡まり痛覚が勝る感覚。
「うッ!?」
ジェイドの表情が、再び不機嫌になる。
「な…にを!?」
視線を下に動かすと、 ジェイドの其処には、ピオニーと、ピオニーの指と、
そしてディストの指が入り込んでいるのが見えた。
「じ…じじ…じぇいどの…ジェイドの中に、指っ、私の指が…!」
ピオニーの指が入ったことで少し隙間の出来た其処に、
ディストの骨ばった細い指がしっかりと入り込んでいる。
「どうだ?サフィール」
「あ、ああ、あったかい…ぬるぬるして…あっ…あったかいです…」
「冗談…ではありません…!さっさと抜きなさい!!」
興奮してジェイドの中を触るディストに、
やはり興奮気味の声でジェイドが叱咤する。
「抜かないと…んぐッ!?」
そんなジェイドの口を、褐色の大きな手が塞いだ。
「サフィール、ここにコリコリしてるとこあるだろ」
「んっ!?」
「そこ触ってみな」
「ここ…ですか?」
「んんッ!!」
ジェイドの身体が跳ねる。
「……ここ、…良いのですか?ジェイド…?」
「んぐぐッ!」
言葉は塞がれているが、その瞳はすごい勢いでディストを睨み付ける。
「いいのですね?」
「んふぅッ!」
だが、再び其処を指先で弄られると、その怖い表情は簡単に崩されてしまった。
「ここですね…?ここなのですね?ここが良いのですねジェイド…!!」
「ん、んっ、んうぅッ!!」
執拗に、弱い其処を突つくディストの細い指。
その度にジェイドは襲って来る刺激の波に身体を大きく揺らされる。
「んっ…は、や…ぁ、イッ…」
「いいのですか?イくのですか?イッてくださいジェイド、私の指でーー」
興奮して早口で捲し立てながら、
ディストはその指を更にねちっこい動きですばやく動かした。
「んぁ、あ、んっ…もぅ…っ」
この男の指で感じる事など許せない事なのに、
ましてこの男の指でイクなど…
そう思っても、ジェイドの身体は与えられる刺激に正直に動いてしまう。
なにしろ、ジェイド自身は無自覚ながらも
彼の身体は長旅による禁欲生活で、自分の想像以上の相当の欲求不満に陥っていたのだ。
押さえ込まれていた性欲は、今まさに擡げた鎌首から放たれようとしていた。
「ーーーよし、そこまで!」
「「!?」」
だが突如、ディストの指はピオニーによって押さえられ、抜取られる。
「あっ…!?」
当然、ジェイドを快楽に導いていたルートも絶たれた。
ジェイドを追い詰めるだけおいつめて、
ディストも焦らすだけ焦らしておいて、
ピオニーはどちらも突然取り上げてしまう。
「さぁサフィール…続き、したいだろ?」
意地悪な笑みを浮かべ、ピオニーはジェイドの身体を鉄格子から少し離した。
ディストの手がギリギリ届かない所まで。
そして、言った。
「だったら俺の質問に答えろ。いいなサフィール」
「え…えぇっ!?」
元々は、尋問の為。捕虜の口を割らせる為。
ジェイドだってわかっていたことではある。
その為に、自分が餌として使われていると言う事も。
それだけでも腹立たしいというのに、今は其れより、
絶頂に到達しかかった熱を解放できなかった方が腹立たしい。
サフィールを焦らす為の策と称して、むしろ自分を焦らすための
嫌がらせの方がピオニーの目的ではないかとすら勘繰ってしまう程だ。
なにしろ当のピオニーはというと、先程からずっとジェイドの中に挿入したままのくせに
ジェイドに 一切の刺激を与える事をやめてしまっていたのだ。
許可無く、勝手にイかせないというように下半身を押さえ付けて、
ジェイドが自ら動く事すらも封じ込めて。
ジェイドはもう、とっくに限界が近いと言うのに。
「そそんなっ…でででもっ…」
「したくないのか?」
ピオニーはそんなジェイドの身体の状態ももう、解りきっているのか、
堪えた侭のジェイドを乱暴に握りしめた。
「はッ…あぁッ!」
イきそうになったそれを、根元をきつく握りこんで阻止する。
「うっ…うぅ…陛下…っ!」
辛そうな、求めるようなジェイドの声と、その顔。
ピオニーは其れをディストに見せつける。
「このままじゃ…ジェイドがかわいそうだぞ?」
「あ…あっ…あうぅッ…」
イきたそうに身体を震わせながらも、イくこと叶わず。
見悶えるジェイドの扇情的な姿は、何よりも強烈な効果をもってディストを支配した。
「い…言います、いいますからッ!!」
「結構」
まんまとピオニーの策にはまったディストは、
半泣きになりながら叫んだ。
「それじゃあ聞くぞ…」
ようやく口を割る気になった捕虜。
ピオニーが情報を聞き出そうと口を開きかせた時、
それより先に別の声が言う。
「ホドの情報を持ち出したのは貴方ですね」
ジェイドの声だった。
絶頂をギリギリで我慢させられながらも、その声はきつくディストに叩き付けられる。
「あ…」
「答えなさい…フォミクリーを持ち出したのも…貴方なのでしょう!」
「あぅ…あ…」
ビク、と牢の中で怯む男は、叱られて成す術もなくなった子供のように、
視線を泳がせる。
「ご…ごめんなさいジェイド……」
そして、謝罪の言葉でそれを肯定した。
「…馬鹿なことを…」
ジェイドの周りの空気が、ピンと張り詰める。
その表情は先程までとはうってかわったような、本気の怒り。
「そこまでだ!」
「っ!」
ピオニーの手が、事が起こる前にジェイドの身体を大きく揺さぶった。
今だ繋がった箇所から走った刺激に、ジェイドの周りの不穏な空気が乱れ、かき消される。
「陛…下、何…!」
「これは尋問だ。…処刑じゃない」
「…………」
ジェイドが何をしようとしたか、わかっていたようにそう言うと、
ピオニーは怯えきっている目の前の男に、彼のかわりに言葉を突き付けた。
「それは重罪だ…わかっているなサフィール」
「う…」
一国の王として。
人として。
ピオニーはきつく厳しく、かつての幼馴染みを睨み付ける。
「だ…だって…ジェイド…ジェイドを……た、助けたかっ……」
ジェイドと、そしてピオニーのきつい視線を受け、
ディストはぼろぼろと涙と鼻水を垂らしながら泣きじゃくり始めた。
「はぁ…ったく」
「どうしようもありませんね」
その姿に、腐れ縁の幼馴染み二人は呆れた様に大きな溜息を漏らす。
この男が、根っからの悪人ではないことなど知っている。
なんで彼がこんな愚かな行動をしたかなんて、わかりきっている。
いつまでも子供のままで、あの時を追い求めて、
周りの見えない可哀相な大人。
その全ては、誰かの為で。
大好きなその人の罪を
『無かった事』
にするためで…。
「……本当に馬鹿な男です…」
ジェイドは溜息しか出てこない。
その行為は決してその人の為になどなっておらず、
かえってその人を苦しめる。
それに気付けず、一途で純粋に、どうしようもなく馬鹿で。
その思いは、鬱陶しいくらいに迷惑だというのに。
それなのに、きっとどこかで憎み切れないでいる。
あの時も、そしてあの時も…殺せたはずなのに、
殺せないままで。
それが、己の首を締めることに繋がってしまっているのだ。
結局はすべて自業自得なのだと、ジェイドは自嘲する。
「…ま、それはそれとして!」
牢の中で泣きじゃくる男を前にしらけきっている空気を、
ピオニーの声が一括した。
気持ちを切り替えるように。
「とりあえず、質問に一つちゃんと答えたからな」
そして手を伸ばすと、牢獄のカギを…外した。
「!?陛下、何をなさっ…」
捕まえた捕虜の牢のカギをあけるなど、信じられない事。
「約束だ、褒美をとらそう」
だがピオニーには分かっていた。
カギを開けたところで、今この男は逃げなどしないことが。
こんな状態のジェイドを目の前にして、この場から立去る訳など無い事が。
キィ…と金属質の扉が軋む音がして、
隔たれていた空間は、一つになる。
「来いよサフィール」
「えっ…?」
憎たらしい幼馴染みの誘いに、自由になった罪人は戸惑う。
「続き、させてやるって約束したろ?」
褐色の手はその男を手招きした 。
「ほら、服脱いでこっち来い」
「で、でもっ」
「したいんだろうが、いいから脱げ!」
「あっあわわっ…」
叱られ、睨まれ、すっかり消沈していた男は
急かされるように命令され、素直に言う事を聞いて服をぬぎ、
おずおずと牢からでてきた。
「そこに寝ろ」
「は…はい…ぃ」
「なんだよ…すっかりしょぼくれやがって」
あれだけ怖い顔で叱咤されたのだ、
興奮していた面影も消え失せるように、
ディストの其れは貧弱に縮みあがっている。
「ジェイド」
「ん、あっ?」
ピオニーは繋がったままジェイドの身体を前に倒させた。
「!?」
ジェイドの目の前には、ディストの貧弱な其れ。
「何をッ!?」
「してやれジェイド」
「お断りします!!」
ジェイドは即座に否定し、身体を起こそうとした。
「ちゃんと答えたんだから、ご褒美くらいしてやれよ」
「冗談じゃありません!!だったら貴方がしてやりなさい」
頑なな拒否。
命を奪いはしなかったものの、そんな事をしてやる程許せている相手ではない。
むしろ、食いちぎってやりたいくらいの感情が強い。
その男に奉仕するなどと、とんでもない。
「ジェイド」
「んぅっ!」
ずっ、と下半身を軽く擦られ、びくりとジェイドが身を突っ張らせる。
怒りと呆れで忘れかけていた熱が、急速にジェイドの身体に襲い掛かる。
「其れ勃たせたら、イかせてやるから」
「な…!」
落着きかけた身体を再びギリギリの状態まで持ち上げるように、
ピオニーはジェイドの下半身を緩く掻き回す。
「ほら、ジェイド」
「んっ…あっ…猾…い…っですよ!」
思いだしたように興奮状態に登り詰めた身体は、
快楽をもとめジェイドの思考をぐるぐると廻す。
「はっ…あ…」
思考の優先順位が、解らなくなって来る。
「してやれジェイド」
「うっ…」
皇帝勅命、という言葉は使わなかった。
だがジェイドは、まるでそう言われたかのように、
絶対的権力に屈した時のような悔しげな表情をうかべ、
ディストの股間に顔をうめる。
欲望が理性を超えた瞬間だった。
「え…?えっ…えぇ…!?」
なによりも驚いたのは、ディストだ。
目の前の光景が誰よりも信じられない。
なにしろあのジェイドが、自分のものを口にしようとしているのだから。
「じぇ、じぇいど…!?」
ぱくっ
「うわわわっ!?」
ちゅうっ
「ひょわーーぁッ!?」
その視覚的刺激だけでかなりの興奮状態だったディストは、
ジェイドが一度軽く吸い上げただけで、奇妙な声をあげて簡単に起立した。
「…まったく、ここまで単純だと逆にひきますね…さぁ、これでいいんでしょう陛下!」
あまりの張り合いの無さに呆れつつも、
ジェイドは振返ってピオニーを睨み付ける。
表情こそ一見冷静に見えるジェイドだが、
その内ではもどかしい程の熱が渦巻いている。
もう、イきたくて堪らないのだ。
嫌悪する男をプライドを捨てて喰わえる程に。
「陛下…っ…!」
怒ったような苛ついたような口調が、限界を物語っていた。
「あぁ、わかってるって」
ピオニーはジェイドの身体に背後から腕を絡めると、
その身体を持ち上げた。
「約束だからな」
そしてその身体を、横たわるディストの上に、乗せる。
「陛下、何を…っ」
「えっ?…えぇッ!?」
ピオニーの挿入されたままのジェイドの其処に、
起立したばかりのディストの其れが押し当てられた。
「「!?」」
見開かれるジェイドの紅の瞳と、
困惑にうろたえる囚人の瞳。
「馬鹿な事をッ!?ちょ、やめて下さい!!」
暴れるジェイドの蹴りあげた脚がディストにあたらないように、
ピオニーはジェイドの太股を押さえ挙げた。
「だってサフィールとじゃ、お前絶対嫌がるだろ」
「当然です!」
ジェイドがディストの事を毛嫌いしているのは周知の事実。
だがそれでは、ディストに約束の御褒美をあげられない。
ピオニーはディストとも約束したのだ。
ジェイドと、させてやると。
「だから、俺も一緒に中にいてやるから。俺にされてると思えよ」
「そういう問題ではッ…!」
付き添いがいるから、大丈夫。
そういうつもりらしい。
「イきたいんだろうがジェイド?」
「っ…!」
ピオニーはジェイドの腰を、グッとサフィールに押し付けた。
焦らされっぱなしでヒクヒクと蠢いていたジェイドの其処は、
押し付けられた刺激にぴくんと過敏に反応する。
「きっと気持ち良いぞ?」
「冗談…」
「だ、だめです!だめですよピオニー!ジェイドが怪我をしてしまいます!!」
抗議しようとしたジェイドの声より先に、
慌てふためいた声がピオニーを制止させる。
「なんだよ、お前だってジェイドの中、入りたいだろ?」
「で、でもっ…!」
夢にまで見たジェイドとの結合。
今直ぐにでもその内に触れたい。
その気持ちは山々なのだが、ディストはジェイドの身体が心配なのだろう。
何よりも、ジェイドの事を考える男だから。
「大丈夫、サフィールのなんか指とたいしてかわらないって」
「し、失敬な…!」
「それにジェイドそんなヤワじゃないから。な?」
「なにが、『な?』ですか…ッ!」
茶目っ気まじりにウィンクして来た男を、ジェイドが睨み付ける。
「人の身体だと思って…っ!ちょっと、聞いているんですか!?」
「聞いてるって、早くイきたいんだろ?」
「全然聞いて無いじゃな…っあッ!?」
ジェイドの前に伸びたピオニーの手が、緊張状態の侭のジェイドを握りしめ、
ごちゃごちゃと煩い口を黙らせた。
「ほら、ジェイドも早くイきたがってるから」
「う、うっ…あッ…!」
根元をきつく握りしめ、先端を軽く指先で擦るピオニーの指。
生殺しな動き。
「お前がしてやればジェイドはイけるんだぞ?」
「あっ…ぅ…っ」
目の前で辛そうに色々な箇所を震わせているジェイドの悩ましい姿。
「あぁっ…ジェイド…かわいそうな僕のじぇいど…」
苦しんでいるジェイドを、助けたい。
その思いは、自分の欲望を後押しする。
「ぼ、僕が入れば…ジェイドはイけるの…?」
「あぁ、そうだ。ジェイドをイかせてやりたいだろ?」
「う…ん!」
ディストの口調は、いつしか完全に幼稚に逆行していた。
深く考えずピオニーやジェイドのいいなりに動いていたあの頃のように。
「いいかサフィール、ジェイドの其処指でちょっと拡げてろ」
「う、うん、わかったよ!」
ディストはジェイドの其処に手を伸ばすと、
指示通りピオニーに密着している其処に指を少し割り込ませ、入口を捲りあげた。
「ッ!?や、やめ…」
少し捲れた其処に、ディストの先端が吸い付くように密着する。
「よし、降ろすぞ!」
「うん…!」
「ちょっ…陛」
ピオニーはジェイドの身体を支えていた手を下におろす。
「!」
何か言いかけたジェイドの言葉は途中で止まり、
その背が大きく仰け反った。
「う、あぁ…ーーーッ!!」
ジェイドの其処は、指よりもずっと太いディストの其れを
不本意にも飲み込まされてしまっていた。
そしてまだ続いちゃうw
ジェイドをとことん焦らす!
が今回のメインテーマでしたv
2008.12.30