ぬぷっ…ぐぷっ…
「うぎぃ…!き…ひいぃっ…!」
シンゲンの拳が往復する度に、セイロンから情けない声がもれる。
「…だいぶ反省されましたか?」
「うっ…うっ…うぐっ」
セイロンが必死に頷く。
どうやら本当に懲りたのか
口答えもせず、素直に頷きひたすらに瞳が解放を訴える。
「それでは…そろそろ許してさしあげましょうかね」
シンゲンが拳を引っ張った。
拳の骨がセイロンの筋に引っ掛かり、
内側からぐいとセイロンを押し上げる。
「うあっ…ああっ!ゆっく…り、致せ…っ…馬鹿者ぉッ!」
拳が其処を通過する時の激痛にセイロンが悲鳴をあげる。
「そう喚かないで下さい。今ぬきますから…っと!」
ズルッ!
まるで産み落とされるように、セイロンからシンゲンの腕が抜取られた。
「はぐうぅっ!」
その瞬間にびくびくと痙攣するように身を震わせたセイロンは、
己を押さえ込んでいるクラウレにぐったりと身体を預けた。
「おやおや…開きっぱなしになってしまいましたな」
酷使されたセイロンの其処は真っ赤に腫れ、
粘膜を覗かせながら自力で閉じられずにヒクヒクと蠢く。
「だ…れのせいか…っ!」
「はいはい、すいませんでした。痛かったですねぇ?」
涙目で睨み付けて来るのを笑ってごまかし受け止めると、
シンゲンは泣いた子供をあやすようにセイロンの頭を撫でた。
子供扱いされ、むすっと口をヘの字にまげるセイロンから
手足を拘束していたクラウレの手も放される。
ようやくの、解放。
「まったく…そなたらは本当に無礼極まりない!」
解放されたとわかった途端、セイロンの口からは強気な口調。
「このようなことをして、このままで済むと思っ…!?

言葉途中で背後から背を押され、セイロンはよろめく。
そして前に傾いだセイロンをシンゲンが受け取るように抱き締めると
そのまま前へ身を倒させ、己の膝に頭を乗せさせた。
「…何の真似だ…?」
目の前に股間を押し付けられたところで、
何かをしてやる気はセイロンにはこれっぽっちもない。
そんな意を込めた言葉をぶつけても、
目の前の男はへらりとした表情を崩さない。
「!?」
そんな目の前に気をとられていたセイロンの身体が、
予想外の感触に びくんと跳ねる。
「……な…?」
セイロンは振返った。
そこには、後ろに居た男クラウレにむけて、
まるで捧げるように四つん這いになった己の下半身。
そして、その腰を押さえている大きな手と、
秘処に押しあてられている、大きな拳。
「なっ…何…」
セイロンの顔色がサァと蒼くなる。
慌てて上半身を起こそうとしたその身体に二本の手が伸び、
セイロンは両角を鷲掴みにされた。
「うあっ!?」
痺れるような刺激に力の抜けた身体は、再びシンゲンの膝に顔を埋めさせられる。
「放せっ…はなさぬか…ぁっ!」
「それはできませんねぇ」
がっちりと角を拘束され、身体に力が入らない。
「さ…先程、もう許すと…申したではないかっ!?」
抵抗を封じられたセイロンは、もう言葉で反論するしか無かった。
「えぇ、申しあげましたよ?」
角を掴んだまま、その問いにシンゲンが速答する。
「それならば…!」
「ですから」
角をくいと持ち上げ、シンゲンはセイロンを自分の方に顔をむけさせる。
「『自分は』確かに許すと申し上げましたけども」
シンゲンはちらりとセイロンの背後に目をやり、言った。
「あちらさんは、仰ってませんよ?」
「なーーーッッ…!」
嘘は言っていない。
矛盾はしていない。
ただ、セイロンが二人に許されたもの と
勝手に勘違いをして油断しただけ。
「そういうことだセイロン」
背後から低い声が返る。
久々に口を開いた男の声はまだ少し怒りを含んでいて。
「まだ俺の制裁は済んでいないぞ」
グチ…
「あ…」
痛む其処に指先が挿入される。
一本一本が太いクラウレの指は
束になるとまた格段とその逞しさを物語る。
「ヒ…!」
ギチ…
指が四本捩じ込まれた時点で、セイロンの身体が限界を訴える。
クラウレの拳は、大きい。
大きな槍をいとも軽々と扱うだけあって、
その腕は大きく、硬く、骨太で筋肉質。
セイロンよりも、シンゲンよりも、
その拳は大きいのだ。
「やっ、やめ…そなたの腕など入るわけ」
「いくぞ」
セイロンの言葉を言い終わらせずに、クラウレは拳を強引に押し付ける。
「う、ああああぁっ!?」
己の身体を拡張する大きな塊にセイロンが悲鳴をあげる。
「さっ…裂け…ッ、う、う、あッ!」
ミシミシと軋みあがる身体が、大きな拳を拒み続ける。
「いかかがです?はいりそうですか?」
「キツいようだ」
シンゲンの拳をなんとか飲み込めはしたものの、
クラウレの大きな拳はその比では無い。
そう簡単に、というわけにはいかなかった。
「ところで、ストラはまだ使えますか?」
シンゲンがくいと角をひっぱり、セイロンに問う。
「…う…ぐ?あ、あと一度くらいな…ら…?」
この疲労しきった身体に使えるストラは、せいぜいあと一度位。
それはこの一連の制裁が終った時に使おうと取っておいた分だ。
度重なる肉体の酷使で集中力を消耗したセイロンは
その問いに深く考えることが出来ず素直に答えてしまった。
「…だ、そうですよ」
「そうか」
辛そうに呻くセイロンの頭上でそんな会話がかわされると、
クラウレの腕の力が、急激に強まった。
「!」
先程の問いの意味を理解し、セイロンがしまったと思ったが、もう遅い。
「ならば遠慮はいりませんな」
「あぁ」
激しい激痛。
「ひぎッ!?やめ…っ…うがぁッ!?」
裂けても構わないというような、力づくの挿入。
ミチミチと軋んでいた身体が、更に強引に拡げられていく。
「う、あああッや…め!クラウレ…ッ!我の其処が、壊れ…っ」
拳に拡げられた其処からつぅと赤い筋。
無理を強いられた其処が堪えきれずに切れて血を流した。
「む…やはり裂けたか」
「おやおや…お可哀相に」
「う…うぅ…そなたら、覚えておれよ…こんな…」
力の入らない手でシンゲンの膝に爪をたて、セイロンは恨み言を言う。
「だがこれではいりそうだ」
しかしそれに返される言葉は容赦なく遠慮なく。
流れた血を手助けに、拳を捩りながら無理矢理進めさせる。
「い…たい、痛い痛い!クラ…ウレ、痛…あぁッ!」
切れた其処には力が入らず、押し付けられた塊を拒めない。
そして…。
「あ…!?」
ズボンッ!
「!!!」
突然、入口で引っ掛かっていた拳はセイロンの中に飲み込まれ
勢いがついていたそれは、そのまま一気に手首まですっぽりと姿を消した。

「あ…がああぁッ!!」
絶叫する身体が、びくびくと痙攣する。
「いやぁ入りましたなv」
「うむ」
「あ…あぁ…っ…あっ…」
大きな拳を喰わえたそこは目一杯に引き延ばされ
びくんびくんと脈打つようにクラウレの手を締め付けた。
「い…いた…痛い…」
シンゲンの膝を掴む手にぎゅうと力が入り、
見開いた瞳からは幾筋もの涙がこぼれ落ちる。
「く…くら…うれっ…頼む…ぬ、抜い…」
懇願するような弱々しく発せられた言葉。
「動かすぞセイロン」
それは、無視され。
「やっ…!?だ…っめ、えぇッ!!」
ず…ずりゅっ…ぐぢっ…ずりゅ…
「ぎ…ひぃ!…イッ…いああぁーーッ!」
セイロンの血と男達の精液に濡れた拳が
狭い肉の孔を擦りはじめる。
「痛い…!痛いクラウレ…ッ!」
キツそうな音を立て抜差しされる腕は次第に激しくなり。
グプッ!グボッ!ズポッ!
「あ、あーっアァ−ーッ!もう嫌…やぁーーッ!」
泣叫ぶセイロンに、クラウレは容赦なく拳を打ち付けた。
暴れるセイロンを、角を押さえ付けてシンゲンがねじ伏せ
二人がかりで、本気で攻め立てる。
「ひッ…ひィ…いぎっ…!」
追い詰められたセイロンからは、既に余裕も何も無く。
逆らえぬ暴力の前に心が折れる。
「わ…我が、我が悪か…たっ…!」
泣きながら、セイロンが叫んだ。
「そなたらを…軽んじる真似は、もうせぬ…だ、だから…っ
も、もう許し…許して…くれぇ…ッ!!」
情けなく泣きながら許しを乞う貴人の姿。
それをきいた二人は顔を見合わせ、苦笑する。
そして男達の手から、力が抜けた。
「う…っ」
セイロンを追い詰めていた大きな塊が、ゆっくりと引き抜かれていく。
「あ…あうううっ…!」
難関を通過する時は非常にきつく、
それでもできるだけ優しくそれは抜かれていく。
「く…っあ!」
ずるん、とようやくそれが排出されると、
セイロンの其処はようやく解放され、閉じる事を許される。
「今の言葉…偽りなかろうな?」
「はっ…はぁ…ひっく…うぅっ…」
クラウレが泣きじゃくっているセイロンに問いかけると、
セイロンはしゃくりあげながらも、しっかりと頷いた。
「気分が乗らぬ時も…そなたらが欲するなら、多少は聞き入れようぞ…」
自分のしたい時しかさせなかった我侭若様の譲歩。
だがそれだけでは、男達は納得できない。
「それでは…ここらで貴方の心情もはっきりさせて頂きましょう」
シンゲンは、意地悪な問いを投げかけた。
どちらにしろ、いずれははっきりさせねばならないこと。
どちらが本命なのか。
あるいは、どちらも違うのか。
その事を。
「………」
セイロンは黙り込み、困ったように眉を寄せると、
その問いに答える。
「わ…我にはわからぬ」
ぴくりと男達の眉が動く。
「どちらかなど、わからぬ…どちらも…なのだ」
困り果てたようなその答えは諂う為の答えでは無く、
本当の迷いを含んでいて。
「そなたも…そなたも、どちらも好いておるのだ。失いたくなど無い。
どちらともできるだけ長く共にありたい。それでは、ならぬのか…?」
「………」
根本的な時間の感覚の違いからくるズレ。
ほんのひとときしか共に居られぬとわかっているから、
どちらとも共にある時間を大切にしたい。
都合が良くて勝手で我侭で
素直で純粋な答え。
この龍にとって、彼等は比較するべきものではない。
たとえば、空気と水であるように、
まったく異質の、それぞれ必要な其れなのだ。
「…まったく」
先に溜息を漏らしたのはシンゲンだった。
怒りも過ぎ去り、呆れも通り越す。
「わかってはいましたけど、つくづく我侭なお方ですな」
問いの答えは、『どちらも』。
二股を誤魔化しもせずに正当化。
それには微塵も悪気がなく、
奔放なその人そのものをあらわすような答えだった。
「…あいかわらずだ」
苦笑しながら、クラウレも溜息を漏らした。
その口調には、もう怒りの色は無い。
「仕方の無いお方だ」
「仕方の無いやつだ」
同時にそう言った男達の手が左右から伸び、
セイロンの両頬にそれぞれ口付ける。
「それほど仰るのであれば」
「そういうことにしてやろう」
「シンゲン…クラウレ…」
愛する二人の者に左右から抱き締められ、
セイロンは安堵したように表情を綻ばせる。
大切な者を、どちらも失わずに済んだのだ。
「ただし…先程の言葉に偽りございませんでしょうな」
「む…?」
「俺達のどちらとも分け隔てなく相手ができるのだろうな」
我侭を認めるかわりに、こちらの都合も尊重してもらう。
それがセイロンの言い分を認める為の男達の条件。
「う…うむ、努力しよう…」
たとえ連日になろうと、
たとえ梯子になろうと、
彼等が求めれば受け入れる。
その条件をのむことで今の関係をたもてるのなら、と
セイロンは彼等の問いに頷いた。
「そうか…それなら」
「もし、二人が同時に求めてきたら…どうされます?」
「……え?」
連日でもなく、梯子でもなく、
同日同刻だったなら。
「たとえば」
「今がそうだとしたら…?」
「……え?」
セイロンの身体を抱く腕に力が籠り、
身体を起こさせるとその身を前後に挟んだ。
「それが…ちゃんとできますか?」
痛みの疼く其処に押し当てられる熱い二つの塊。
「……な……待っ…!?」
二人を分け隔てなく愛する為には…。
「う、あ…ああああアアァッ…!!」
同時に身体の中に入って来る激痛。
背後からはクラウレが、正面からはシンゲンが、
それぞれ同時に、強引にセイロンの中に侵入する。
先程までクラウレの拳で拡張されていた其処は、
その強引な挿入にも順応し、
二人を、分け隔てなく受け入れていく。
「あぁ…ちゃんと入りますな?」
「そうだな…これならば大丈夫だ」
たとえ同日同刻になろうと、
同時に相手をしてくれるのならば何も問題は無い。
まるで打ち合わせでもしていたかのように男達はそういうと、
それぞれ勝手に動き出す。
「ひッ、あ、やめ…っ!?うああああぁッ!」
拡げられた其処を激しく抽送され、
セイロンが悲鳴をあげる。
あまりの苦痛から逃れようと暴れる身体を
シンゲンが左足と右の角を、
クラウレが右足と左の角を押さえ込み
セイロンの自由を封じ込める。
「我侭をきいてやっているんだ…このくらいは我慢するんだな」
耳元で囁くクラウレの声は、少し意地悪く。
「そうですよ、これが貴方のお望み通りの結論なのですからね…?」
目の前で微笑む男の声は、とても意地悪く。
「こ、んな…壊れ…っ、あ、うあッ!ひィっ…ぃっ!」
指の腹で掴んだ角を愛撫するように擦りあげつつ
激しく孔を責め立てられ、
強すぎる刺激にセイロンは泣きながらも絶頂も迎えさせられる。
「ひ、あ、あああぁっ…!」
己の招いた事態をその身に受け止め、
セイロンは激しく痙攣しながらも達すると、
そのまま意識を手放した。

「…今日はこのくらいでよろしいでしょう」
「うむ」
ぐったりとした身体から己を抜くと、
男達はセイロンをそっと横たえさせる。
長い前髪がへばりつく汗ばんだ頬に
幾筋もの涙の跡が残る顔を撫で、
それぞれ、口付ける。
「貴様はそれでいいのか…?」
「貴方こそ」
ただでさえ不毛なこの関係に、
更に不毛なこの結論。
だがどちらも、それで退く気は毛頭無く。
お互いそれはわかりきっていた事。
自分と同じく、退かないだろう事を。
「さて、次は…いつ頃になりそうですかねぇ」
「ふむ……満月には再び理性を失うだろう」
その意を受けてクラウレは答える。
「奇遇ですな…自分もですよ」
不敵に微笑む口元から、わざとらしい同調の言葉。
「次の満月は、また大変な事になりそうですねぇ…」
「まったくだ」
眠る龍の髪を撫でながら密談を進める男達は、
顔を見合わせ意地悪く笑い合った。


end


仲良しな(?)シンゲンとクラウレ。
逆に怖い。
まぁ結局の所、二股はいかんよってことで(笑)

 

2008.07.16

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