「そ…そなたら、少し落着かぬか」
「…俺は冷静だ」
「えぇ、何も取り乱してなどおりませんよ?」
無表情に近い険しい顔を浮かべた男と、無気味な程に笑みを浮かべた男。
迫りくる二つの影に、セイロンは一歩退く。
「まぁ…たしかに御機嫌ではないですけどねぇ」
「そうだな…なにしろ我侭な奴の気まぐれに振り回されてばかりだからな」
じり、と詰め寄られ、更に一歩。
「貴方にとっちゃぁ戯れ相手のひとりなんでしょうけど、
その相手が腹ん中で何を考えているか…って、考えた事ありますかねぇ?」
「ましてその相手が二人、ここに揃っているとして、だ」
「な…」
二人の男の手が、セイロンの身体を押さえ付け
衣を奪い取る。
「やっ…やめぬか!」
「いつも御自分のしたいときだけ、気の向いた時だけ」
「そこにはお前の都合のみ…」
「ひッ…ぅ…!」
角を捕まれ、暴れていた身体がおとなしくなった。
「いいかげんね、自分も我侭にいこうかと思ったわけですよ」
「そういうことだ」
「なっ…何をそなたら結託して…!?」
「何をいう?俺は誰とも結託などしてなどいない」
「自分もですよ?」
筋肉質な腕が軽々と身体を持ち上げ、抵抗する脚を開かせる。
「ただ、今日は貴方を足腰たたなくなるまで愛でたいと、ふと思いましてねぇ」
「…奇遇だな、俺もそう思っていたところだ」
「偶然、そう考えた男が同じ日同じ時間に二人揃っただけでしてね」
まるで用意された台詞のようにそう言って。
「嘘を申すな…っ!そんな偶然そろうわけが…」
セイロンの返した言葉に、男達は不敵に笑う。
「そうですよねぇ?いつもは意図的に分けていらしたんですから」
「このように揃うわけなどない予定だったのだろう…?」
「!」
…墓穴。
「だ、だから……そう怒るで無い…」
そうだったのだ。
この状況を招いたのは、他でも無い己の不手際。
喪失感に打ち拉がれた己を誤魔化すように強がって過ごしていた頃、
ふと見ると傍に居り、求められたから…応じた。
そして時は流れ失ったものは手元に戻り、再び求められ…応じた。
平和になって、なんとなく、そのままで 。
さほど、気にしていなかった。
それほどに深く己に執着しているとは思ってもいなくて…。
ついうっかり、今日はどちらとも約束をしてしまっていたのだ。
散歩をして戻ってみれば…部屋には不機嫌な男が二人。
ただならぬ気配に、互いに争い出すのではと身構えれば
男達は不気味な程の笑顔で仲良く自分に歩み寄ってきて…
そして現在に至る。
「いつも鉢合わせにならないよう気を配って頂きありがとうございました」
皮肉たっぷりに耳元で囁かれ、ゾクリと背筋に寒気が走る。
「ですが…少々戯れがすぎましたねぇ…」
「そうだな…」
聳えた塔の頂点に秘孔を押し付け、
腰にまわされた手が、身体を下に引き寄せる。
「自業自得だ」
「は…ッ…くぁ!」
前戯なく強引に割られていく感触に苦悶の声。
「今宵は長い夜になりそうですなぁ…」
「…まったくだ」




八方美人の二股若様に制裁!
男達の逆襲劇でございます。


まぁ本当は守護竜殿とイスルギ様も加えりゃ四股なんだけどね?(笑)

2007.10.28

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