マックスとボク <前編>
「やぁマキシマム、ボクが君のパートナーだよ」
岡さんの連れてきた三億円の名馬マキシマム、その主戦騎手を任されたボクはその彼に挨拶にいった。マキシマムはボクに興味など無さそうに、むしろ鼻息を荒くしてボクを睨み付ける。
「ふふ…良い目だね…君とはウマが合いそうだよ」
それが初めての彼との出会い。ボクは愛情と信頼を込めて彼をマックスと呼ぶ事にした。
岡に呼ばれ、潤は仕事の合間をぬって北海道にやってきた。北海道にある岡所有の競走馬の牧場にだ。そこはかつての潤のパートナーが暮らすその牧場でもある。そして岡に呼ばれたのも他でも無い、そのマキシマムの事でなのだ。
「何かあったんですか?岡さん」
「いや…うん…」
岡は黙って溜息を付くだけで、何も説明してはくれない。『君にしか出来ない事があるから来て欲しい』そう言われて駆け付けたものの、いざ来てみても岡は何も説明してはくれないのだ。ただ一言、マックスに会いに行ってやってくれとだけ言った。もちろん言われなくてもそうするつもりだった潤は、何か岡の様子が気になりながらも岡の事務所を出たその脚で、真直ぐマックスの元に向かった。
岡の牧場は設備も環境も最高だ。引退馬にとってはこのうえない幸せな余生を送る事が出来るだろう。…だがマックスは本当にここで幸せなんだろうか、と潤は胸の奥がキリキリと痛むのを抑えられない。彼はまだ…走りたかったのに。走れなくしてしまったのは、自分。競走馬が故障で引退などよくあることで、潤も何度かその経験はあった。だがマックスの時は特別だった。マックスは潤にとって特別な存在だったのだ。
(マックス…本当はボクを恨んでいるんじゃないのかい?)
むしろ、恨んでくれた方が気が楽に思う時もある。だがマックスは以前と変わらず潤に忠実で、潤が顔を見に脚を運ぶ度に再会を喜んで接してくる。
(引退しなければならないそんな目にあったのに、それでもこのボクを主人として信頼してくれているのかい?… 君の身体を壊したこのボクを…)
それが潤には辛かった。一度も潤を責めないマックス。所詮そんなことは判断力の無い動物の知能だからと言ってしまえばその程度だが、マックスは賢い馬、そのくらいの判断能力は持っていてもおかしくはない。だがマックスは引退した今もなお、潤を自分の主人として迎え接してくれるのだ。それが嬉しくもあり、少し胸が痛い。
(こんな酷い主人なのにね…)
潤はその優しさにいつも甘えていた。ここは辛い仕事に疲れた心身を癒してくれるオアシスだった。思い出せば責めてしまう自分の罪を、許してくれるそんな場所だった。
潤はたどりついた引退馬専用の馬房の奥に懐かしいその姿を見つけ、久々の再会に心弾む気持ちをそのまま声に乗せる。
「マックス、元気にしてたかい?」
久しぶりの潤の声に馬房の奥にいたマックスが嬉しそうに飛び出してきた。いつものように甘えた声を出して潤に顔をすり寄せ、久しぶりの再会をお互いに確かめあった。
「ふふ、ボクも会いたかったよマックス。忙しくてなかなか会いに来れなくてゴメンよ」
潤はマックスの首を愛しそうに撫でてやる。 元気そうなマックスを見ていると、自分の犯した罪の痛みも、何故呼ばれたのかという事も、そんな事どうでもいいやという気分になってくる。今こうしてマックスが自分を慕ってくれている事に、このうえない幸せを感じる。
「あいかわらず、いい身体を維持してるんだね」
潤はマックスの馬房に入ると、引退してもなお衰えていないその身体を毛並みにそって優しく撫でた。艶やかな毛並みの下に逞しく鍛えられた筋肉の感触を確認し、あいかわらずのその肉体美に潤はホレボレとしてしまう。
「 久しぶりにブラッシングでもしてやろうか?マックス」
その言葉の意味がわかったのか、マックスは興奮したように嘶いた。嬉しいのだろう。現役の頃はよく潤がブラシをかけてくれていた。潤もそんな事は他の者にさせればいいのだが、マックスだけは特別だったのだ。
「ええっと、ブラシ……」
勿論突発的にそう思ったのだから当然持ち合わせてなどいないわけだが、潤は偶然にも隣の馬房の棚の上に置き忘れのブラシがあるのをみつけた。
「…あれ借りちゃおっか」
隣の馬房とは柵で区切られているだけで、容易に手が届きそうだった。だが実際は柵の隙間から手を延ばしてみるものの、小柄な潤にとって胸の高さくらいある棚の、その奥に転がるブラシには手が届かない。こういう時に背が低いのは損だなぁとよく思うものだ。
「よっ…!」
潤は棚に両手をかけると、そのまま腕で鉄棒の様に体を持ち上げ上半身を棚に乗り上げた。
「…んー、これでもとどかないのか、ボクの身体は」
潤は小柄すぎる己の身体に苦笑した。指先には触れるものの、それを引き寄せるには至らない。半ば諦めかけた時、後ろから潤の身体を押す者があった。
「マックス?ん?何だい?手伝ってくれてるのかい?」
潤の身体を棚の上に押しやろうと、マックスが鼻先でグイグイと潤の尻を押していた。
「あ、とれたよマックス!」
マックスの手助けで潤の右手はなんとかブラシを掴む事が出来た。目的を果たした潤は柵の隙間から身体を抜こうと身体を後退させるが、マックスはそんな潤の身体を再び奥に押し戻した。
「マックス?」
かと思うと、今度は潤のズボンに噛み付いてグイグイと引っ張るのだ。
「…マ〜ックス、遊んでるのかい?」
しょうがないなぁ、と潤が苦笑しかけた瞬間、マックスは潤の服を思いきり引っ張った。
ズルッ!
潤のズボンが下着ごと一気に引き降ろされる。
「 なんっ!?」
潤はいきなり露出された下半身に赤面した。脚をバタバタさせて必死に柵の隙間から身体を抜こうとするが、その後ろにはマックスの巨体が道を塞いでいて柵の隙間から身体を抜くことが出来ない。
「こ…こら〜ッマックス!」
マックスは匂いでも嗅ぐように鼻先を潤の尻に押し付け、その尻をペロペロと舐めまわし始めた。
「ひゃっ!…いいかげんにするんだ!イタズラがすぎるぞ、悪い子だっ!」
潤の言う事は言葉でも解るかのように理解し、忠実だったマックスが、今この時はその潤の言葉に耳を傾けている様子ではなかった。潤の静止を無視し、酷く興奮しきった様子で鼻息を荒くしている。
「くすぐった…っ…こらぁッ!」
尻を舐め回されるくすぐったさと羞恥に潤は身を捩った。だが抜けだせない隙間からは潤の尻だけがマックスの鼻先にさらされていて、自分ではどうする事もできない。そして、その舌は潤の双丘の隙間にも忍び込んできた。奥まった蕾に滑る長い舌があてがわれたかとおもうと…
にゅるるぅっっ!
「ひぃィッ!?」
ビクンと潤の身体が強張った。マックスの長い舌が潤の秘窪に蛇のように潜り込んできたのだ。
「あ…マックスっ…ひあッ、あぁっ!」
ぬめる舌の感触が、敏感な潤の其処を乱暴に掘りまわす。
「ひゃうッ!だ…めぇッ!」
岡によって日頃慣らされていた潤の其処は、挿入される行為を拒まずに簡単に受け入れてしまっていた。そして、潤の身体はこの行為に興奮と快感を感じ始めてしまう。潤は無意識の内に腰を浮かせ、マックスの思うがままに其処を掘らせてしまっていた。
「あ、あ、イク…ぅ!マッ…クスっ…ああぁッ!」
人の生殖器と同等程の質量な馬の舌は、潤を簡単に絶頂に昇りつめさせた。浮かせた腰から地面に向けて白い体液を飛び散らせながら、潤はついにマックスの舌でイッてしまう。
「あ…ふぅ…ん」
ひとしきり快感の痙攣の終わった潤から、舌がようやく抜き取られた。ぼうっとした視界が開け、呼吸も落ち着いてくのと比例して、潤は今の行為のアブノーマルさに気がつきはじめる。
「なんてことだ…ボクは…マックスの……お前の舌でイクなんて……」
すごくイケナイ事をしてしまったようで、恥ずかしい事をしてしまったようで、潤はなんともいえない気持ちになる。いくら最近岡が抱いてくれないからご無沙汰だったとはいえ、あろうことかマックスの、愛馬の舌で悶えよがってしまったのだ。その行為の羞恥に潤の顔がカァっと朱に染まる。
「………まぁいいか、別に誰かに見られたわけじゃなし…」
潤は独り言を呟いた。マックスが誰かに言うわけが無い。言えるわけがない。誰にも見られて無いのが幸い、黙ってりゃ誰にもわからない。だったら無かったことにしてしまえと、潤は半ばヤケになって開き直った。そうでもしなければプライドの高い潤は恥ずかしさで立ち直れなくなってしまいそうだったから。
「…?」
ふと、潤の頭上がすっと暗くなり、 マックスの荒い鼻息がすぐ頭の上に聞こえた。
「……ま…っくす…?」
暗い影に恐る恐る振り返ると、柵の上に前足を乗り上げたマックスが潤に覆い被さっていた。その逞しい胸板から下へと降りた潤の視線は、『其れ』を視界にとらえ目を見開いた。人の其れとは桁外れに巨大な、馬の其れ。固く充血し、天に聳え立つ塔の様。
「…ま…さ…か…?」
マックスが今、これから何をしようとしているかを、潤は悟ってしまった。そのおちつきのない態度を潤は他の馬で何度か見たことがあった。マックスは今まで決して悪ふざけや戯れていたわけではない。そう、これは…生殖行動。
「い…嫌…いやぁッ!やめ…マックスやめろッ、やめるんだッ!!」
一気に青ざめた潤が、慌てて隣の馬房に逃げようとしたが、マックスは潤の服に噛み付いて自分の方に引き寄せた。先程まで舌で弄られていたまだヒクつく其処に、熱い肉体の感触が当たり潤は息を飲んだ。
「やめ…やめろマックスッ!ボクの命令が聞けないのかッ!?」
必死にマックスを制止させようと潤は声を張り上げるが、一向に潤の言う事を聞かないマックス。尻に当たる塊が潤の狭門をぐりぐり刺激し始め、 少なからず心得のある潤の其処は、押される刺激に少しだけ口を開けてしまった。が、こんな大きさのモノが入るわけはなかった。マックスは苛立ったように一声嘶くと潤の肩口に鼻先を埋め、前に逃げようとする潤の身体を押さえ付けた。
「アッ…やめ…やめろッ!やめて…いや…無理ッ!ひッ……」
上擦った声が次第に怯えに変わる。だがマックスはもう一声嘶き、その力強い両の後ろ足で大地を思いきり蹴りあげた。押されて前にずれそうになる身体をマックスの鼻先が押えつけていたため、前方へと向かうその大きな力は、そのまま潤の内側へと向かった。
ミリッ……
「イッ…−−−ッ!?」
ググッ……ズ…ズブゥッ!!
潤の入口を、尋常でないほどに巨大なそれが、強引に抉じ開けた。
「ぎゃあああああああああああぁッッ!!!」
絶叫。
無理なサイズの侵入に、身体を裂かれる激痛に、潤はかつて感じた事のない行為の苦痛を受ける。急激に拡げられた潤のアヌスは、当然のように切れて紅い血を滴らせ始める。
「いっ…いぎィッ!ひッ…ひィ、いぎゃああぁッ!!」
ギュブブ…メリッ!メリリッ!
極太の其れが潤の小さな身体に強引に突き進んでくる。
「…イッ!?…う…そだ…こんな…こんな事って…あ、うわぁぁッ!」
現実を信じたく無いと思う気持ちは、現実的な痛みにかき消されていく。
「イッ…ひっ…、助け…あがぁぁッ!」
マックスが再び地面を蹴った。
ズンッ!!
潤の小さな体がビクンと大きく揺れ、マックスの其れは更に潤の中に突き入れられた。
「ひぎゃああああぁぁッ!」
勢い良く最奥に突き当たった巨大な肉塊の衝撃に、潤の悲鳴が馬房に響く。有り得ない程の質量が今、潤の中にあるのだ。
「あぐっ…うぐッ、マッ…クスっ…!」
ぐっ、とマックスが腰を引いた。
「ヒィッ!」
マックスを喰わえた潤の身体はその太さに内壁が密着してしまい、引かれた腰にあわせて身体を後ろに引き摺られる。あまりに太い馬の其れは、潤の中で自由に動く事は出来ない。
「うあッ!うあッ!ひッ…ッ!!」
ずるずるッと身体を後ろに持っていかれ、柵の隙間から完全に抜けてしまいそうになった所で、潤はある事に気がつき慌てて 柵に腕を絡めしがみついた。このまま身体を持っていかれれば、支えを失った身体はマックスの硬度のみによって持ち上げられ、繋がったままロデオ状態だ。そんな事を想像しただけでもゾッとした。
そして潤が身体を押しとどめたことにより、後退するマックスの其れは潤の内側を激しく引っ張る形になった。
「うあああぁッ!?」
初めて感じる、粘膜が裏返る感触。引き摺られ外部にさらされた内臓の感触。そして、煥発入れずにそれを再び最奥まで押し戻される感触。なんとか腕を絡めたものの、その凄まじい苦痛に、朦朧とする意識は気を抜けばその手を離してしまいそうになる。腕を絡めた判断ははたして正しかったのだろうかと疑いたくなってしまう。
「あぁッ…ひぃ!ぐぁッ、アーーッ!」
そんな潤の苦痛に構わず、マックスは遠慮なく繁殖行動を開始していた。鼻息を荒くし、本能の赴くまま腰を突きあげる。繋がった箇所のみで潤の下半身を持ち上げ、突き刺さったまま揺さぶり続ける。
「うああぁッ、ぎゃひぃッ!誰か…ッ、あがッ!助け…ッ!」
意識が飛びかけた潤の腕は、しがみついていた柵からするりと抜け落ちてしまった。そして、まるでその瞬間を見計らったかのように、興奮したマックスは大きく嘶き前足をあげて立ち上がった。ふわりと身体が浮き上がるのと同時に、潤の上体はマックスの刺し入れる角度に従い縦に起こされる。
「あ…」
潤は瞬間的に全身に重力を感じた。そして、その身体は重力に従い下へと沈み込む。
ズブブッ!!
「はがッ……!!」
腹部に激しい圧迫感と突っ張りを感じ、潤の視界は暗転する。伸び切ったように拡げられたアヌスは潤の体重を受け、更に深みへとマックスを誘ったのだ。潤は限界以上に突き刺された身体の奥にマックスの存在を嫌という程感じた。そして其れは潤の最奥で急に火山の噴火の様に激しく爆発した。
ゴポッ ゴプッ ドクンッ!!
「アアアァ−−−ッ……!!」
競り上がる己の腹部の内側に大量の熱い液体が注ぎ込まれるのを、潤の身体は痙攣しながら受け止めていた。
「社長、こっちです!」
慌てた様子で先導する部下に伴って、岡はマックスの馬房に走った。設備のゆきとどいた施設には馬房ごとに監視カメラが設置されていた。その監視カメラをチェックしていた男が、異常事体に気付き慌てて社長である岡を呼びにいったのだ。
「…潤…!?」
よく岡も脚を運ぶ見なれたマックスの馬房、そこに現れたすさまじい光景に、岡は一瞬言葉を失っていた。
そこには、貫かれたまま接合部から血の混じった獣の精液を大量に垂れ流す夕貴潤が、今もなお宙に浮いた意識のない身体をマックスに揺さぶられ続けていたのだった。
ああ、これは君を壊したボクへの罰なのでしょうか……。
2002.09.29
やっちゃったよ獣姦、しかも馬!まぁいつかやるだろうとは思ってたけど(苦笑)出だしはせっかく真面目っぽく始まってるのに、後半のこの非常識っぷり(笑)無理でしょアンタって意見は却下します(笑) ちなみにこの話は前後編なので、まだ続きがあります。しかも後編では潤がもっと酷い目にあう予定。岡さんの鬼畜っぷりが全開デス♪