騎上の貴公子
其の一:〜期待の新人・天才騎手夕貴
潤〜
「くゥッ…!」
再び、ボクの中に男が強引に侵入を開始した。不覚にも声を出してしまうところだったボクは、唇を噛んで声を飲み込む。
「さっきは一言も声をあげなかったな…強情な奴だぜ…少しは悲鳴の一つでも挙げてみな!」
「………ッ…ふ…ん!」
「…ま、構わないさ、どうせコレだけ突っ込めば明日のレースにゃ出れないだろう」
…そう…いう事か…なんとなく察しはついてたけど、卑怯な真似を…。
「大体お前は生意気なんだよ…!」
「新人のくせに調子ノってンじゃねぇぞ!」
新人のボクがいきなり連勝を攫っていったのを、面白く無く思った先輩はたくさんいた。落馬事故で2ヵ月もターフを離れていたとは言え、ボクの復活を良く思う騎手など何所にもいない。それどころか、ここゾとばかりに潰しにかかってきやがるんだ。…じつはここ最近のレースの前日は連日同じように、襲われている。おかげで怪我から復帰して以来、一ヵ月近くも惨敗続きだ。
「どうせ初めてじゃないんだろ夕貴よぉ、お前は藍田 拓人に毎晩しこまれてたって騎手仲間じゃもっぱらの噂だぜ?」
「あいつのテクは女にゃ評判だからな、たっぷり鳴かしてもらってたんだろ?」
ヒロト…先輩…忘れたいその名前にボクは舌打ちする。
「しっかしあいつも調子よくて気に喰わねぇ野郎だったけど…急に姿くらましちまいやがったなぁ?何所行ったんだ奴は?」
ヒロト先輩、そう…あなたはボクを置いて突然何所かに行ってしまったんだ…ボクに何も、一言も告げずに。あなたが僕の前に姿を見せなくなってからボクは…こうしてボクを目の敵にしている騎手によく襲われるようになった。そう、それからあなたに敵意を持っていた騎手にもです。八つ当たりってわけですね、醜いもんです。
でも…今だから気がつきました、あなたはいつもさりげなくボクを守ってくれていたんですね…ボクをこういう目で見ている連中がたくさんいるのに気付いていたから。だからボクは、あなたがいなくなってから、その連中の格好の餌食になっているって訳です。…あなたはボクを置き去りにしたから…この野獣の巣窟に。
「どうなんだ、本当は感じてるンだろ?声をあげてヨガってみせろよ夕貴!」
ボクが黙っていればいい気になって、調子の良い事を…こんなことが表沙汰になれば、彼等の騎手生命はおしまいだ。だけど彼等はそんな心配はしていないんだろう。なぜならボクが、このプライドの高い夕貴
潤が、XX騎手に犯されたのでレースにでれません、なんて申し出るわけがないからだ。…御名答、良い読みだ、確かにそれは当たってるよ。こんな事、誰にも言える訳ないじゃないか?
あなたになら相談出来た、助けを求められたのに…こんな時にはあなたはもういないんですね。…いえ、いいんですよべつに…ボクはもう、一人で生きていくと決めたんですから、周りは全て敵です。勝ち鞍をあげればあげるほど周りからは疎まれ孤立していくのはわかっています。それでもボクは…勝ち続けますよ。こんなくらいでは…負けません、奴等がその気なら受けてたちますよ。ボクを弱虫野郎と言ったヒロト先輩、これでもボクを弱虫だと言いますか?…ふん…逃げたあなたの方が弱虫じゃないですか…!
「ふ…ん…ッ!こ…んな、下手クソ…じゃ…声…も出ないね…」
「……言ってくれるじゃねぇかッ…本当かわいい顔して口のへらねぇガキだぜ。おとなしく良いコにしてりゃ良くしてやるのによ…」
「!!…いッ!?」
急に激しく中を掻き回された。ボクは痛みに漏れかけた悲鳴を必死に飲み込む。声なんてあげるもんか…悲鳴だって、喘ぎ声だって…こいつらになんか聞かせてやるもんか………。
「強情な野郎だ…これでも澄ましてられるってのか?」
不意に、体が宙に浮く浮遊感。仰向けになった男の上にボクの体は持ち上げられ、ボクを持ち上げたその手は、一斉に離された。
「ア…アアアァッ!?」
ボクの体は自分の重みで、奴を喰わえたまま、自由落下した。無茶な速度の挿入に内壁が擦り切れる感触。ほとんど抜かれかけていた其れが勢いよくボクの中を擦りあげ、敏感な胃の裏側を突き上げていた。気を失いそうな下半身の激痛、そして、胃の弱いボクはコレをされると…!
「あぐ…ッ…ゲホッ!うぐ…ぐぅ…はぁッ…はぁっ…!」
危なく、発作が起きる所だった。ボクの胃が極端に弱い事は、ボクとあの人しか知らない二人だけの秘密だ。この秘密はボクの騎手生命に関わる、こいつらに知られるわけにはいかないんだ。
「ははッ…さすがにコレはきいたか?ちゃんと声だせるじゃねえか夕貴よぉ!」
さらに声をあげさせようと、頻りにボクの内側を掻き回し始めた。
「…ひッ…く……ぅ…あ…ん……クッ!」
不意にヒロト先輩に教えられた感覚がちらりと顔を覗かせ、ボクをおかしくしようとする。 こんな時に何を考えてるんだボクの体はッ…!あなたのせいだ…ヒロト先輩、あなたがボクに…くそッ…!
そしてボクの漏れた声を、彼らは決して聞き逃しはしなかった。
「…なんだぁ夕貴、今の声は?おい、口を閉じさせるな、声を聞いてやろうぜ!」
「な…にを…あくッ!」
頭に手がかけられた、と思った瞬間その手はボクの頭を後ろに引き倒した。
ガクン、とムチウチにでもなるように首が後ろに倒れ、確保された気道が必死に声を殺す行為の邪魔をする。
「はな…せ…あぁッ!や…くあっ…ッ…あぁッ!」
開いた喉から溢れ出る声は、もう押さえられなかった。
「は…噂通りだな、イイ声だすじゃねぇか。」
「ひあッ…」
ゾクッと背筋になんともいえない感覚が通り過ぎ、僕の体は無意識に肉を締めつける。ボクの中を埋め尽くす肉が前立腺を荒々しく擦り挙げ、狭い内壁は水っぽい音をたてながらその動きを手助けする。
感じてるのかボクは?まさか!?こんなやつに?こんなやつに…!
「ココもたいした名器だぜ?よく締りやがる。なぁ、さすが天才様だなぁ!」
「くッ…あ…あうっ!うっ…ううッ!」
こんな奴等に声をあげさせられているなんて、ちくしょう、ちくしょう!
「小せぇなりのわりには随分奥まで入るんだな夕貴ィ?」
強引に、奥まで突っ込みながらそんな事を言ってやがる。くッ… 人の身体だと思いやがって…!
「ウッ…!?」
突然身体を激しい痙攣が襲う。刺激された内臓と極度の精神的ストレスが、発作をひき起こしたのだ。
「…あッ…あぐッ…!げほッ…ッ…!」
不幸中の幸いか、この状況ではボクが発作を起こしたとは誰も気付かなかった。嘔吐しかけたボクは減量中で何も戻すものもなく、こみ上げた胃液が口腔内を不快にさせただけですんだのだ。だからボクは、ここぞとばかりに下に寝そべる男に吐きかけてやった。
「がッ…!?…ったねぇッ!」
ざまぁみろ!
「ふ…ん……」
「このガキィッ!!」
激怒した男はボクの腰を掴むとその身体を高く持ち上げ、己が抜き取れそうな程身をはなすと、勢いを付けて腰を下に引き落した。
「…ッ!?」
そしてそのタイミングにあわせて、下からボクを力まかせに突き上げてきた。
「ひ…っ…」
ヒロト先輩に教え込まれた感覚は、瞬時にしてかき消えた。
「アアアーーーッ!」
体を串刺しにされたみたいな激痛。そして反動で跳ね上がったボクの重心が落下するタイミングにあわせて、また下から突き上げる。45kgしかないボクの体を持ち上げるのなんて簡単だった。何度も持ち上げ、繰り返し突き上げられ、ボクの体はまるでロデオにでも乗ってるみたいに、飛び跳ね続ける。
「イッ!あがッ…あぐッ!ひぃっ!」
「ははは、天才騎手夕貴 潤様はどんな馬も乗りこなすンだろぉ?この暴れ馬を乗りこなしてみなッ!」
上下に激しく突き上げられながら、周りの男はボクの身体を左右に大きく揺すった。
「ひぃぃッ!」
腹の中であらぬ方向に内臓を引っ張られ、 内側から裂けてしまいそうな感覚に陥る。突き上げられる度にその挿される角度が変わり、腹の中で巨大なムシが蠢いているようだ。
「うわッ、あッ、ひぃッ!あっ、ああっ!うアアーーッ!」
「これにはお手上げか?振り落とされないようにしっかり支えてやるからな、嫌っていうほど存分に乗らせてやるぜ!」
「いッ!…やッ…もうッ…アァッ!…ヒ……ト…せ……ぱ…ッ…ひぃッ!い…やぁッ…くあッ…!」
意味の無い名前を口走る自分にすら、いら立ちを感じる。
くそぉッ…どいつも…こいつも…!
「!!」
内側に感じた変化に体が強張る。突き上げる肉棒は最高に屈辱を感じる瞬間が近い事をボクに告げていた。
「へへ…中に出してやるぜ夕貴…」
「…や…」
途端にそれは太さを増し、ボクの中に不快な体液をまき散らした。
「ひぃ…ッ………」
身体の中に熱い汚らわしい液体が染み渡る。ボクは体を痙攣させながらもその刺激に興奮した自分を開放させていた。そんなボクを見て彼らは一斉に笑った。
……あんまり…調子にのるなよ…ッ……
「おい、失神したみたいだぜ?……げ、血出てきやがった!」
ようやく一通りの欲望を受け、朦朧とした意識のボクから異物が抜き取られた。内股を大量の体液が伝っていく不快感。この全部が血じゃなきゃいいけど…。
「こんなもんでいいんじゃないか?これだけ突っ込みャ明日馬に乗るなんて無理だろ…」
「…そうだな、カッとなって…こいつが申告しないのをいい事に、ちょっとやりすぎたか…」
彼らは少しすまなそうな表情を浮かべ、ボクの体にはそっとなにかが掛けられた。
なんの真似だいそれ…いまさら…罪悪感かい…?
「……ふ…ふは……はははッ…なん…だよソレ……ッ!」
「!?」
「夕貴!?」
「散…ざん…突っ込んだあげく…偽善ですか…後悔ですか?…だったら…そんなハンパな事…最初っからするなよな!」
立ち去ろうとしていた先輩達は脚を止め、ボクを一斉に睨み付けた。
ああ、本当の事言われて気に喰わなかったですか?
「なんだと!?」
「夕貴、てめぇ…!」
ボクはゆっくりと体を起こした。上半身を起こしただけで下半身を激しい痛みが襲う…でもまだ、なんとか動ける。
「…ホラ、ボクは動けるぞ?…このままじゃ明日…なんの影響もなさそうだなぁ…ふふ…レースに出ちゃうよ?…どうする先輩方…」
ボクは今、皆が言う、小憎らしく挑戦的な顔というのをしているんだろう。そんなのみんなが勝手に言ってるだけで、別にボクはそんな意識をしているわけじゃない。ボクがこんな顔を見せる時は…勝つ事を前提にした勝負に挑んでいる時だ。
「…このガキ……加減してやりゃいい気になりやがって…!」
「ふ…そんな程度じゃボクは……」
起き上がりかけたボクの身体は再び乱暴に床に沈められ、 出血のおさまらない其処にはいきなり肉棒が打ち込まれた。
「くあッ、アアーーーーーーッ!!」
裂かれる痛みは瞬時に突かれる痛みに変わる。俯せの状態のボクの腰を掴み、彼らは獣の交尾のような体勢でボクの腰を無茶苦茶に突き上げた。
「うあッ!うわッ…あっ!うぅッ…くぅッ!うあぁーーッ!」
「天才だとかなんだとか言われていい気になりやがって…!おれたちをなめるのもたいがいにしやがれ…!!」
……そうだ…やれよ……
「今回のレースだけじゃねぇ…一生乗れなくしてやる…!」
…犯せよ…突き上げろよ…もっと…!
「クッ!クッ…うぐッ!ひっ…ヒイッ!ううっ…ううーっ!は…はッ…!そ…だ、気の…済むまで…ヤレよッ…!」
… 全力で……本気で来いよ…!
「後悔するぜ夕貴…!」
「ゲホッ…ぐ…はぁ、は…後悔……?ハッ…そ…れは…う、うあぁッ!」
…あんたらがするんだよ!あんたらみたいなのは、そうやっていつまでもボクのケツを追い回していればいいのさ。そうだ、いつまでもボクの後ろだ!…誰も……ボクの前は走らせない…ッ!!
「はぁ…はぁ…」
「…どうだ夕貴…これにこりたら少しはおとなしくなるんだな…!」
「…………」
信じられない程の暴行の嵐が去った。…流石に…体がうごかないな…呼吸をしてるのが…やっとだ。はは…どこが痛いのかも…よくわかんないや…。
「……………だ……か…」
叫び過ぎてボクの喉はまともに声も出ない。最初は声を出すまいとしてたっていうのに…滑稽だなボクは…。
「何?」
「…こ…で……気が…済んだん……ですか………?」
「ーーー!!」
彼等はボクの言葉を聞いてぎょっとしたような顔をしていた。 だが舌打ちすると、何も言わず帰っていった。
もう、やらないのかい?本当に、気の済むまでボクを叩き潰したつもりかい…?
「…う…うぐぅッ!痛うッ……くぅぅッ……!」
起き上がろうと体を反転させただけで下半身から内臓にかけて重たい痛覚があばれまわる。胃液すら吐きつくし、更に傷付いたボクの胃は咳き込んだ瞬間に少量の血を吐き出した。ボクはそのまま蹲り、症状がおさまるのを暫し待つ。
「ごほッ…げぇッ…はぁ…はぁ…くッ!」
ようやく症状が落ち着き身体を動かすと、腹立たしい感触が内股を伝いボクに現実を叩き付ける。犯されたという屈辱的な現実を。
「くぅぅっ…くそぉッ…!」
でも…これでいい…そうだ、彼等は納得のいくまでボクを犯した、だから、これでボクが明日のレースに出れば…
「げほッ…はぁ…ッ…く…ッ!」
……ボクの…勝ちだ……!
「はぁっ…はぁっ…」
ボクは手探りで服をかきあつめ、激痛を堪え立ち上がり、歩く…というよりは這うように宿舎に向かう。ボクを陵辱した彼等と同じ屋根の下へ。 ボクの帰る場所は…其所しかないから。
「なん…だ…なんで平気なんだ…!?」
「………なんて奴だ…動くだけで激痛が走るハズなのに…それで…馬に乗りやがった…バケモンだ奴は…!」
翌日のレース?あぁ、勿論出場したよ。ボクが勝ってやったさ、当然だろ? サスガに乗馬の振動は堪え難い拷問みたいで、何度も意識が飛びそうになったけどね…だけど、今こうしてウイニングランをしているのは、他の誰でも無いこのボク、夕貴
潤だ。誰にも文句は言わせない。
「…いや、本物だ……奴は…天才なんだ…」
「……ああ……俺達にゃ勝てる訳がねぇ…」
天才?ボクが?…まぁ好きに言えばいいさ。どっちにしろ… ボクの勝ちなんだよ先輩方。
「……ふん。」
あなたがもし側にいれば、こんな事はやめろというでしょうね。僕の事を早死にするぞと、いつも心配そうに気づかってくれたあなたなら。 でもねヒロト先輩、ボクは…こうやって自分を酷使して、自分を強くしていくしか戦う方法を知らないんです。それでもあなたはボクをまだ弱虫野郎だと怒るのでしょうか…だったらあなたが側にいて、ボクを止めて下さい…。そうじゃなきゃボクは、きっと一人でこのまま死ぬまでこうやって自分を壊し続けてていくんです。…ねぇヒロト先輩…どこに行っちゃったんですか?
…会いたいよ……ヒロト先輩……。
「……彼だな、私が必要としているのは……。」
そしてその時、一人の男がボクのそのレースを見ていた…。
2002.6.10
潤の凌辱モノなんて他で見られないですよ奥さん!(笑)ていうか風のシルフィードのエロなんてあるのかよ!?大体みんな原作知らないだろー!結構男は知ってるんだけどね、このマンガ。もし知らなくても、オリジナルとして楽しんで貰えたらいいなと。でもこれ見てちょっと読んで見ようかなって気になっていただければうれしぃねぇ。
時期的には潤が事故から復活直後のスランプ時の話です。事故直前から潤様は密かに「天才」と呼ばれ出していて(実際は岡の元にいってからなんだろうけど)、事故で入院中も周りからは天才の復活を待ち望まれてる状態だったと思って下さい。実際のスランプの理由は違いますけど(精神的恐怖感ですけど)ここではこういう理由になっております、まぁ裏SSですから(笑)。潤はヒロト先輩の失踪の理由を聞いたとはいえ、まだ彼に対する思い
が捨てきれないでいるのですよ。そして岡のもとで暮らしていくうちに、ようやくふっきれるようになっていくんですね魅夜的設定では(笑)。なんか自分の作品に脚注するのってなさけねぇなぁ…。でも矛盾してるって指摘されんのもたるいからさ(笑)。
ちなみにこのSSの挿し絵が地下二階にあったりする♪(露骨なのでここには置けん/汗)